2017年5月15日月曜日

「京都人」の説明に矛盾 週刊ダイヤモンド「関西流企業の逆襲」

関西への誤った先入観を読者に植え付ける危険な記事を満載したのが、週刊ダイヤモンド5月20日号の「関西流企業の逆襲~大阪・京都・神戸はなぜ強い?」という特集だ。まずは特集内での矛盾を指摘したい。以下の記事を読んで「京都人は行列に並ぶかどうか」を考えてほしい。
「季楽 櫨山」(福岡県久留米市)の桜
       ※写真と本文は無関係です

最初に「Part 2 知らなあかん! 大阪・京都・神戸の『流儀』」の中の「ほんまに違う! 大阪・京都・神戸の気質」という記事を見ていく。

【ダイヤモンドの記事】

京阪神の3都人の気質は三者三様で、いわゆる関西人のステレオタイプとはずいぶん違っているが、イメージ通りの部分もある。「行列に並ばない」ことだ。イラチの大阪人が並んで待つなんてことは考えられないし、京都人は人まねが嫌いなので、行列のある場所には意地でも行かない。神戸人は選択肢をたくさん持っているので、わざわざ行列のある店を選ばない。

◇   ◇   ◇

次は、同じPart 2の中の「『一見(いちげん)さんお断り』の世界を垣間見る~ 花街(かがい)の伝統の変質が示す古都・京都の変貌」という記事だ。

【ダイヤモンドの記事】

四条河原町という京都一の繁華街に、大行列ができる抹茶専門店がある。東京の企業が「京都」を売りにして海外展開し成功した業態を京都に逆輸入した。インバウンド客だけでなく、今や京都人も列を成す繁盛ぶりだ。

◇   ◇   ◇

京都人は人まねが嫌いなので、行列のある場所には意地でも行かない」が、四条河原町の抹茶専門店だけは例外なのだろうか。週刊ダイヤモンド編集部に問い合わせをしてみた。

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 重石岳史様 鈴木崇久様 前田 剛様 大根田康介様 西田浩史様

5月20日号の特集「関西流企業の逆襲」についてお尋ねします。記事では「京阪神の3都人」に共通する気質として「行列に並ばない」ことを挙げ、以下のように記しています。
甲佐神社(熊本県甲佐町)※写真と本文は無関係です


「イラチの大阪人が並んで待つなんてことは考えられないし、京都人は人まねが嫌いなので、行列のある場所には意地でも行かない。神戸人は選択肢をたくさん持っているので、わざわざ行列のある店を選ばない」

一方、別の記事では京都の現状について「四条河原町という京都一の繁華街に、大行列ができる抹茶専門店がある。東京の企業が『京都』を売りにして海外展開し成功した業態を京都に逆輸入した。インバウンド客だけでなく、今や京都人も列を成す繁盛ぶりだ」と説明しています。

京都人は「行列のある場所には意地でも行かない」はずなのに、四条河原町の抹茶専門店が「今や京都人も列を成す繁盛ぶり」なのは解せません。「京阪神の3都人」が「行列に並ばない」というのは間違いではありませんか。個人的な経験で恐縮ですが、過去には大阪市内でも食べ物屋に並ぶ光景が当たり前に見られました。その全てが大阪外の人とは考えにくい気がします。

仮に「京阪神の3都人」が「行列に並ばない」との説明が正しいとすれば、京都の抹茶専門店に「京都人も列を成す」のは、どう理解すればよいのでしょうか。納得できる回答をお願いします。

◇   ◇   ◇

ダイヤモンドから回答が届く可能性はゼロに近いので、取材班がどう判断したのかは分からないままだろう。ただ、常識的に考えて、大阪人も京都人も神戸人も行列に並ぶ人はそこそこいるはずだ。「並ぶ派」の割合が低いか高いかを論じるならば分かるが、「大阪人が並んで待つなんてことは考えられない」「京都人は人まねが嫌いなので、行列のある場所には意地でも行かない」などと決め付けるのは危険だ。こういう書き方をされると記事への信頼が大きく揺らいでしまう。


※追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた特集「関西流企業の逆襲~大阪・京都・神戸はなぜ強い?
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/20139


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

人材輩出力で関西が圧倒? 週刊ダイヤモンド「関西流企業の逆襲」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_16.html

「関西は高学力」? 週刊ダイヤモンド「関西流企業の逆襲」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_20.html

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