2015年5月23日土曜日

スカイツリー 「平日底上げ」はどこへ?

23日付の日経朝刊に「開業3年 スカイツリー客足鈍る」(企業・消費面)という記事が出ている。この中で、来場者減少を食い止めるカギは「平日の入場者数の底上げ」と書いているが、最後まで読んでも「土日祝日ではなく平日の入場者数を底上げするための策」が見当たらない。記事は以下のような展開になっている。
オランダのロッテルダム市庁舎   ※写真と本文は無関係です


【日経の記事】

低迷打開のカギを握るのは平日の入場者数の底上げだ。634メートルと日本一の高さを誇るツリーの泣きどころは風。強風で揺れると自動的にエレベーターが停止するため、14年度に営業の一時休止や完全な中止に追い込まれた日数は28日に上った。

日時指定のチケットを予約しても昇れないケースが頻発するため、特に修学旅行などの団体に敬遠されがち。近くの浅草エリアは訪日外国人に人気のスポットだが、海外からの旅行ツアーにもツリーは組み込みにくいとの声が上がる。

こうした事態を打開するため、15年度は稼働停止による入場者減を覚悟のうえで、4基あるエレベーターのうち2基を改修する。エレベーターをつるすロープの強度を高めて、強風でも揺れにくくする。1基目は既に3月に工事を始めており、9月に完成予定。2基目は秋に工事を始める。

現在の大人・日時指定のチケット代は2570円で、値下げはしない方針。エレベーター改修による観光スポットとしての復権にこだわり、なかでも訪日外国人の需要の取り込みに力を入れる。



平日の入場者数を底上げするための打開策は、エレベーターを改修して営業休止を減らすことなのだろう。しかし、これは平日だけでなく土日祝日の底上げ策にもなるはずだ。「団体客や外国人は平日に集中するので、エレベーターの改修は特に平日の底上げ策になる」という話ならば、そう明示してほしい。

なぜ土日祝日ではなく平日の底上げが低迷打開のカギなのかも説明がないので、「平日の落ち込みが激しいのかな」などと想像するしかない。本来なら、その辺りにも触れた上で、エレベーター改修が特に平日に効く理由を述べてほしかった。

ついでに記事中で気になった表現をいくつか指摘しておく。


(1)「旅行ツアー」にダブり感

「ツアー」には「旅行」という意味があるので「海外からの旅行ツアー」にはダブり感がある。「海外からのツアー」でいいのではないか。


(2)「既に」は必要?

記事はできるだけ簡潔に書いてほしい。「1基目は既に3月に工事を始めており」の「既に」は必要ないと思える。


(3)スカイツリーは一度落ちぶれた?

観光スポットとしての復権」という表現も引っかかった。現在のスカイツリーが観光スポットとして落ちぶれた存在ならば「復権」でもいいだろう。しかし、今も東京を代表する人気観光スポットのはずだ。2年連続で入場者数が減りそうだとはいえ、「復権」という言葉を使うのは大げさに過ぎる。

※記事の評価はD。

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