2019年11月12日火曜日

「スッキリ問題解決」の看板倒れが凄い哲学者・小川仁志氏の悩み相談

哲学者で山口大学国際総合科学部教授の小川仁志氏は本当にこれで「スッキリ問題解決」と思っているのだろうか。週刊エコノミスト11月19日号の「小川仁志の哲学でスッキリ問題解決(9)」という悩み相談の記事を読むと「問題解決」には全くなっていない気がする。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)のコスモス
            ※写真と本文は無関係です

相談内容は以下のようなものだ。

【エコノミストの記事】

新規企画を出せと言われています。私は在宅勤務に関心があり、それを実現させるためにも「在宅勤務の実態」という企画を出そうと思っています。しかし、上司はこれには反対意見。こんな場合、上司が望んでいると思われる企画を出したほうがいいですか。
(39歳女性・IT企業勤務)

◇   ◇   ◇

これに対して小川氏は以下のように答えている。

【エコノミストの記事】

今回のお悩みでは、上司に新規企画を求められた際、上司のアイデアを採用しておけばいいのですが、それよりもいいと思う自分のアイデアがある。ここが問題です。

そこで弁証法を使って、ネックになっている自分のアイデアをむしろ積極的に取り込むのです。まずは、「みんなが同じ場所で仕事をすることで初めて相互に刺激になり、一体感が生まれ業績を維持してきた」と上司の方針を尊重する

他方で、自分の案をそこにうまく取り込み「全員が出勤する一体感を損なうことなく、同時に在宅勤務者もスカイプなどで常時職場とつながっておくことで、より柔軟な働き方を実現できる方法」を提案すればいいのです

絶対に混ざらないと思われる水と油だって、一緒にすることでドレッシングが生まれます。「1+1=2」ではなく、無限大にするのが弁証法です。


◎答えになってる?

上司が反対する「在宅勤務の実態」の企画と「上司が望んでいると思われる企画」のどちらを出すべきかというのが相談者の問いだ。

これに対する小川氏の答えは奇妙だ。まずは「『みんなが同じ場所で仕事をすることで初めて相互に刺激になり、一体感が生まれ業績を維持してきた』と上司の方針を尊重する」らしい。しかし「上司」がそんな「方針」を持っていると取れる記述はない。「上司」は「在宅勤務の実態」という「企画」に反対しているだけだ。そして「上司が望んでいると思われる企画」の内容は分からない。

上司が望んでいると思われる企画」の中に「自分の案」を潜り込ませろというのが小川氏の考えのようだ。

記事には入らなかったものの「上司が望んでいると思われる企画」の内容を小川氏が実は知っていて、それは「在宅勤務がダメな理由」的なものだったとしよう。

その場合「『みんなが同じ場所で仕事をすることで初めて相互に刺激になり、一体感が生まれ業績を維持してきた』と上司の方針を尊重する」のは問題ない。しかし、その企画の中に「全員が出勤する一体感を損なうことなく、同時に在宅勤務者もスカイプなどで常時職場とつながっておくことで、より柔軟な働き方を実現できる方法」も紛れ込ませると、何が言いたいのか訳の分からない企画になってしまう。

結果として、相談者である「39歳女性」の社内での評判を落としてしまうのではないか。その前に「39歳女性」は小川氏の答えで「スッキリ問題解決」と感じたのだろうか。

自分だったら「まともな答えになってないよ!」と嘆いてしまいそうだが…。


※今回取り上げた記事「小川仁志の哲学でスッキリ問題解決(9)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20191119/se1/00m/020/064000c


※記事の評価はD(問題あり)。小川仁志氏への評価も暫定でDとする。

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