2016年4月10日日曜日

日経ビジネス篠原匡記者の市場関連記事に要注意(2)

日経ビジネス4月11日号に篠原匡記者(ニューヨーク支局)が書いた「時事深層~市場は次の下落に身構える」の問題点を引く続き指摘していく。まずは、原油相場が反発に転じた理由について篠原記者の解説を見てみよう。
菜の花が咲くJR久大本線(福岡県久留米市)
              ※写真と本文は無関係です

◎理由もなく売り方が不安になった?

【日経ビジネスの記事】

しかし、今の原油市場は需給より、投機筋の思惑が相場を左右している。ニューヨークのヘッジファンド、アゲイン・キャピタルのジョン・キルドフ氏は米ブルームバーグで次のように解説した。

「今回の高騰は、自分たちのポジションにおびえた投資家のポジション解消から始まった」。一部の投資家が原油価格の下落に賭けて空売りを仕掛けていたが、原油価格が1バレル30ドルを割り込む段階まで来た中で、さらに空売りを仕掛けることに不安を感じたというのがきっかけだという

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恐ろしいほど中身の乏しい解説だ。「一部の投資家」が「1バレル30ドルを割り込む段階まで来た中で、さらに空売りを仕掛けることに不安を感じた」のが原油相場反発のきっかけだと篠原記者は言う。ならば、「30ドル割れの段階でなぜ不安を感じるようになったのか」を書くべきだ。「そこは分からない。ただ、なぜだか急に不安を抱く投資家が増えたんだ」というのなら、そう明記してほしい。

そもそも30ドルを割り込んだ段階で、ほとんどの売り方は利が乗っているはずだ。「急激な相場上昇を受けて含み損が膨らんでいる」という状況ならば「不安を感じた」のも理解できる。しかし、下落傾向が続いている中で「なぜか理由もなく売り方が不安になった」と言われても「なるほど」とは思えない。


◎どこが「実需面」?

【日経ビジネスの記事】

実需面でも下落リスクは残っている。確かに産油4カ国は増産凍結で合意したが、経済制裁を解除されたイランは原油増産を表明している。これに対して、サウジアラビアのムハンマド副皇太子は4月1日、増産凍結にイランが参加しなければサウジは加わらないとブルームバーグのインタビューで述べており、産油国の足並みがそろうかは不透明なままだ。

また、原油価格の下落を受け、米シェールオイル業界は軒並み減産に踏み切ったが、原油価格が1バレル50ドルを超えれば再び生産を始めるだろう。

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実需面でも下落リスクは残っている」と書いているのに、どこまで行っても「実需」に関する話が出てこない。この内容ならば「実需面」ではなく「供給面」「需給面」などとすべきだ。

ついでに言うと「原油価格が1バレル50ドルを超えれば再び生産を始めるだろう」のくだりは「生産を始めるだろう」ではなく「増産に転じるだろう」などとした方がよい。「米シェールオイル業界は軒並み減産に踏み切った」のだろうが、生産を完全にストップしているとは思えないので…。


◎どの程度の「ポジション解消」なのか書かないと…

【日経ビジネス】

「ファンダメンタルズは何も変わっていない。投資家がポジション解消に走れば、コモディティー市場は20~25%ほど下落する恐れがある」とバークレイズ証券のノリッシュ氏は警鐘を鳴らす。コモディティー価格が再び落ち込むようになれば、株式市場にも波及することは間違いない。

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この解説も、何も言っていないに等しい。どの程度のポジション解消を前提に「20~25%ほど下落」と言っているのか分からないからだ。あらゆる商品先物市場で投機筋が一斉に全ての買い建玉を手じまおうとすれば、相場は暴落するだろう。しかし、今後1年かけて1~2%の買い建玉を減らすという話ならば、大きな影響があるとは思えない。

例えば「株主が保有株を売りに出せば、トヨタ株は20~25%ほど下落する恐れがある」という解説に意味があるだろうか。大株主が全株を売りに出せば大きな影響は出るが、1単元の株しか持たない投資家が保有株を手放したところで、相場を動かす力はほとんどない。そのぐらいは篠原記者にも分かりそうなものだが…。

今回の記事を見る限り、篠原記者がこれから市場関連記事をきちんと書けるようになる可能性は非常に低い。それでも記事を書かせ続けるのならば、編集部を挙げてしっかり手助けしてあげるべきだ。


※記事の評価はD(問題あり)。篠原匡記者への評価もDを維持する。

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