門司港(北九州市)※写真と本文は無関係です |
【ダイヤモンドの記事】
ならばと、14年11月に野口が開発したのが、「終身ガン治療保険プレミアム」だ。
このがん保険の最大の特徴は、抗がん剤治療が主契約になっていること。そして、一般的ながん保険では主契約となっている診断給付金や、入院と手術、通院などの給付金は全て、特約(オプション)扱いになっていることだ。
これならば、すでにがん保険に加入していても、保障がダブることなく抗がん剤治療に対する保障を得ることができる。つまりは保障のバラ売りであり、既存のがん保険を解約することなく、必要な保障を上乗せして加入できるがん保険というわけだ。
このがん保険に対する評価はすこぶる高く、売れに売れた。だが、保険商品のイノベーターたる野口は、さらに一歩踏み込んだ。それが、18年4月に投入した「終身ガン治療保険プレミアムDX(ディーエックス)」だ。
◎具体的なデータは?
「がん保険」は基本的に要らないと思うが、ここでは論じない。問題は「このがん保険に対する評価は売れに売れた」という説明だ。まず表現が宣伝臭い。しかも「売れに売れた」と言うだけで具体的なデータは全く示していない。怪しすぎて、記事の内容を素直に受け入れる気にはなれない。
「抗がん剤治療が主契約」の「がん保険」を作ったぐらいで「保険商品のイノベーター」と呼ぶのも、ヨイショが過ぎる。しかも、それがさらに続く。
【ダイヤモンドの記事】
このがん保険の基本構造は旧商品と同じだが、最大の特徴は、「欧米で承認されたが日本では未承認の抗がん剤」をも保障の対象に加えたこと。つまり、対象範囲は限定されるものの「自由診療の抗がん剤」を使用しても、給付金が支払われることになる。
日本で承認された抗がん剤では効果がなく、海外で承認された抗がん剤を使いたいと思っても自由診療になってしまい、検査費用や入院に掛かる費用は原則、全額自己負担となる。
その経済的負担を軽減できる新商品に込めた思いはこうだ。
「がんの治療を諦めてほしくありません。そのために、治療の選択肢をなるべく多く提供したいと考えました」
新商品の発売以降、がん患者やメディア、業界内からの問い合わせが殺到している。今回の新商品も、かなりのインパクトを与えているといえよう。
◎またも具体的なデータが…
「新商品の発売以降、がん患者やメディア、業界内からの問い合わせが殺到している」とチューリッヒのがん保険をまたも持ち上げるが、具体的なデータはない。取材の時に「新商品の発売以降、がん患者、メディア、業界関係者から問い合わせが殺到してるんですよ」と言われて「そうなんですか。凄いですね」と納得してしまったのか。
佐世保市市民文化ホール(長崎県佐世保市) ※写真と本文は無関係です |
「問い合わせが殺到」という具体性に欠ける情報を基に「今回の新商品も、かなりのインパクトを与えているといえよう」と言われても困る。「通常は発売1カ月で100件程度の問い合わせしかないのが普通だが、今回の新商品は1週間で1万件を超えた」などと書いてあれば「問い合わせが殺到」だと思える。その辺りは取材しなかったのか。
付け加えると「がん患者」から「問い合わせが殺到」するかなとは思う。既にがんを発症しているのであれば保険への加入はできないはずだ。そうした知識のない人から「問い合わせが殺到」している可能性はゼロではないが、ちょっと考えにくい。
※今回取り上げた記事「ものつくるひと 第124回『終身ガン治療保険プレミアムDX』野口俊哉(チューリッヒ生命チーフ・マーケティング・プロポジション・オフィサー)がん保険のイノベーター 一歩先を見据えた商品開発」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/23839
※記事の評価はD(問題あり)。藤田章夫記者への評価は暫定C(平均的)から暫定Dへ引き下げる。
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