2019年11月9日土曜日

適法でも「ライドシェア起訴」? 理解に苦しむ日経 細川幸太郎記者の記事

今回も日本経済新聞の細川幸太郎記者が書いた記事を取り上げる。8日の朝刊国際1面に載った「韓国・有力新興に規制の壁~検察、ライドシェア起訴 政権へ当てつけの見方も」という記事は理解に苦しむ内容だった。記事の全文を見た上で問題点を指摘したい。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)のコスモス
            ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

韓国で有力ベンチャーが規制の壁にぶつかっている。対価を得て乗客を運ぶライドシェアサービス「タダ」を運営するソーカー(ソウル市)の経営者を検察が在宅起訴した。容疑は旅客自動車運輸事業法違反、いわゆる「白タク」規制だ。政権が掲げる新産業育成のもと監督官庁が法整備を進めているさなかの起訴に、ベンチャー業界から反発が広がっている

「大統領は『規制の壁を果敢に壊していく』と話すが、残念ながら現実は違っていた」。タダサービスを展開するソーカー社の李在雄(イ・ジェウン)社長は憤りを隠さない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が人工知能(AI)技術の展示会で新産業育成を推進すると約束した10月28日、李社長ら経営陣が在宅起訴された。

今回の起訴はライドシェアを巡って国土交通省や法務省など関係当局がルール整備を進めているさなかの出来事だった。韓国メディアによると、関係当局は検察側に起訴を待つように伝えていたという。タクシー業界の告訴を受理して起訴を強行した検察の判断には、検察権限の縮小を進める文政権への当てつけとみる向きもある。

タダは韓国語で「乗る」という意味。利用客がスマートフォンのアプリで出発地と目的地を登録すれば専用車が迎えに来るサービスで、ソウル市中心に車両1400台を運用する。利用料金は一般的なタクシーと比べて2~3割高いが、サービス開始から1年あまりで利用者130万人を獲得している。

起訴容疑の旅客自動車運輸事業法は主にタクシー業に関する法律だ。韓国でも日本同様にタクシー免許なしに有償で乗客を運ぶのは禁止されている。ただ同法には例外規定があり、11~15人乗りの車についてはタクシー免許のない運転手を派遣し対価を得るサービスが認められている。ソーカーはこの規定を根拠に大型バンでサービスに乗り出していた

李社長は「これまで(監督官庁の)国土交通省とも継続的に話し合ってきた。一度も事業停止の勧告を受けたことはない」と主張する。


◎適法にしか見えないが…

対価を得て乗客を運ぶライドシェアサービス『タダ』を運営するソーカー(ソウル市)の経営者を検察が在宅起訴した。容疑は旅客自動車運輸事業法違反、いわゆる『白タク』規制だ」と細川記者は言う。

しかし記事の終盤には「同法には例外規定があり、11~15人乗りの車についてはタクシー免許のない運転手を派遣し対価を得るサービスが認められている。ソーカーはこの規定を根拠に大型バンでサービスに乗り出していた」と書いている。「例外規定」に則って「サービス」を続けてきたのならば適法のはずだ。なぜ「在宅起訴」されるのか理解に苦しむ。

完全に適法ならば「検察」も「在宅起訴」には踏み切らないだろうから、「ソーカー」の「サービス」に何らかの法的な問題があったのだとは思う。しかし、細川記者の説明では、それが何なのか読み取れない。

政権が掲げる新産業育成のもと監督官庁が法整備を進めているさなかの起訴に、ベンチャー業界から反発が広がっている」との説明も引っかかる。規制緩和の議論が進んでいるとしても、実現する前に先取りで違法なサービスを始めてしまえば取り締まりの対象になるのは当然だ。韓国の「ベンチャー業界」には、そんな当たり前のことも理解できない人がたくさんいるのか。

実際にそうかもしれないが、細川記者の説明に難がある可能性が高そうな気はする。

細川記者は要注意の書き手と見ておくべきだろう。


※今回取り上げた記事「韓国・有力新興に規制の壁~検察、ライドシェア起訴 政権へ当てつけの見方も
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191108&ng=DGKKZO51910830X01C19A1FF1000


※記事の評価はD(問題あり)。細川幸太郎記者への評価もDを据え置く。細川記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「北朝鮮、日本上空越える『発射』を示唆」で感じた日経とNHKの実力差
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/nhk.html

0 件のコメント:

コメントを投稿