2016年4月29日金曜日

週刊エコノミスト 「ウーマノミクス関連銘柄」の怪しさ(1)

週刊エコノミスト5月3日・10日号の特集「新聞に載らない経済&投資」の中の「投資~ウーマノミクス関連銘柄は買い?」という記事は怪しげな中身だった。「女性を積極的に活用すべきだ」といった内容の記事を女性の筆者が書くと、結論ありきで話を組み立てる傾向が強くなる。今回の記事を担当したゴールドマン・サックス証券チーフ日本株ストラテジストのキャシー・松井氏も例外ではないようだ。
鎮西身延山 本佛寺(福岡県うきは市)
         ※写真と本文は無関係です

記事ではゴールドマンが選んだ「ウーマノミクス関連銘柄バスケット」を紹介している。資生堂、ワコールHDなど36銘柄で構成しているが、これをどういう基準で選んだのか記事を読んでも理解できない。関連する記述を見ていこう。

【エコノミストの記事】

女性活躍法の施行は、革命的な出来事といえる。

企業側の反応はさまざまだ。もともと積極的に女性登用に取り組んできた企業は高い目標を掲げる一方で、控え目な企業もあるだろう。いずれにしても、女性が就職する際に、業界や企業を比較できるようになった。自分の将来を女性比率だけで決めるわけではないが、仕事に重きを置く女性は、女性管理職割合が高い会社を選ぶだろう。

日本は人材獲得戦争の時代を迎えている。優秀な人材を確保できるかどうかは、企業の勝負の大きな分かれ目だ。真剣に取り組んでいる企業にとって、女性活躍推進法は大きな武器になり、競争力、将来の成長につながる。

ウーマノミクス関連銘柄バスケット(表)は、このような観点で選んでいる。「女性活躍」により、潜在的な恩恵を受ける企業だ。女性の雇用拡大により、女性の所得が増え、消費も増える。独身、夫婦、母親と様々な立場があり、レジャー、美容、育児、介護サービスの提供など、女性の支出先は幅広い。

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このような観点」がどのような観点か漠然としている。素直に解釈すれば「(優秀な人材確保に)真剣に取り組んでいる企業にとって、女性活躍推進法は大きな武器になり、競争力、将来の成長につながる」という観点だろう。しかし、この観点から「ウーマノミクス関連銘柄」を選んだと言われても、「何でもあり」としか思えない。

『女性活躍』により、潜在的な恩恵を受ける企業だ」との説明も謎だ。なぜ「潜在的」なのか。文字通りに受け止めれば、「恩恵」が顕在化する企業は「ウーマノミクス関連銘柄」から除外していることになるが、ちょっと考えにくい。

業種別に見ると、「サービス・Eコマース・通販」では鉄道がJR東日本だけで、航空ではANAが入り、JALは外れている。「美容・アパレル」ではファーストリテイリングは入っているが、しまむらは選ばれていない。記事で述べた「観点」からは、なぜこうした選別になるのか全く分からない。ちなみに「育児・介護」には介護事業を売却済みのワタミが入っている。

恣意的に選んだ雰囲気が漂う「ウーマノミクス関連銘柄」に関して、キャシー・松井氏は以下のように述べている。

【エコノミストの記事】

実際、ウーマノミクス関連銘柄のパフォーマンスはいい。TOPIX(東証株価指数)と比較すると、アベノミクス開始以降に差が開き始めた(図)。ウーマノミクス関連銘柄は、短期の一時的な現象ではなく、社会情勢を反映しており、好調な株価も構造的な要因と位置づけている

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よく分からない基準で選んだ「ウーマノミクス関連銘柄」の過去のパフォーマンスを基に「好調な株価も構造的な要因と位置づけている」らしい。これが本当ならば、ウーマノミクス関連銘柄でポートフォリオを構成してみたい。市場平均を今後も「構造的に」上回れるのならば、素晴らしい話だ。

しかし、そうする気にはなれない。「持続的に市場平均を上回る方法」は基本的にない。少なくとも「ウーマノミクス関連銘柄を持っておけば大丈夫」といった単純な話ではないはずだ。しかも、「ウーマノミクス関連銘柄」の選び方がよく分からない。これで「好調な株価も構造的な要因」だと信じるのは、あまりに危険だ。

あくまで推測だが、ウーマノミクス関連銘柄は女性活躍に関係ありそうな銘柄の中から、過去のパフォーマンスが市場平均を上回っているものを中心に選んだのではないか。「だから銘柄の選別方法を明示できなかった」と考えると辻褄は合う。

この記事には他にも疑問点がある。それは(2)で述べる。

※(2)へ続く。

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