データを見せる記事では過去との比較が重要だ。改めて説明するまでもない。しかし18日の日本経済新聞朝刊社会面に載った「日経本紙・電子版購読数261万」という記事には、その比較がない。「日本経済新聞は半年ごとに最新の部数、購読数を紙面と電子版でお知らせしています」と言うものの、これではあまりに不親切だ。比較をしないのは「減っているところを見せたくない」との意図からだろう。そこで今回の記事に半年前との比較を加えてみた。
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【日経の記事】
日本経済新聞社は17日、2021年12月の「日本経済新聞」朝刊販売部数(日本ABC協会公査)と22年1月1日時点の「電子版」有料会員数との合計が261万1735(半年前比2%減)だったと公表しました。電子版の有料会員数は79万7362(同1%減)でした。また、日経電子版の有料会員数に、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスの紙面ビューアー契約数、人事ウオッチとNIKKEI Financialの契約数を加えた「デジタル購読数」は、1月1日時点は87万189(同1%減)です。
日本経済新聞は半年ごとに最新の部数、購読数を紙面と電子版でお知らせしています。
◎きちんと伝えた方が…
「朝刊販売部数」と「『電子版』有料会員数との合計」をメインで見せるのならば、せめてこの数字だけでも比較を見せたらどうか。中途半端な伝え方が残念だ。
カッコ内の比較は過去の記事に出ていた数値をこちらで調べて出してみた。比較するのは前年同期でも構わない。日経朝刊+電子版有料会員で見ると、前年同期比で5%のマイナス。「電子版の有料会員数」と「デジタル購読数」はプラスだが、紙の新聞の減り方がきつく補えていない。
ちなみに「『日本経済新聞』朝刊販売部数」は1年前に比べて18万部近く減っている。減少率は9%。これだけ減り方が急だと経営面では厳しい。それでも、きちんと伝えた方がいい。報道機関なのだから。
※今回取り上げた記事「日経本紙・電子版購読数261万」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220118&ng=DGKKZO79299450X10C22A1CT0000
※記事の評価はD(問題あり)
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