2019年10月31日木曜日

「キャリアの終わりを意識する人」を誤解? 日経「働き方進化論」

キャリアの終わりを意識する人」とは「キャリアアップを意識」しない人と言えるだろうか。個人的には違うと思う。しかし31日の日本経済新聞朝刊1面に載った「働き方進化論 第4部~やる気の未来(2)社会人半ば、舞台新たに」という記事では、この2つを同一視している。
のこのしまアイランドパークのコスモス
        ※写真と本文は無関係です

まず「出世志向、40代転機」という見出しが付いた関連記事では以下のようにデータを紹介している。

【日経の記事】

パーソル総合研究所(東京・港)によると、42.5歳で出世したいと思わない人が思う人を上回り、45.5歳でキャリアの終わりを意識する人が意識しない人を抜く。

◇   ◇   ◇

本文には、このデータを根拠にしたと見られる以下の記述がある。

【日経の記事】

経済の変化が速くなると同時に社会人生活は長くなっていく。政府は企業に対し、25年度に65歳までの雇用を完全に義務化する。さらには70歳まで働けるようにする努力も義務付ける方針だが、働き手の意欲はそのかなり手前で転機を迎える。出世やキャリアアップを意識しながら働く人は40歳代で少数派になる



◎「少数派になる」?

キャリアの終わりを意識」している人は、その時点で既に「キャリアアップを意識」していないとの前提をこの記事には感じる。しかし別物ではないか。

例えば、30代後半になってメジャーリーグに挑戦する日本人投手がいるとしよう。野球選手としての「キャリアの終わりを意識」して当然の年齢になっている。しかし、この投手がメジャー入りやワールドシリーズ優勝を目指しているとすれば「キャリアアップを意識」してもいる。

キャリアの終わりを意識」しているからと言って「キャリアアップを意識しながら働く人」ではなくなったとは言えない。

会社勤めでも同じだ。「このままだと課長止まりか、頑張っても部長まで。取締役にはなれそうもないな。俺のキャリアも結局はそんなところか」と「キャリアの終わりを意識」している人がいたとしても、「部長になりたい」との意欲はある。つまり「キャリアアップを意識」している。

ついでに言うと「働き手の意欲」と「出世やキャリアアップ」を結び付ける書き方も引っかかった。無関係とは言わないが「働き手の意欲」に影響を与える要素の1つに過ぎない。

例えば、パートで働いている主婦の中には「出世やキャリアアップ」に関心がない人も少なからずいるだろう。だからと言って彼女らの「働き手」としての「意欲」が低いとは限らない。

出世やキャリアアップ」に関して「40歳代」で「転機を迎える」としても、「働き手の意欲」も同じように「転機を迎える」と判断するのは早計だ。



※今回取り上げた記事「「働き方進化論 第4部~やる気の未来(2)社会人半ば、舞台新たに」」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191031&ng=DGKKZO51594870Q9A031C1MM8000


※記事の評価はD(問題あり)

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