金華山(宮城県石巻市)※写真と本文は無関係 |
【日経の記事】
米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は18日、ネットを通じて単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」らを独立した請負労働者ではなく従業員として扱うよう企業に義務付ける州法案に署名したと発表した。2020年1月に施行される。ギグワーカーがサービスを支える米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズやリフトなどにとっては社会保障税などの負担増となる恐れがある。
署名したのは「AB5」と呼ぶ労働者保護のための州法案。業務中に雇用主体の指揮命令系統にない場合など一部の例外を除いて、企業にギグワーカーらを従業員として扱うよう義務付ける内容だ。労働者にとっては失業保険や最低賃金の保証など請負労働者の立場では得られなかった便益が受けられるようになる。
ニューサム知事は署名文書のなかで「AB5は労働者と経済にとって画期的な法律だ」とコメントした。ただ、影響はライドシェアだけでなく、米国で急成長中の食料品宅配サービスなどにも広がる可能性がある。
◎「税」は見当たらないが…
「社会保障税などの負担増となる恐れがある」とは書いてあるが「社会保障税」がどんな「税」なのかの説明はない。「労働者にとっては失業保険や最低賃金の保証など請負労働者の立場では得られなかった便益が受けられるようになる」としても「ウーバーテクノロジーズやリフト」の税負担が増えそうな感じはない。
「社会保障費用」などとなっていれば違和感はないが、筆者の白石武志記者は「社会保障税」と言い切っているので、記事に誤りがないのならば「税」なのだろうが…。
ついでに言うと「『ウーバー運転手を従業員に』米で州法が成立」と見出しで断定しているが、本当にそうなるのか疑問が残った。「業務中に雇用主体の指揮命令系統にない場合など一部の例外を除いて」との記述があるからだ。
白石記者が何を言いたいのか明確ではないところもあるが、当該企業の指揮命令を受けずに業務をすれば「例外」になるのならば「ウーバー運転手」は「例外」になりそうではある。
気になったので他社の記事も調べてみた。ウォールストリートジャーナルの「米加州の新雇用法が成立、ギグワーカーも従業員に分類」という記事では「ウーバーは、新たな基準が導入されてもドライバーを従業員に分類する必要はないとの立場を堅持している」と書いている。やはり「例外」かどうか微妙なのだろう。であれば日経の白石記者もその辺りはしっかり説明すべきだ。
ちなみにウォールストリートジャーナルは「ドライバーやデリバリーを行うギグワーカー(インターネットで単発の仕事を請け負う労働者)は従業員として分類される可能性があり、そうなれば賃金や福利厚生で恩恵を受ける」とは書いているが、企業が負担する「社会保障税」には触れていない。
※今回取り上げた日経の記事「『ウーバー運転手を従業員に』米で州法が成立 企業負担増す」
※記事の評価はD(問題あり)。白石武志記者への評価は暫定C(平均的)から暫定Dに引き下げる。白石記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
断定して大丈夫? 日経「ウーバー上場手続き 時価総額、米歴代2位」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/2.html
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