柳川の川下り(福岡県柳川市) ※写真と本文は無関係です |
記事の後半部分を見てみよう。
【FACTAの記事】
そこまでポンドが下落しなくとも、なぜ、為替ヘッジしなかったのか? 経理担当は間違いなく責任を問われる。「ずっと持っているつもりだった」という弁明は通用しない。日経は社内株主ばかりとはいえ、来年の株主総会が大荒れになるだろう。
「会長、社長を直撃したい」という記者たちの冗談は、不満の表れでもある。FT買収でマンパワーを関連部門にとられ、従来もひどかった現場の負担はますます重くなった。「お前ら、原稿製造機になりきらないと過労死するぞ」と、飲み屋で先輩記者が後輩を叱る光景が目に浮かぶ。
経営環境も厳しい。広告収入の落ち込みは前年比で2割を超え、新聞販売部数も落ち込んでいる。優位とされた電子版も加入者の伸びが50万前後で止まっており、FTの為替損と合わせ「4重苦」と揶揄する向きもある。
そんな中で、組合に対しては「新人事制度」と称して、キャップ(現場の元締め)クラスで100万円近い賃金カットが提示されている。一方、会長の肝いりで、現社長が発刊を担当したニッケイ・アジアン・レビューは巨額の赤字を出しながら見直しの観測もない。中間管理職の間には「失政を現場に押し付けるな」という怒りの声が渦巻くが、会長、社長にもの申す空気は皆無だという。企業の経営に厳しい目を向ける日経が、自分に甘くて紙面を信用してもらえるだろうか。社長が為替差損を語るインタビューを紙面に載せる度量を期待したいが、無理だろう。
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記事の筆者は不明だが、日経OBでありFACTA発行人兼編集主幹でもある阿部重夫氏が何らかの形で関わっていると推定して話を進めていく。
上記のくだりで最も気になったのは「来年の株主総会が大荒れになるだろう」との見通しだ。阿部氏は日経の株主総会に出席したことがあるのだろうか。OB株主で厳しい質問をする人はいる。ただ、出席者は従順な社員株主がほとんどで、荒れる雰囲気はない。「来年の株主総会が大荒れになる」ためには、「社内株主」の多くが会社に目を付けられることを覚悟の上で発言するしかない。
個人的には「来年の株主総会が大荒れになる可能性はゼロに近い」と見ている。その理由はFACTAの記事にも書いてある。「中間管理職の間には『失政を現場に押し付けるな』という怒りの声が渦巻くが、会長、社長にもの申す空気は皆無だという」。「会長、社長にもの申す空気は皆無」なのに、社内株主ばかりの株主総会がなぜ「大荒れ」になると予測するのか。阿部氏に聞いてみたい。
ついでに言うと「ニッケイ・アジアン・レビュー」の「巨額の赤字」に関しては、おおよその数字でいいので、どの程度の赤字額なのか入れてほしかった。「巨額」と聞くと年間100億円を超える規模だと思えるが、「ニッケイ・アジアン・レビュー」でそれほどの赤字が出るとは考えにくい。それに、本当に「巨額の赤字」を出しているのならば、日経は「4重苦」ではなく「ニッケイ・アジアン・レビュー」も含めた「5重苦」だろう。
「社長が為替差損を語るインタビューを紙面に載せる度量を期待したいが、無理だろう」との見方には全面的に同意できるのだが、今回の記事はその他の問題が目立ち過ぎた。
※記事の評価はD(問題あり)。記事中の「包括利益とは平たく言えば、含み損のこと」「『お前ら、原稿製造機になりきらないと過労死するぞ』と、飲み屋で先輩記者が後輩を叱る光景が目に浮かぶ」との記述についてはFACTAに質問を送った。これに関しては「包括利益は『平たく言えば含み損』? FACTAへの質問」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/facta.html)を参照してほしい。
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