2017年5月3日水曜日

あと一歩踏み込みが…日経「J・フロント 相談役廃止へ」

3日の日本経済新聞朝刊企業総合面に載った「J・フロント 相談役廃止へ 奥田元会長らは特例で留任」という記事の中身は非常に興味深い。しかし、踏み込みが足りないために肝心の部分がよく分からない。このニュースで重要なのはなぜ「制度廃止は新任にとどめ」たかだ。推測でもいいから、そこに触れてほしかった。
カトリック久留米教会(福岡県久留米市)
        ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

J・フロントリテイリングは相談役制度を廃止する。産業界全体に対し、経営トップ経験者による「院政」につながるとの批判が増えていることに対応する。ただ、制度廃止は新任にとどめ、奥田務元会長(77)と茶村俊一前会長(71)の2人の現職相談役は特例を設けて留任する

大手小売りで相談役制度をなくす例は珍しい。Jフロントは5月25日の株主総会に定款変更を提案し、規定廃止を正式に決める。企業統治を強化し、経営の透明性を高める狙いだ。

日本では社長や会長退任後も相談役や顧問として経営に関与し続ける例が少なくない。例えば東芝の場合、複数の相談役による影響力行使が経営危機を招いた一因との指摘がある。経済産業省は3月、相談役・顧問について情報開示の拡充を求める報告書をまとめた。投資家の間にも疑問を呈する声が増えている。Jフロントの方針は、こうした動きを受けたものだ。

一方、現任の相談役については「終任時まで効力を有する」との付則を設ける。2013年に会長兼最高経営責任者(CEO)を退任してから相談役に就いている奥田氏らは、任期満了まで現職にとどまる。

◇   ◇   ◇

相談役制度を廃止する」理由が「経営トップ経験者による『院政』につながるとの批判が増えていることに対応する」ものならば、「現任の相談役」にも退いてもらうのが筋だ。しかし、なぜか「現任の相談役については『終任時まで効力を有する』との付則を設ける」らしい。

制度廃止に抵抗する「現任の相談役」がいて、その人物に配慮した結果なのだろうか。だとしたら「相談役による影響力行使」がJ・フロントにもあり、今後もしばらくは「影響力」が残ることになる。その辺りが興味深いところなのに、記者もJ・フロントに遠慮があるのか素通りしてしまう。

さらに言えば「任期満了」がいつになるのかも気になる。まさか「終身」ではないだろうが、任期が残り1~2年ならば「特例を設けて」まで留任させる必要があるのかとの疑問も生じる。

しかし、奥田務氏が「特例」にまですがって相談役のポストに執着しているとしたら情けない。77歳になってもまだ何か影響力を残したいのか。「特例」が自ら求めたものではないのならば、特例の適用を拒んで即座に相談役を退いてはどうだろう。その方が晩節を汚さずに済むと思えるが…。


※今回取り上げた記事「J・フロント 相談役廃止へ 奥田元会長らは特例で留任

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170503&ng=DGKKZO16027490S7A500C1TI1000

※記事の評価はC(平均的)。

0 件のコメント:

コメントを投稿