2016年7月12日火曜日

週刊ダイヤモンド田中博編集長は自社誌面に目を通さず?

英離脱」「日銀のマイナス金利導入」「トランプ氏躍進」は「ブラックスワン(あり得ない事象。予期せぬ出来事)」と言えるだろうか。一般の人が「まさか」と驚くのは分かる。しかし、経済誌の編集長がそうでは困る。ところが、週刊ダイヤモンドの田中博編集長は7月16日号の「From Editors」で以下のように書いている。
太宰府天満宮(福岡県太宰府市) ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドの記事】

「何事も起こりませんように」──。編集部内ではマクロ担当の女性記者がこう祈ると「何事」かが起こるというジンクスがあります。  私はひそかに「パラドックスの女王」と呼んでいますが、極め付きが今回の英国のEU離脱をめぐる国民投票。胸騒ぎが的中し、この2週間、企画の差し替えに追われました。  英離脱だけでなく、日銀のマイナス金利導入やトランプ氏躍進など、年初にはあり得ないと思っていた〝ブラックスワン〟が、次々に出現。市場はそのたびに大混乱となり、実体経済を揺るがしています。  しかし、経済といえども歴史という軸を通して俯瞰すれば見えるものがあるはず。情報の洪水となった大混乱を報じるのではない、味付けを変えた特集にしました。(田中)

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田中編集長はそもそも週刊ダイヤモンドをきちんと読んでいるのだろうか。2015年10月10日号 ではダイヤモンド自身が「ワールドスコープ >  【米国】 “停滞する米国”の象徴 ポピュリスト不動産王 米大統領選で快進撃」という記事を載せている。この中で筆者である松浦肇 産経新聞ニューヨーク駐在編集委員は以下のように書いている。

2016年の米大統領選に出馬した不動産王、ドナルド・トランプ氏の進撃が止まらない。CNNなどによる最近の世論調査では共和党指名争いでトップとなり、有力な対抗馬のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の支持率を優に上回った」。

つまり「トランプ氏の躍進」は昨年の段階で既に現実になっていた。なのに田中編集長の目には「年初にはあり得ないと思っていた〝ブラックスワン〟」と映っている。

英国のEU離脱も似たようなものだ。ダイヤモンド2016年1月9日号で「ワールドスコープ
【from 欧州】 2016年の英国は 利上げ、EU離脱議論 テロとの戦いに注目」という記事を三菱東京UFJ銀行経済調査室ロンドン駐在の高山真氏が書いている。

この中には「現実味を帯びてきたのが、英国の欧州連合(EU)からの離脱懸念だ」との記述がある。これを田中編集長が読んでいれば、国民投票の結果を受けて「年初にはあり得ないと思っていた〝ブラックスワン〟」と驚かずに済んだはずだ。

最も気になるのが、日銀によるマイナス金利政策を「ブラックスワン」と考えていたことだ。日銀より前に欧州ではマイナス金利政策を導入していた。それでも田中編集長は年初の段階で「日本でのマイナス金利政策はあり得ない」と思い込んでいたのか。

「可能性が低い」と判断するのは分かる。「(日銀の)黒田総裁は、導入を決めた1月29日の金融政策決定会合直前の衆参の委員会で追加緩和やマイナス金利の可能性を否定し続けていた」(産経)からだ。だが、否定したのはマイナス金利の導入観測が年初にあったことの裏返しでもある。導入が「サプライズ」だったのは間違いない。だが「年初にはブラックスワンだった」とは考えにくい。

田中編集長には改めて問いたい。「英離脱だけでなく、日銀のマイナス金利導入やトランプ氏躍進など」は本当に「年初にはあり得ないと思っていた〝ブラックスワン〟」ですか--。


※田中博編集長への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。F評価については「田中博ダイヤモンド編集長へ贈る言葉 ~訂正の訂正について」を参照してほしい。

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