【日経の記事】
グラン・プラス(ブリュッセル)に建つ市庁舎 ※写真と本文は無関係です |
国際市場の中で日本のマンションやオフィスの割安感が強まっている。民間のまとめによると、4月1日時点の東京の新築高級マンションは、円建てに換算した香港の価格と比べ半額以下の水準だった。為替相場の円安が影響した。海外からみた割安感は強まっており、海外投資家の資金が日本へ流入している。国内不動産値上がりの一因になっている。
28日の日本不動産研究所(東京・港)の発表によると東京の新築高級マンション価格を100とする指数で、香港のマンション価格は4月1日時点で234.9だった。マンションの供給量が限られる香港は高値になりやすい。2014年10月1日と比べ、東京と香港の差が2割弱広がった。
また東京の高級マンションは上海、台北、シンガポールよりも割安だ。
記事には「東京のマンション価格の割安感は円安も背景に」というタイトルの棒グラフが付いていて、香港、台北、上海、シンガポール、東京、北京、ソウル、大阪、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミンの順でマンション価格が高いことを示している。そして記事では「東京の高級マンションは上海、台北、シンガポールよりも割安だ」などと記述している。
しかし、比較しているのはマンションの価格だけだ。記事作成に関わった記者・デスクは「割安」とは何か分かっていないのだろう。「割安」とは「品質や分量の割合から見て安価」という意味だ。株価で言えば、A社株が1000円でB社株が500円であっても、それだけで「B社株は割安」とは結論付けられない。1株当たりの利益などと比べて、初めて割安かどうかを判断できる。
不動産も同じだ。東京のマンション価格が香港の半額以下であっても、賃貸に回したと場合に期待できる賃料水準が香港の10分の1だとしたら「東京のマンション価格は香港より割安」と言えるだろうか。もちろん、様々な指標に照らしても東京のマンションは割安という可能性は残る。しかし、記事では、割安かどうかの情報を読者に提供していないまま「割安」と断定している。
付け加えると「国際市場の中で日本のマンションやオフィスの割安感が強まっている」という書き出しなのに、マンションに関してはアジアの主要都市との比較にとどまっているのが気になった(オフィスに関してはロンドンに触れている)。マンションのグラフは「アジアの主要都市のマンション価格を高い順に並べたもの」と推測できるが、これも記事で説明していない。日本不動産研究所のデータの対象がどうなっているのかは必須の情報だと思える。
※記事の評価はD。
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