2019年10月16日水曜日

「退出」すべきは小田嶋隆氏の方では…と感じた日経ビジネスの記事

残念だが、小田嶋隆氏の書き手としての力の衰えがはっきりしてきた。今回は「『NHKから国民を守る党』の立花孝志党首」を取り上げた記事に問題を感じたので、以下の内容で問い合わせを送ってみた。回答と併せて見てほしい。
グラバー園(長崎市)※写真と本文は無関係です


【日経BP社への問い合わせ】

小田嶋隆様 日経ビジネス編集部 担当者様

10月14日号の「小田嶋隆の『pie in the sky』絵に描いた餅べーション~まとめてご退出願いたいが」という記事についてお尋ねします。気になったのは以下のくだりです。

脅迫動画の問題が報じられた際に、立花党首は記者会見を開き『今ただちに辞めることはしない。僕としては全く問題がない案件と考えている』と主張する一方で、『有罪になったら辞めなければいけない』と明言していた。あえて個人的な観測を述べるに、ネット動画という『公の場』で、『おまえの人生を徹底的につぶす』『お母さんも彼女も知っていますよ』などという明らかな脅迫の言葉を使ってトラブルの相手方を恫喝した以上、立花党首の『有罪』は免れ難いはずだ。とすると、『N国』は、党首が議席を失うことになる

朝日新聞は4日付の記事で「脅迫容疑で書類送検されたNHKから国民を守る党(N国)党首の立花孝志参院議員は4日の記者会見で、『実刑にならない限り議員を辞めない』と述べ、有罪になったら議員を辞めるとしていた従来の発言を撤回した」と伝えています。

これが事実ならば「『有罪』は免れ難い」という見方が正しいとしても「『N国』は、党首が議席を失うことになる」とは言い切れません。執行猶予付きの有罪判決があり得るからです。

4日の記者会見」なので、10月14日号の記事では「従来の発言を撤回した」ことを反映できたのではありませんか。となると「『有罪』は免れ難い」から「『N国』は、党首が議席を失うことになる」との説明は誤りだと思えますが、いかがでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。発言の撤回を伝えた朝日新聞など複数のメディアの報道が揃って間違っているという可能性もわずかにあるでしょう。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。


【日経BP社の回答】

いつも弊誌をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

本稿は、著者が「あえて個人的な観測を述べるに」とお断りしております通り、現状を鑑みての可能性の一つとして、「党首が議席を失うことになる」と書かれております。ご指摘のとおり、執行猶予などによって、著者の推論とは異なる結果に至る可能性も、もちろんございます。

このたびは誠に貴重な視点からのご意見をいただき、感謝いたします。勉強になりました。こちらの件は著者にお伝えさせていただきます。今後とも弊誌をご愛顧くださいませ。

◇   ◇   ◇

この回答は日経ビジネス編集部の担当者が書いたものだろう。意図的にはぐらかしたのだとは思うが、質問の答えにはなっていない。

有罪になったら辞めなければいけない」と立花党首は明言している→「立花党首の『有罪』は免れ難い」と個人的には見ている→故に「『N国』は、党首が議席を失うことになる」--というのが小田嶋氏の見立てだ。

しかし、複数のメディアの報道によれば「有罪になったら辞めなければいけない」という発言は既に撤回されている。だとすれば「『N国』は、党首が議席を失うことになる」という見立ては成立しないのではないかというのが問い合わせの趣旨だ。

この場合、「有罪』は免れ難い」という見方が正しいかどうかは関係ない。なのに「執行猶予などによって、著者の推論とは異なる結果に至る可能性も、もちろんございます」などと回答している。

『N国』は、党首が議席を失うことになる」という予測が外れる場合もあるのではないかと聞いているのではない。「『N国』は、党首が議席を失うことになる」という予測の前提が崩れているのではないかと質問している。そこはしっかり答えてほしかった。

今回の記事ではもう1つ気になる点があった。長くなるが、記事を引用してみる。

【日経ビジネスの記事】

この政党は、ただでさえ複数の爆弾をかかえている。立花党首は、これもYouTubeに公開した対談番組の中で、世界の人口増加への対応について「ばかな国ほど子どもを産む。ばかな民族というか。そういう人たちを甘やかすとどんどん子どもを産む。ものすごく大ざっぱに言えば、あほみたいに子どもを産む民族は、とりあえず虐殺しよう、みたいな」などと発言している。

さらに、日本からの途上国への教育支援にも疑問を呈し、「犬に教えるのは無理。犬に近い。世界の人間にはそれに近い人が圧倒的に多いんだ」と述べている。人にも犬にも失礼だ。

売れっ子YouTuberの本能として、より強い言葉での断言を選択した、ということなのだろうが、国会議員のバッジを着けている以上、「YouTuberの勇み足」では済まされない。実際、朝日新聞は10月2日付の社説で、立花党首の発言を詳しく紹介しつつ「N国党首暴言 国会は厳しく対処せよ」と、強い見出しを掲げて、立花党首を批判している。外堀は埋まりつつある。

同党所属のほかの議員がどうなのかと言えば、7月に同党に合流した丸山穂高衆議院議員は、8月31日にツイッター上に「竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね? 戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と投稿している。さらに、10月1日にはこれもYou Tubeの動画の中で、立花党首が、ホリエモンこと堀江貴文氏と対談して、その動画の中でN国の公認候補者に決定した旨を発表している。堀江氏自身は立候補を明言しているわけではない。が、否定もしていない。どうやら同党の炎上手法に加担する決意を固めた、ように見える。

さらには2016年の都知事選に出馬(落選)している上杉隆氏も、8月にN国の幹事長兼選対委員長に就任し、来年夏の都知事選に出馬をにおわせている。立花氏、丸山氏、堀江氏、上杉氏と、続々とN国に馳せ参じたメンバーの名前をあらためて見回してみると、強い「磁力」を感じざるを得ない。

似たものが集まるのは悪いことばかりではない。例えば、落ち葉は時期を見て一カ所に掃き集めて燃やすのが効率が良い。しかし、夏のような天気続きで憂鬱だ。


◎「似たもの」と言うならば…

ばかな国ほど子どもを産む。ばかな民族というか。そういう人たちを甘やかすとどんどん子どもを産む。ものすごく大ざっぱに言えば、あほみたいに子どもを産む民族は、とりあえず虐殺しよう、みたいな」という発言が事実ならば確かに問題だ。こういう発言をした人物と「立花氏、丸山氏、堀江氏、上杉氏」は「似たもの」だと小田嶋氏は言う。
松島(宮城県松島町)※写真と本文は無関係です

だったら「似たもの」だとの根拠が記事中に欲しい。「丸山穂高衆議院議員」については少し材料がある。「竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね? 戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と「ツイッター」に投稿したらしい。これと「虐殺しよう」発言が似ているのか。個人的には「丸山氏」の発言に何の問題も感じない。

百歩譲って「丸山氏」に関しては「似たもの」と言える根拠が示せているとしよう。「堀江氏、上杉氏」に関しては材料ゼロだ。

なのに「虐殺しよう」発言をする人と「似たもの」だと書かれ、「例えば、落ち葉は時期を見て一カ所に掃き集めて燃やすのが効率が良い」と「消し去るべき人物」だと示唆されてしまう。まともな根拠も示さず「堀江氏、上杉氏」の名誉を傷付ける小田嶋氏の方が非難されてしかるべきではないか。「退出」すべきは誰なのか、小田嶋氏に改めて考えてほしい。


※今回取り上げた記事「小田嶋隆の『pie in the sky』絵に描いた餅べーション~まとめてご退出願いたいが
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00106/00038/?P=1


※記事の評価はD(問題あり)。小田嶋隆氏の評価はC(平均的)からDへ引き下げる。小田嶋氏については以下の投稿も参照してほしい。

どうした小田嶋隆氏? 日経ビジネス「盛るのは土くらいに」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2016/09/blog-post_25.html

山口敬之氏の問題「テレビ各局がほぼ黙殺」は言い過ぎ
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/06/blog-post_10.html

小田嶋隆氏の「大手商業メディア」批判に感じる矛盾
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_12.html

杉田議員LGBT問題で「生産性」を誤解した小田嶋隆氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/lgbt.html

「ちょうどいいブスのススメ」は本ならOKに説得力欠く小田嶋隆氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/ok.html

リツイート訴訟「逃げ」が残念な日経ビジネス「小田嶋隆のpie in the sky」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/pie-in-sky.html

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