長崎鼻(大分県豊後高田市) ※写真と本文は無関係です |
日本経済新聞の藤田和明編集委員が「4つ」と言い切っていたので以下の内容で問い合わせを送った。
【日経への問い合わせ】
日本経済新聞社 編集委員 藤田和明様
27日の夕刊ニュースぷらす面に載った「ニッキィの大疑問~東証なぜ市場再編を検討? 『1部』が膨張、質向上狙う」という記事についてお尋ねします。記事では「そもそも東証にはどんな市場があるのですか」との問いに対し「東証には4つの市場があり、全体で約3700社が上場しています」と藤田様が答えています。
しかし日本取引所グループのホームページを見ると「東京証券取引所は、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ及びTOKYO PRO Marketの5つの株式市場を開設しています」との説明が出てきます。「株式市場」に限っても「東証には5つの市場」があるようです。「東証には4つの市場があり」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
付け加えると、記事に付けた「東証の市場再編後のイメージ」という図が引っかかりました。この図では「現行」も「変更後」も普通の正三角形で表しています。しかし記事では「1部上場であることは大きなブランドで、日本のよりすぐりの企業が集まっているはずです。ところが上場企業数をみる限り、逆三角形になっているのです」と書いています。ならば図も「現行」に関しては「逆三角形」にして合わせた方が良いでしょう。
さらに以下の説明にも注文を付けておきます。
「東証が3月に公表した考え方は、新興企業向けの市場が複数ある問題も合わせて見直し、4つある市場を3市場に再編するというものです。グローバルに投資する投資家などを想定した企業、投資対象としてふさわしい実績のある企業、高い成長性を持つ企業に区分けする内容です。時価総額のほか、利益の水準、流動性、ガバナンス(統治)体制などを基準にし、特にグローバル投資家を想定する企業には英文開示の義務付けも検討します」
「東証が3月に公表した考え方」自体が曖昧な面はあるでしょう。しかし、この説明では株式市場に詳しくない「ニッキィ」がきちんと理解してくれるとは思えません。
例えば「グローバルに投資する投資家などを想定した企業」「投資対象としてふさわしい実績のある企業」「高い成長性を持つ企業」という条件は同時に満たせます。その場合はどうなるのですか。「具体案の検討はこれから」だとしても、取材から得た再編後のイメージを分かりやすく伝えるのが編集委員としての腕の見せ所でしょう。藤田様の個人的な予想でもいいのです。そこに物足りなさを感じました。
「市場の色分けがはっきりしてくれば、企業は経営の質を高めようともっと真剣に考えることになるでしょう。本業を磨いて利益を中長期で伸ばし、必要ならM&Aも選択肢でしょう。自社株買いや配当を増やすことも含めて資本を効率的に生かし、市場での評価を高めねばなりません」といった説明は大胆に削れます。
「本業を磨いて利益を中長期で伸ばし、必要ならM&Aも選択肢」なのは言わずもがなで、記事に入れる意味はあまりありません。「(東証の市場区分が)実際にはどのような形で見直されるのかな」と最初の段落でも問題提起しているのですから、そこをしっかり見せるべきです。
問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社の一員として、責任ある行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
ちなみに日本取引所グループが3月27日に出した「市場構造の在り方等の検討」というニュースリリースでは「2018年10月時点、一般投資者向けの市場として、市場第一部、市場第二部、マザーズ及びJASDAQの四つの市場を運営しております」と説明している。この書き方ならば「4つ」で問題ないが…。
藤田編集委員も「株式市場に関するプロの書き手」と言えるレベルを目指すのならば、細部までしっかり目配りして記事を書いてほしい。
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「ニッキィの大疑問~東証なぜ市場再編を検討? 『1部』が膨張、質向上狙う」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190527&ng=DGKKZO45308220X20C19A5EAC000
※記事の評価はD(問題あり)。藤田和明編集委員への評価はDを維持する。藤田編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「FANG」は3社? 日経 藤田和明編集委員「一目均衡」の説明不足
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/fang.html
改善は見られるが…日経 藤田和明編集委員の「一目均衡」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_2.html
「中国株は日本の01年」に無理がある日経 藤田和明編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/01.html
「カラー取引」の説明不足に見える日経 藤田和明編集委員の限界
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_37.html
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