2022年6月29日水曜日

「デフレ圧力が残っている」と日経 菅野幹雄上級論説委員は言うが…

日本経済新聞の菅野幹雄上級論説委員が29日の朝刊オピニオン面に書いた「中外時評~物価高が問う『家計との対話』」 という記事には色々と引っかかる部分があった。中身を見ながら具体的に指摘したい。

夕暮れ時の筑後川

【日経の記事】

「いまの日本では急性インフレと慢性デフレが同時進行している」。黒田氏が引用した消費者の物価観に関する調査を実施した渡辺努東大教授は、そう指摘する。

暮らしの目線ではウクライナ危機を受けたエネルギー価格などの急上昇が目立つ。だが「消費者物価指数を構成する600近い品目のうち、支出比重で4割の品目は価格が1年前から動いていない。これは世界のどこにもない現象だ」という。物価下落が続いているわけではないが、デフレ圧力は歴然と残っている。


◎「デフレ圧力」の根拠は?

「デフレ圧力は歴然と残っている」と菅野上級論説委員は言い切るが根拠は見当たらない。「4割の品目は価格が1年前から動いていない」としても、そうした「品目」の価格が強含みなのか弱含みなのかは分からない。「エネルギー価格などの急上昇が目立つ」のであれば、強含みと見る方がまだ自然だ。

続きを見ていく。


【日経の記事】

「家計との対話」は世界中の中央銀行が苦しんでいる。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は0.75%という通常の3倍の幅で政策金利を上げて8%台のインフレに対処し、景気後退の可能性も「確かにある」と断言する。生活苦につながる物価高を力ずくで抑え込む姿勢だ。

だが、日本は強引に金利を上げるような段階にはまったく至っていない。日本の根本的な課題がそこにある。


◎論じるのはそこ?

「日本は強引に金利を上げるような段階にはまったく至っていない。日本の根本的な課題がそこにある」と菅野上級論説委員は言う。となると「強引に金利を上げるような段階」に至る方が好ましいということか。そんなにインフレはいいものなのか。

「強引に金利を上げるような段階」にはなっていないとしても、長期金利が上昇するのが当たり前の局面には入ってきている。それを日銀が「強引に」抑え込んでいるところには「日本の根本的な課題」はないのか。上級論説委員として、そこを考えてほしい。

さらに続きを見ていく。


【日経の記事】

「デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び日銀の政策連携を強化し、一体となって取り組む」。2013年1月に安倍政権が日銀と出した共同声明は完遂には至っていない。むしろ物価は動かないもの、動かない方がいいという認識が、日本になお深く根付いている。

物価が動かない4割の品目は、輸入価格上昇の影響を受けず人件費も上がっていないサービス分野が大半だ。消費者が値上げを嫌い、それを恐れた企業が価格を据え置く。収益は改善せず賃金も上がらない。守りの経済でイノベーションの意欲は起きない。そんな悪循環が起きている。


◎そんなに物価を動かしたい?

物価は「動かない方がいいという認識が、日本になお深く根付いている」と菅野上級論説委員は言う。仮にそうだとして何が問題なのか。物価の安定を求めるのは別に悪くない。

「消費者が値上げを嫌い、それを恐れた企業が価格を据え置く。収益は改善せず賃金も上がらない。守りの経済でイノベーションの意欲は起きない。そんな悪循環が起きている」とも言うが、おかしな話だ。

自分が経営者ならば「消費者が値上げを嫌い、それを恐れた企業が価格を据え置く。収益は改善せず賃金も上がらない」という状況の方が「イノベーションの意欲」は湧く。

「サービス分野」で人手を大幅に減らしても従来通りの事業展開ができる「イノベーション」を起こせたらどうなるか。人員が余るので新規採用なしに事業を拡大できる。「価格を据え置く」としても事業拡大で「収益は改善」できる。「イノベーション」がコスト削減ももたらすものならば「賃金」を上げる余地も生まれる。

「消費者が値上げ」を簡単に受け入れてくれる環境の方が「イノベーションの意欲」は湧かない。困ったら値上げをすればいいだけだ。「イノベーション」に頼る必要はない。

ちなみに記事の説明では「悪循環」にならない。

「消費者が値上げを嫌い、それを恐れた企業が価格を据え置く。収益は改善せず賃金も上がらない。守りの経済でイノベーションの意欲は起きない。イノベーション不足がさらに消費者を値上げ嫌いにする。そんな悪循環が起きている」という話なら分かる。

「A→B→C→D」という流れでは「循環」ではない。「A→B→C→D→A→B→……」となる必要がある。しかし「守りの経済でイノベーションの意欲は起きない」→「消費者が値上げを嫌い」という因果関係はちょっと考えにくい。


※今回取り上げた記事「中外時評~物価高が問う『家計との対話』」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220629&ng=DGKKZO62121370Y2A620C2TCR000


※記事の評価はD(問題あり)。菅野幹雄氏への評価もDを据え置く。菅野氏については以下の投稿も参照してほしい。

米国は「民主主義の再建」段階? 菅野幹雄ワシントン支局長に考えてほしいことhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2021/04/blog-post_30.html

「追加緩和ためらうな」?日経 菅野幹雄編集委員への疑問
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_20.html

「消費増税の再延期」日経 菅野幹雄編集委員の賛否は?
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_2.html

日経 菅野幹雄編集委員に欠けていて加藤出氏にあるもの
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/08/blog-post_8.html

日経「トランプショック」 菅野幹雄編集委員の分析に異議
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_11.html

英EU離脱は「孤立の選択」? 日経 菅野幹雄氏に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/03/blog-post_30.html

「金融緩和やめられない」はずだが…日経 菅野幹雄氏の矛盾
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_16.html

トランプ大統領に「論理矛盾」があると日経 菅野幹雄氏は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_24.html

日経 菅野幹雄氏「トランプ再選 直視のとき」の奇妙な解説
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_2.html

MMTの否定に無理あり 日経 菅野幹雄氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/mmt-deep-insight.html

「トランプ流の通商政策」最初の成果は日米?米韓? 日経 菅野幹雄氏の矛盾https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/blog-post_27.html

新型コロナウイルスは「約100年ぶりのパンデミック」? 日経 菅野幹雄氏に問うhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2021/01/100.html

「中間選挙が大事」は自明では?日経 菅野幹雄氏「Deep Insight」に足りないものhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2021/02/deep-insight.html

「『マルチの蘇生』最後の好機」に根拠欠く日経 菅野幹雄氏「Deep Insight」https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/03/deep-insight.html

2022年6月27日月曜日

「未来のクルマ」は「辺境から」に説得力欠く日経 杉本貴司編集委員「経営の視点」

「未来のクルマ」の作り手は「巨大産業の辺境から現れる」と日本経済新聞の杉本貴司編集委員は言う。その主張に説得力はあるだろうか。27日の朝刊ビジネス面に載った「経営の視点:未来のクルマ、『門外漢』が創る~ソフト技術者導く時代」という記事の中身を見ながら考えてみたい。「辺境」については「中央から遠く離れた地帯」(デジタル大辞泉)と定義する。

室見川

【日経の記事】

「We Overtake TESLA(テスラを追い抜いてみせる)」

こんな言葉をホームページに大書するスタートアップがある。2025年に完全自動運転車の発売を目指すTURINGだ。

まだ創業して1年とたたない。千葉県柏市のシェアオフィスにパソコンとホワイトボードがあるだけ。

ただし、大ぼらと言うなかれ。19年前にたった2人で創設されたテスラも最初はちっぽけなスタートアップだった。それに当時とは自動車産業を取り巻く状況が大きく変わっている。

テスラは電気自動車(EV)という新しい価値をこの巨大産業に持ち込んで勝負した。だが、今ではEVは中国勢など世界中の多くの企業が量産している。新しい価値の源泉となりつつあるのが自動運転に代表される人工知能(AI)、つまりソフトウエアだ。

TURINGを創業した2人もこの分野で名をはせた。社長の山本一成氏はプロ棋士を負かした将棋AI「ポナンザ」の開発者として知られる。最高技術責任者(CTO)の青木俊介氏は自動運転の研究で世界最高峰とされる米カーネギーメロン大学で博士号を取得し、米ゼネラル・モーターズ(GM)との共同研究に携わった。2人とも自動車というよりAIの専門家だ。


◎「AIの専門家」は「辺境」にいる?

「TURINGを創業した2人」は「辺境」にいるのか。「AI」は「自動車産業」の「辺境」に位置するのか。「AI」の用途は幅広いので「AI」を「自動車産業」における「辺境」と見なすのは不適切だと思える。

「完全自動運転車」という領域で考えると「AIの専門家」である「TURINGを創業した2人」はむしろ「中央」に近い位置にいそうだ。

続きを見ていこう。


【日経の記事】

本当にテスラを超えられるのか――。山本氏に聞くと涼しい顔で逆質問された。「なぜできないと?」

自動車業界のアウトサイダーだったテスラの創業者たちも、同じように問うたことだろう。「なぜ我々が自動車メーカーに勝てないと思う」、と。

自動車が巨大産業となって100年ほど。エンジンを積む車の「走る、曲がる、止まる」を競い続けた歴史が今、大きく変わろうとしている。変革をドライブするのはいつの時代も辺境から来た挑戦者たちだ。


◎話は逸れるが…

話は逸れるが、今回の記事では「TURING」の強みに触れていないのも気になった。

「本当にテスラを超えられるのか」との問いに「TURING」の創業者は「なぜできないと?」と返しているだけだ。実際の取材では、この先があるはずだ。そして「本当にテスラを超えられるかも」と感じたからこそ今回の記事で長々と紹介したのだろう。

なぜ「テスラを超えられるかも」と判断したのか。簡単でいいので言及してほしかった。

続きを見ていく。


【日経の記事】

自動車への参入を表明したソニーグループもしかり。自動車事業を統括する川西泉常務も、「エレキのソニー」では辺境を歩き続けてきた経歴の持ち主だ。

1986年に入社した当時は、ソニーが細々と手がけていた8ビットパソコンのソフトを開発していた。その後もゲーム機のソフトを手がけるなど、当時のソニーの本丸と目された家電とは、ほとんど無縁の会社人生を歩んできた。

その川西氏が率いるAI開発チームが自動車事業の主軸を担う。エレキのソニーの時代にはずっと脇役だった者たちだ。陣容からして自動車産業のどこで勝負するかが推測できる。言うまでもなくソフトだ。


◎ゲームがソニーの「辺境」?

「辺境」の2番目の事例になると、さらに苦しくなる。自動車業界でトヨタ自動車が「中央」に当たりソニーは「辺境」という話なら分かる。ソニーを「辺境」とするのは気が引けたのか、ソニー内部での「辺境」で話を進めてしまう。

。ソニー「変革」の話ならばソニー内の「辺境」から「変革」者が出てくるという事例でいい。しかし今回は「自動車産業」がテーマのはずだ。

さらに言えば「ゲーム機のソフト」部門をソニーの「辺境」と位置付けるのも無理がある。ゲーム事業がソニーで大きな比率を占めるようになってもう長い。「中央」に組み込まれていると言ってもいいぐらいだ。

記事の終盤を見ていく。


【日経の記事】

自動車大手も変化に備えている。トヨタ自動車の豊田章男社長は「ソフトウエア・ファースト」の車づくりを唱える。富士山麓にそれを実験するための街を建設中だ。日産自動車もソフト開発者を育てるための専門施設をつくった。運営する豊増俊一フェローは40年以上前に入社した頃は社内でソフト技術者は「便利屋」だったと言うが、その立場はすっかり様変わりした。

未来のクルマは誰が創るのか――。壮大なゲームチェンジを制する新たな覇者の姿はまだ見えない。ひとつだけ言えそうなのは、それが巨大産業の辺境から現れるだろうということだ。


◎最後は「中央」に…

「未来のクルマ」の作り手は「巨大産業の辺境から現れる」という話なのに、最後は「中央」の中の「中央」とも言える「トヨタ自動車」の事例を持ってきている。

「トヨタ自動車」や「日産自動車」も「変化に備えている」のならば「未来のクルマ」の作り手は「巨大産業の辺境から現れる」とは限らない。結局は「自動車大手」が「未来のクルマ」を「創る」展開も十分にあり得る。

だったら「ひとつだけ言えそうなのは、それが巨大産業の辺境から現れるだろうということだ」との結論に説得力はない。「自動車大手」への遠慮が最後に顔を出したように見える。


※今回取り上げた記事「経営の視点:未来のクルマ、『門外漢』が創る~ソフト技術者導く時代」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220627&ng=DGKKZO62073920X20C22A6TB0000


※記事の評価はD(問題あり)。杉本貴司編集委員への評価はDで確定とする。杉本編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「富裕層の2%がビジネスジェット保有」に見える日経の説明不足https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_68.html

2022年6月22日水曜日

効果の乏しそうな「手」が並んだ日経連載「少子化打つ手はないか」

 日本経済新聞朝刊 経済教室面で20~22日に連載した「少子化打つ手はないか」は失望させられる内容だった。筆者3人の主張の「ポイント」を並べてみよう。


夕暮れ時

(1)松田茂樹 中京大学教授

・個人や世帯の特性問わない総域的対策を

・現物給付拡充も現金給付はかなり低水準

・財源確保へ国民の幅広い費用負担が必要


(2)前田正子 甲南大学教授

・少子化対策は財源問題を抱えつぎはぎに

・自治体格差や利用者属性による格差も

・子どもや若者守るという社会の覚悟示せ


(3)脇坂明 学習院大学教授

・父親の育児短時間勤務の利用なお低水準

・祖父母が育児休業をとれる制度も検討を

・テレワーク普及へ管理職の利用促進図れ


◎結局、打つ手はない?

「少子化打つ手はないか」との問いに関して言えば、当然に「打つ手」はある。だが、先進国的な枠組みを前提にすると、有効な「打つ手」は見当たらない。「有効な手」とは「人口置換水準である出生率2強を確保できる手」との前提で話を進めたい。

上記の3氏は連載の中であれこれと語っているが、誰も「有効な手」を教えてくれない。特に前田氏と脇坂氏は具体性に欠ける話が多く、編集側も「ポイント」を挙げるのに苦労したのではないか。脇坂氏の「祖父母が育児休業をとれる制度も検討を」は具体策ではあるが、これで出生率が大きく上がると考える人はほぼゼロだろう。

3氏の中で最も具体性があると感じた松田氏の主張をもう少し詳しく見てみよう。

【日経の記事】

今後少子化対策を総域的に推進するために、2点の優先的な取り組みが求められる。

第1に現金給付の充実だ。主要国に比べ日本の現金給付水準は大幅に低い。表に家族関係社会支出(子育て支援への支出におおむね相当)の国内総生産(GDP)比と国民負担率(国民所得に占める税と社会保障負担の割合)を示した。

日本は17年時点で現金給付のGDP比が0.65%、現物給付が0.93%、税制が0.2%で、合計1.8%だ。20年時点では現物給付のGDP比が1.3%に高まったことで、合計も2.1%に上昇した。それでも主要国と比較すると、現物給付の水準は英仏とほぼ同程度になったが、現金給付および現金給付と税制の合計については欧州主要国よりも大幅に低いままだ。


◎相変わらず欧州と比べたがるが…

少子化問題を語る上で気を付けたいのが「欧州見習え論」だ。進歩的な考え方をする論者の多くがこの罠にはまってしまう。「欧州主要国」で人口置換水準を安定的に上回っている国はない。つまり、どの国も有効な手を打てていない。移民の高い出生率という支えがあるフランスでも人口置換水準に届かないのだから、「欧州」的(「先進国」的と言ってもいい)なアプローチで少子化の克服は難しいと見るべきだ。

松田氏を含め、今回の連載の筆者3人は「欧州見習え論」を展開はしていない。しかし、どうしても「欧州主要国」との比較はやめられないようだ。

「現金給付および現金給付と税制の合計については欧州主要国よりも大幅に低いまま」だとして、それを「欧州主要国」の水準に合わせると少子化を克服できるのならば「打つ手」として検討してもいい。しかし、そういう状況にはない。

出生率を学校の成績に例えれば、「欧州主要国」も日本も「劣等生」だ。世界には「優等生」もいるのだから、そこを見習えば早いのだが、どうしても多くの論者が嫌がってしまう。優等生の多くが途上国だからだ。

先進国よりも途上国の方が圧倒的に出生率が高い。終戦直後の貧しい時代の方が、食うに困らない令和の日本よりはるかに出生率が高い。こうした事実からは「出生率を上げたかったら昔に戻れ。途上国的であれ」という仮説を導き出したくなる。

しかし先進国的な枠組みに慣れた人にとっては抵抗が強い。自分もその1人だ。だから「少子化は放置でいい」と訴えている。だが「少子化は克服すべき」という考えを捨てないままの人は、苦しい主張に追い込まれていく。

松田氏も「現金給付の充実」をしていけば出生率を大幅に引き上げられるとは唱えていない。記事ではこの後「第2に現物給付については、結婚・出生を総域的に支えるように充実させていくことが期待される」とも書いているが、どの程度の効果が見込めるかは触れていない。

では先進国的な枠組みを外して考えると、どんな手が打てるか。個人的には「子供がいない人に限った徴兵制」を導入すると良いのではと思う。例えば30歳、35歳、40歳でそれぞれ半年程度の徴兵を義務化し、子供がいる人は徴兵免除とする。

徴兵期間にはもちろん訓練もするが男女が行動を共にすることで恋愛が生まれやすくなる工夫を凝らして実質的には婚活の場とする。

徴兵忌避の傾向は強そうなので、少子化対策としては効果が大きいと見ている。ただ、今の日本で実施するのは難しいし、もちろん先進国的ではない。

こうした選択肢を排除していくと、今回の3氏のように当り障りはないが効果も乏しそうな対策が並んでしまう。

結局、少子化は放置でいい。人がどんどん減っていけば、ある時点で底を打つと見ている。仮に底を打たなくても、それが人々の自由な選択に基づくものならば受け入れたい。


※今回取り上げた記事「経済教室:少子化に打つ手はないか(上) 幅広い支援と現金給付充実」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220620&ng=DGKKZO61799830X10C22A6KE8000


※連載への評価はD(問題あり)

2022年6月20日月曜日

「年齢、性別にとらわれる日本」に根拠欠く児玉治美氏の「ダイバーシティ進化論」

日本に制度的な女性差別はわずかしか残っていない。それでも女性問題を語る女性の多くは女性を差別される側として語りたがる。そこに無理が生まれる。20日の日本経済新聞朝刊女性面にアジア開発銀行副官房長の児玉治美氏が書いた「ダイバーシティ進化論~年齢、性別にとらわれる日本 多様性生かす企業文化に」 という記事もそうだ。中身を見ながら問題点を具体的に指摘したい。

可也山

【日経の記事】

女性は年齢と性別による二重の差別を受けている。これまではエイジズムとセクシズムを別々にとらえる風潮が強かったが、近年この2つの関係性が頻繁に論じられるようになった。


◎根拠はある?

「女性は年齢と性別による二重の差別を受けている」と児玉氏は言い切るが、それを裏付ける根拠は示していない。

この後に「欧米の意識調査によると、10代から70代までの女性の大半が年齢差別を経験している」とは書いているが、具体的なデータはない。しかも「欧米」の話で「(日本の)女性は年齢と性別による二重の差別を受けている」と言える根拠は示していない。

仮に「女性は年齢と性別による二重の差別を受けている」としても、それは男性も同じではないかとの疑問が湧く。しかし、児玉氏は根拠を示さずに「女性」の問題に絞って話を進めてしまう。

続きを見ていこう。


【日経の記事】

外見によって人を判断するルッキズム(外見至上主義)と相まって、若々しく魅力的な人が社会で優遇される傾向がある。これにより女性は男性より不利な立場に立たされる。


◎やはり根拠が…

「若々しく魅力的な人が社会で優遇される傾向がある」とは思うが、それで「女性は男性より不利な立場に立たされる」となぜ言えるのか。児玉氏はここでも根拠を示さない。

「若々しく魅力的な人」がその「外見」を生かして高収入を得る機会は女性の方が多そうにも見える。本当に「女性は男性より不利」なのか。

さらに見ていく。


【日経の記事】

ルッキズムは男女を問わず採用や昇進など、職場での待遇に影響を与える。加齢による外見の「衰え」にかかわる差別は、女性は40代頃から経験し始め、男性と比べ時期が早い。

欧米の意識調査によると、10代から70代までの女性の大半が年齢差別を経験している。25歳未満の女性はまだキャリアを深刻にとらえていないと思われ、25~40歳の女性には家事や育児で忙しいという固定観念がある。そして40歳以降は介護で忙しく、男性や若い女性に比べて知力やスタミナ、野心に欠ける、といった偏見がまん延し、性別によるエイジズムに拍車をかける。


◎ここでも根拠が…

「加齢による外見の『衰え』にかかわる差別は、女性は40代頃から経験し始め、男性と比べ時期が早い」と言い切るが、やはり根拠は見当たらない。

せっかく「欧米の意識調査」という、この記事で唯一の「根拠になり得る話」が出てくるが、深掘りすることなく通り過ぎる。せめて男性との比較は欲しい。

そして「25歳未満の女性はまだキャリアを深刻にとらえていないと思われ、25~40歳の女性には家事や育児で忙しいという固定観念がある。そして40歳以降は介護で忙しく、男性や若い女性に比べて知力やスタミナ、野心に欠ける、といった偏見がまん延し、性別によるエイジズムに拍車をかける」という決め付けを披露してしまう。

ここで言うような「固定観念」や「偏見」を裏付けるデータはあるのか。

続きを見ていく。


【日経の記事】

仕事を持つ年配の女性にとっては、このような差別は仕事の安定と収入に直結する。年齢のために就職の面接すらしてもらえない、自分より若く経験が浅い男性が登用される。定年退職のための資金的な蓄えがなくても、職場には年配の女性の居場所がないために、働き続けるのは困難だと感じる。一度退職に追い込まれると再就職することも難しい。

女性へのこうした二重差別は万国共通だが、日本ほど年齢や性別にとらわれる社会は珍しいと感じる。何歳までに結婚し、子どもを持ち、職場では何歳で課長になり、部長になり、とマニュアル化された価値観に多くの人がこだわる。


◎話を作り過ぎでは?

「年齢のために就職の面接すらしてもらえない」という事例はあるだろう。しかし、それは男性も同じだ。女性の方が圧倒的に多いというならば、その根拠を示すべきだ。

「自分より若く経験が浅い男性が登用される」場合、その「男性」より「自分」の方が「登用される」べきと考える理由がよく分からない。

ロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成した試合で捕手としてマスクをかぶっていたのは18歳の松川虎生捕手だ。チームには当然に経験豊富な捕手もいる。その中で松川捕手を「登用」するのは「年齢差別」なのか。言うまでもないだろう。

さらに見ていく。


【日経の記事】

私も31歳で日本を離れるまでは「生意気な小娘」と思われ、50歳で日本に戻った時には「偉そうなおばさん」と見られ、型にはめられてきた。


◎悪くない「型」では?

まず「31歳」で「小娘」と見られているのが凄い。「生意気なおばさん」と見る人がいてもおかしくない年齢だ。

「型にはめられてきた」と言うぐらいだから「生意気な小娘」や「偉そうなおばさん」であることを求められてきたのだろう。羨ましい。「生意気」や「偉そう」を受け入れてもらえるだけでもありがたいのに、それが求められるとは…。どんな恵まれた職場だったのか。

そこに気付けないから「女性は男性より不利」などと根拠なく決め付けてしまうのかもしれない。


※今回取り上げた記事「ダイバーシティ進化論~年齢、性別にとらわれる日本 多様性生かす企業文化に」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220620&ng=DGKKZO61796190X10C22A6TY5000


※記事の評価はD(問題あり)。児玉治美氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。


日本の教員は「圧倒的に男性」? 児玉治美氏が日経女性面で展開した無理ある主張https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/12/blog-post_20.html

2022年6月16日木曜日

矛盾が目立つ藤巻健史氏の文藝春秋「インフレ地獄を覚悟せよ」

経済評論家の藤巻健史氏が文藝春秋7月特別号で相変わらずの雑な主張を展開している。「インフレ地獄を覚悟せよ」というこの記事には矛盾する説明が目立つ。一部を見ていこう。

室見川

【文藝春秋の記事】

もし日銀が債務超過になったら(アメリカの金融機関とは)取引停止になるでしょう。外資銀行の審査部は「日本の国債はもう買ってはいけない」「日本銀行とはもう取引してはいけない」と判断して、日本から撤退すると思います。日銀と取引しないということは、あらゆる銀行業務から撤退することを意味します。つまり日本がドルを獲得する手段をも失うのです。

これは、経済制裁を受けたロシアの通貨ルーブルのように、世界の基軸通貨であるドルとのコネクションが断ち切られることを意味します。そうなると円の大暴落は避けられず、1ドル1兆円になってもおかしくない。つまり、日本にハイパーインフレが到来するのです。


◎ルーブルの動向は見てる?

「ロシアの通貨ルーブルのように、世界の基軸通貨であるドルとのコネクションが断ち切られる」→「円の大暴落は避けられず」→「ハイパーインフレが到来」という流れになると藤巻氏は言う。ならば「ロシア」はどうか。

「ルーブルは3月上旬に一時1ドル=160ルーブルの史上最安値を付けた後、上昇に転じた。足元では1ドル=80ルーブル前後とウクライナ侵攻前の水準を回復している」と4月23日付の日本経済新聞は伝えている。「米欧が強力な経済・金融制裁を実施する中で、ロシアの通貨ルーブルや株価が回復している」のはおかしな話だ。

「ルーブルの大暴落は避けられず」→「ロシアにハイパーインフレが到来」という流れにはなっていない。藤巻氏はルーブルの動きを見ていないのか。

さらに文藝春秋の記事を見ていこう。


【文藝春秋の記事】

インフレ、もしくはデフレは、モノやサービス、あるいはお金の需要と供給の関係で起こります。しかしハイパーインフレは中央銀行の財務の悪化で起こる。発生理由が違うのです。これまで見たように日銀の財務内容が著しく厳しく、インフレを抑える手段を失ってしまった以上、日本へハイパーインフレが到来するのは必至だと思います。


◎辻褄合ってる?

「ロシアの通貨ルーブルのように、世界の基軸通貨であるドルとのコネクションが断ち切られる」ことで「ハイパーインフレが到来」するのならば「ハイパーインフレは中央銀行の財務の悪化で起こる」とは言えない。

ルーブルが「ドルとのコネクションが断ち切られ」たのは「中央銀行の財務の悪化」が理由なのか。藤巻氏にも分かるはずだ。

今回の記事では「紙幣を大量に刷れば、お金の価値が下がり、ハイパーインフレが起きる可能性が高まる」とも書いている。これだと「お金の需要と供給の関係」が「ハイパーインフレ」の原因になってしまう。「ハイパーインフレは中央銀行の財務の悪化で起こる。発生理由が違う」という話と辻褄が合わない。

やはり藤巻氏は問題が多い。


※今回取り上げた記事「インフレ地獄を覚悟せよ」


※記事の評価はE(大いに問題あり)。藤巻健史氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

ハイパーインフレ回避の道はあえて無視? 藤巻健史氏の主張に無理がある週刊エコノミストの記事

https://kagehidehiko.blogspot.com/2022/04/blog-post_18.html

「中央銀行が信用を無くす最たるものは債務超過」と訴える藤巻健史氏の誤解https://kagehidehiko.blogspot.com/2022/02/blog-post_8.html

週刊エコノミストでの「ハイパーインフレ」予測に無理がある藤巻健史氏https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/09/blog-post_29.html

2022年6月14日火曜日

日経で「日本のがん検診の問題点」を鋭く指摘した松坂方士 弘前大准教授に注目

14日の日本経済新聞朝刊 経済教室面に弘前大学医学部准教授の松坂方士氏が書いた「私見卓見~日本のがん検診の問題点」という記事は注目に値する。まず最初の段落で驚かされた。 

筑後平野

そこから見ていこう。

【日経の記事】

残念ながら、日本ではがん検診によるがん死亡率の低下は報告されていない。これに対して、欧州など諸外国では子宮頸(けい)がんと乳がんでがん検診によるがん死亡率の低下が報告されており、日本とは対照的だ。


◎がん死亡率低下の報告なし!

個人的には、がん検診は意味がなさそうだと見ている。総死亡率を下げる効果がないと聞くからだ。ただ「がん死亡率の低下」のエビデンスはあると思っていた。ところが松坂氏によると「日本ではがん検診によるがん死亡率の低下は報告されていない」らしい。

日本では、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんに関して、がん検診を受けることを推奨しているはずだ。なのに「がん検診によるがん死亡率の低下」が確認できないのか。だとしたら怖い話だ。

「諸外国」のデータから効果ありと見ているのかもしれないが、それも「子宮頸がんと乳がんでがん検診によるがん死亡率の低下が報告されて」いるだけらしい。胃がん・肺がん・大腸がんはどんなエビデンスに基づいて推奨しているのだろう。

記事の残りの部分も見ておこう。


【日経の記事】

これは、日本では医療従事者やがん検診従事者のがん検診に関する専門知識が不足し、諸外国で検証されてきた「死亡率が低下する手法」(組織型検診)の重要性が理解されていないことが原因の一つとして挙げられる。医療従事者やがん検診従事者の専門知識の不足は一般市民への不十分な情報提供につながり、がん検診が信頼されない状況になっている。

日本では従来、受診率向上を強調するあまり、がん検診というシステムの理解を置き去りにしてきた。例えば、受診者は検診から利益を得る(がん死亡のリスク低下)だけでなく、不利益を被る可能性も避けられない。検診の結果、「要精密検査」となった人の約90%は検査してもがんは発見されない。精密検査は身体の負担が大きく、無駄な精密検査は不利益である。

「要精密検査」は外れが多くて信用できないと考える一般市民が多い一方、無症状でもがん検診ではなく精密検査を受けるように勧める医療従事者もいる。

厚生労働省は2021年度に「がん検診の利益・不利益等の適切な情報提供の方法の確立に資する研究班」を組織し、私も研究分担者として参加している。研究班が画期的なのは利益と不利益に関する情報提供を通してがん検診の知識普及に取り組んでいることだ。受診率の向上一辺倒ではない。

4月にホームページを開設し、一般向け情報提供動画と、医療従事者・がん検診従事者向けの専門書を公開した。世界保健機関(WHO)の出版物を翻訳したガイドブックは、スクリーニング(疾患疑い者の拾い上げ)に関して日本語で読めるほぼ唯一の専門書だ。

「成果が上がる手法」でがん検診を実施した諸外国はがん死亡率を低下させており、日本でもそれは可能だ。医療従事者・がん検診従事者が専門知識に基づいてがん検診を実施し、市民が不利益も理解して上手に受診することによりがん検診が「成果が上がる手法」で運用されることが期待される。


◎追加で期待したいのは…

「受診率の向上一辺倒ではない」姿勢は評価できる。受診によって「不利益を被る可能性」にもきちんと言及している。松坂氏には注目していきたい。

少し気になったのが総死亡率に触れていないことだ。「『成果が上がる手法』でがん検診を実施した諸外国はがん死亡率を低下させて」いるとしても、がんによる死亡以外も含めた総死亡率の低下が見られないのならば意味はない。

「『成果が上がる手法』でがん検診を実施」すると総死亡率も下がるのか。そこも広く国民に知らせる活動をしてほしい。


※今回取り上げた記事「私見卓見~日本のがん検診の問題点」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220614&ng=DGKKZO61657980T10C22A6KE8000


※記事の評価はB(優れている)

2022年6月13日月曜日

文藝春秋「日経新聞で何が起きているのか」を読んで思うこと

文藝春秋7月特別号にジャーナリストの小松東悟氏が「日経新聞で何が起きているのか」という記事を書いている。「記者の大量退職、『物言う株主』に狙われたテレ東…」といった話は既に出ているので目新しさには欠けるが、その中でも気になったくだりを見ていこう。

夕暮れ時の原鶴温泉

【文藝春秋の記事】

負担増にあえぐ現場にとってはやりきれない状況だが、さらに悲惨なのは「スクープ至上主義」は一向に収まっていないところだ。「働き方改革」をうたいながらも、スクープがとれない記者への風当たりは厳しい。「夜中まで取材先を回っているのはよくない、という雰囲気がある一方で、他社に抜かれるとみんなの前で編集幹部に怒鳴りまくられる。方針が一貫しないから現場は疲弊する」(日経のベテラン記者D氏)。


◎「スクープ至上主義」からの脱却を!

「スクープ至上主義」を問題視するのは分かる。ただ「スクープ」を早耳筋型と発掘型の2つに分ける必要はある。早耳筋型は「待っていれば発表されるネタを発表前に報じるもの」で、発掘型は「報じなければ闇に葬られそうなネタを発掘して報じるもの」と考えてほしい。

早耳筋型に関しては完全に捨てていい。「スクープ」と見なすのもやめた方がいい。「夜中まで取材先を回って」まで報じる価値はない。むしろ取材先に遠慮が生まれやすいので弊害の方が多い。「他社に抜かれ」ても平然としていればいい。慌てて追いかける必要さえない。

どうしても追いかけたいのならば「○○新聞はこう報じている」といった短い記事を載せてもいい。そうすれば「他社に抜かれ」ているのを見て慌てて確認の取材をするといった仕事もなくせる。

「自分たちもこの問題を追いかけたい」と感じたら、じっくり取材を進めて改めて独自性の高い記事に仕上げればいい。早耳筋型の「スクープ」を気にする体質からは1日も早く抜け出すべきだ。

なぜそれができないのか。記事の続きを見た上で考えたい。


【文藝春秋の記事】

そもそも記者の人数は減るばかり。デジタル対応のため仕事は増える一方、スクープ合戦に負けると上層部から叱責される。この八方ふさがりの状況のなかで、編集幹部は現場に圧力をかけて何とか結果を出せと迫るしかない。だからハラスメント事案が増えているのだ。

「井口局長を頭に、編集局の要職にある3人が社内では『パワハラ三銃士』と呼ばれている。彼らの共通点はいずれも若いころは特ダネ記者として鳴らしたこと。おそらく内心では経営トップのやり方に納得していないだろうが、それに迎合せざるを得ない鬱憤が部下に向かっているのだろう」(日経のベテラン記者E氏)。


◎自己否定が難しいから…

日経が早耳筋型の「スクープ」重視からなかなか転換できないのは、自己否定が難しいからだ。「待っていれば発表されるものを少し早く報じたところで大した意味はない」と感じる記者は大勢いるはず。しかし「編集局の要職」に就く人に限れば少数派になりそうな気がする。

「パワハラ三銃士」の「共通点はいずれも若いころは特ダネ記者として鳴らしたこと」と「ベテラン記者E氏」も述べている。「特ダネ記者」と認められて「編集局の要職」に就いた人が早耳筋型の「スクープ」は捨てようと主張できるだろうか。自己否定につながるだけに容易には受け入れられないだろう。なので「スクープ至上主義」はなかなか消えない。

「夜中まで取材先を回っているのはよくない、という雰囲気がある」のは、せめてもの救いだ。例えば、時の首相の贈収賄といった重要なネタを掴めたのならば「夜中まで取材先を回って」でも「スクープ」をものにすべきだ。「編集幹部」が「現場に圧力をかけて何とか結果を出せ」と迫ってもいい。そこで勝負せずに何のための新聞社かとは思う。多少の「ハラスメント事案」など気にせず突っ走るべきだ。

しかし早耳筋型の「スクープ」は要らない。そんなネタを取るために働き続けるより、さっさと帰って人生を楽しんでほしい。空いた時間を読者などに当てれば、記者としての厚みも増す。

日経が良い方向に動いてくれることを祈る。それが読者のためにもなる。


※今回取り上げた記事「日経新聞で何が起きているのか」という記事を書いている。「記者の大量退職、『物言う株主』に狙われたテレ東…」


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