2017年2月19日日曜日

やや看板倒れ 日経ビジネス特集「行きたい大学がない」

日経ビジネス2月20日号の特集「行きたい大学がない~授業も入試も受験産業に丸投げ」は、悪い出来ではない。ただ、タイトルに釣られて読むと、期待外れに終わるかもしれない。学生から見て大学の魅力が落ちているという話かなと思っていたが、それに関しては少ししか出てこない。しかも「行きたい大学がない」と言える実態があるのか、やや怪しい。
筑後川昇開橋(佐賀市・福岡県大川市)
        ※写真と本文は無関係です

それらしき話が出てくるのが「Part2 世界で負け続ける理由~学産官とも『ビジョン欠落』」という記事だ。ここでは東大に行かず開成高校からハーバード大学に進んだ学生の事例に続いて、以下のように書いている。

【日経ビジネスの記事】

日本の大学は眼中になく、海外の大学を目指す。それは、今や一部の優秀な学生の話ではない。ベネッセグループのお茶の水ゼミナールが中・高校生向けに提供している海外大学併願コースは、TOEFL TestやSATなど海外大進学に必要な英語力や学力を付けるプログラムを提供し、受講者数を増やしている。ベネッセコーポレーション英語・グローバル事業開発部の藤井雅徳部長は、「世界ランキングトップ10まではいかなくとも、トップ100の大学へ進学を希望する高校生の合格実績が増え始めている」という。

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この後は、アジアからの留学生に関する話に移る。つまり、日本の学生に関しては、ハーバード大に行った男性の事例と、上記のくだりぐらいだ。これで「行きたい大学がない」とタイトルに付けるのは、ちょっと苦しい。

日本の大学は眼中になく、海外の大学を目指す。それは、今や一部の優秀な学生の話ではない」と言ってはみたものの、「受講者数を増やしている」「合格実績が増え始めている」などと出てくるだけで、どのぐらい増えているのかは教えてくれない。データがないのか、数字がショボいからあえて出さないのか。いずれにしても、日本の学生にとって「行きたい大学がない」という事態には陥っていない可能性が高そうだ。

大学が危ない」とか「大学崩壊」といったタイトルではダメだったのだろうか。その場合、期待を裏切られずに読めたのだが…。

ついでに言うと「Part4 『大学無償化』は実現するのか 教育なくして成長なし」という記事に付けたグラフがこれまた苦しい。

日本の大学への投資はOECDで最低水準 ●高等教育機関への公的支出と時間当たり労働生産性」というグラフでは、縦軸に「時間当たり労働生産性」、横軸に「高等教育機関への公的支出」を取り、OECD加盟国に関して相関関係を見ている。

ただ、分布を見ると相関関係はほとんど感じられない。なのに記事では「左のグラフが示すように、高等教育への公共支出が低いことが、労働生産性の低さにつながっている可能性がある」と解説している。

確かに日本は「高等教育機関への公的支出」のGDP比では加盟国最低のようだが、グラフで見ると「時間当たり労働生産性」では中位だ。「このグラフを基に何かを語られても…」とは感じた。
 
※特集全体の評価はC(平均的)。特集の担当者への評価は以下の通りとする。

広岡延隆記者(D=問題あり→C)

松浦龍夫記者(暫定D→暫定C)

河野祥平記者(暫定D→暫定C)

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