2016年7月27日水曜日

浜田宏一氏が週刊エコノミストで語るヘリマネ的政策の謎

週刊エコノミスト8月2日号の特集「ヘリコプターマネーの正体」は興味深い内容だった。全体としての出来も悪くない。ただ「ヘリマネ政策は大きな危険をはらむ」という浜田宏一氏へのインタビュー記事は色々と疑問が残った。浜田氏の話がおかしいのか、記者らの問題なのかは分からない。編集部に問い合わせしたので、まずその中身を見てほしい。
「虹の松原」の前に広がる砂浜(佐賀県唐津市)
               ※写真と本文は無関係です

【エコノミストへの問い合わせ】

8月2日号の「ヘリマネ政策は大きな危険をはらむ」という浜田宏一内閣官房参与、米エール大学名誉教授へのインタビュー記事に関して、理解できない部分があったので問い合わせさせていただきます。疑問が生じたのは以下のくだりです。


そして、もし全てのリフレ政策が全く効かなくなったら、景気を良くするための一種の実験的なこととして、「ヘリマネ的」な政策を1回は行っていいかもしれない。「ヘリマネ的」な政策には、消費増税の繰り延べ、消費税の8%から5%への減税、大規模な財政出動と同時に行う金融緩和の強化・継続--などが当たるとの解釈もある。


素直に解釈すると「消費増税の繰り延べ」「消費税の8%から5%への減税」「大規模な財政出動と同時に行う金融緩和の強化・継続」はそれぞれが「ヘリマネ的政策」の具体例だと思えます。ただ、「消費増税の繰り延べ」は既に2回やっています。ヘリマネ的政策が1回限定のものならば、「消費増税の繰り延べ」は選択肢から外れるはずです。

「消費増税の繰り延べ」「消費税の8%から5%への減税」「大規模な財政出動と同時に行う金融緩和の強化・継続」の3つを同時にやるのが「ヘリマネ的政策」に当たるとの可能性も考えてみました。しかし、減税などの財政政策はそれだけでは「ヘリマネ的」とは言えません。そうなると結局、「金融緩和の強化」しか「ヘリマネ的」な要素がなくなります。しかし、浜田氏は「金融緩和の強化」の具体的な内容に触れていないので、記事からは「1回だけは試す余地のあるヘリマネ的政策」がどういう性格のものか判然としません。

そもそも、ヘリマネや財政出動もリフレ政策の一種と言えるので、「全てのリフレ政策が全く効かなくなった」ときに「ヘリマネ的」な政策が効くと期待するのは無理があります。「劇薬を含む全ての薬が全く効かない時には劇薬を試してみる価値がある」と言っているのにも似た問題を感じます。

上記の疑問点に関して、どう理解すればよいか教えていただけると助かります。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

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基本的に書き方がうまくない。常識的に考えて「ヘリマネ的」な政策とは財政政策と金融緩和の組み合わせなのだろう。しかし、記事の書き方だと「消費増税の繰り延べ」だけでもヘリマネ的政策に当たると解釈する方が自然だ。

「財政政策と金融緩和の組み合わせ」だとしても、それはアベノミクスで実施済みだ。「全てのリフレ政策が全く効かなくなった」ときに「1回は行っていいかもしれない」政策とは思えない。もちろん金融緩和の中身次第では「ヘリマネ的」にはなる。しかし、その「中身」が何かを記事は教えてくれない。


※この記事の担当は平野純一、黒崎亜弓、中川美帆の3記者。問い合わせからほぼ2日が経ったが、まだ回答はない。回答があれば内容を紹介したい。記事への評価はD(問題あり)。暫定でB(優れている)としていた平野記者への評価は暫定Dに引き下げる。黒崎記者と中川記者への評価も暫定でDとする。

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