2016年7月20日水曜日

一読の価値あり 週刊エコノミスト「ヤバイ投信 保険 外債」

週刊エコノミスト7月26日号の特集「ヤバイ投信 保険 外債」は投資初心者に薦めたくなる内容になっていた。手数料の高い金融商品の問題点をきちんと指摘しており、金融商品を売る側に作り手がうまく丸め込まれている感じはない。「ファンドラップ “お任せ”にしては高いコスト 収益の大半を食う可能性が大」という記事(筆者は びとうファイナンシャルサービス代表取締役の尾藤峰男氏)などは、金融業界の回し者にすぐになってしまう日経の記者らにも読んでほしい。
秋月城跡の桜(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

特集を担当したのは桐山友一記者と種市房子記者。この2人は7月12日号の特集「英国EU離脱の衝撃」、6月7日号の特集「固定資産税を取り戻せ!」にも参画していて、いずれも高い完成度となっていた。今回の特集の出来が良いのも必然だろう。

特集の中で特に印象に残ったのが、森信親金融庁長官へのインタビュー記事だ(聞き手には上記の2人の記者とともに金山隆一編集長が名を連ねている)。

銀行窓口で販売される変額年金保険や外貨建て生命保険の手数料」について「金融庁が手数料開示を迫ったのに対し、地銀側の反発が強く、最終的に決着していないと聞いています」と聞かれると、森長官は以下のように答えている。

【エコノミストの記事(森長官の発言)

私は直接業界と協議していませんが、銀行側から「マイナス金利で貸し出しによる利ざやが縮小する中、手数料の高い保険商品が収入源になっている。手数料開示によってこうした商品の販売に影響が出るのが心配」という声が上がったと聞きます。しかし、考えてみれば、手数料が開示されたら売れなくなるような商品を、どうして顧客に売っているのか。これは手数料を開示する、しない以前の問題です。

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「おっしゃる通り」と拍手したくなるような発言だ。これを金融庁という役所のトップが言っているのが意外だった。このインタビューを読む限り、「金融庁は金融業界のためではなく国民のために働いてくれているのかな」と思えた。勘違いでないことを祈りたい。

もう1つ、気になった記事があった。保険コンサルタントの後田亨氏が書いた「外貨建て・変額保険~手数料も死亡保障費用も引かれ、運用に不向き」という記事だ。最後の方に「やっぱり、そういう誘惑があるのか…」と納得できる記述がある。紹介しておこう。

【エコノミストの記事】

時に外貨や投信で運用する保険について、「資産形成手段の選択肢になりうる」などと好意的な評価をする金融ジャーナリストや独立系ファイナンシャルプランナー(FP)もいるが、本当に消費者目線に立っているのか、しっかり吟味した方がいい。金融機関寄りのコメントを出すような仕事で提示される報酬は、時間をかけて原稿を書くことがバカバカしく感じられるほど、高額であるケースがあるからだ。

独立系FPなどが推奨していても、「高いコストが確実に収益を削ってしまう金融商品」には十分な注意が必要だ。

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※特集全体の評価はB(優れている)。桐山友一記者と種市房子記者への評価はBを維持する。最近のエコノミストの全体的な完成度の高さも考慮して、金山隆一編集長への評価もBとしたい。桐山記者と種市記者に関しては「最優秀書き手16年4~6月は週刊エコノミスト種市房子記者」「英国EU離脱特集 経済4誌では週刊エコノミストに軍配」「不足のない特集 週刊エコノミスト『固定資産税を取り戻せ』」も参照してほしい。

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