2016年7月3日日曜日

最優秀書き手16年4~6月は週刊エコノミスト種市房子記者

2016年4~6月の最優秀経済記事は週刊エコノミスト6月7日号の特集「固定資産税を取り戻せ!」としたい。今期は「これだ」という記事がなく、強いて最優秀記事を挙げれば…という評価になる。この特集を担当したのは種市房子記者と桐山友一記者。中でも種市記者には注目している。週刊エコノミスト4月19日号の「編集部からFrom Editors」で気になることを書いていたからだ。改めてその中身を紹介したい。
三柱神社(福岡県柳川市) ※写真と本文は無関係です

【エコノミストの記事】

新聞業界には事前報道主義がはびこっている。毎日新聞経済部記者として次年度予算案の取材をしていた時のこと。あと10時間もすれば発表される地方交付税額を事前報道するために、深夜1時まで関係者を回った。その結果、朝刊での事前報道には成功したが、不毛な仕事をした徒労感のみが残った。

官庁の政策・予算、企業の社長人事、春闘の妥結水準まで事前報道合戦は果てしない。裏付けが十分でないために起こる人事報道の誤報も見受けられる。「あの予算額が決まった背景にある社会情勢は」「この人事はどういうパワーバランスで決まったのか」。ニュース発表後でも、背景検証の余地はある。

4月に経済部からエコノミスト編集部に異動しました。あやふやな速報性にこだわらず、埋もれた事実を掘り起こす姿勢で取材に当たります。よろしくお願いします。

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待っていれば発表される類の話を事前に報道しようと走り回る悪しき習慣が新聞社から無くなることを願ってやまない。それだけに、毎日新聞社という組織の中にいる段階でしっかり問題提起できた種市記者には光るものを感じた。特集「固定資産税を取り戻せ!」の完成度が高かったことと併せて評価し、種市記者を4~6月の経済メディア最優秀書き手に認定したい。

※種市記者に関しては「事前報道に懐疑的な週刊エコノミスト種市房子記者に期待」を参照。


一方、最悪の記事は6月4日の日本経済新聞朝刊女性面に詩人・社会学者の水無田気流氏が書いた「女・男 ギャップを斬る『女性活躍』掲げれど 音速の人生設計、まるでF1」。最悪の書き手も水無田気流氏とする。

「34歳までに子どもを2人以上産み育てつつ就労継続すべしと政府が推奨している」との根拠に乏しい説明をした上に、問い合わせても回答はなし。記事には他にもツッコミどころが満載だ。これをそのまま新聞に載せた日経女性面の編集担当者の責任も重い。

※この記事と筆者については「日経女性面『34歳までに2人出産を政府が推奨』は事実?」「日経女性面に自由過ぎるコラムを書く水無田気流氏」で詳しく触れている。

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