2022年1月31日月曜日

台湾有事の「議論を大々的に行うべきではない」と週刊ダイヤモンドで訴えた田中均氏の罪

日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中均氏が週刊ダイヤモンド2月5日号にとんでもないことを書いていた。「日本の市場・経済を揺るがしかねない今年の『7大地政学リスク』」という記事の一部を見ていこう。
夕陽


【ダイヤモンドの記事】

台湾有事となり、米国が軍事介入すれば、日本は米国を支援することになる。日本の米軍基地を使って行動する場合は安全保障条約上の事前協議事項となるだろうし、安保条約を維持するのであれば日本が米軍支援を拒否することは想定できない。

台湾有事となれば、日本は大きな犠牲を覚悟せざえるを得ない。台湾有事に備えることは必要だが、それを想定した議論を大々的に行うべきではない。

むしろ台湾有事を防ぐ外交的工作を率先してやっていかなければならない。

◎「議論を大々的に行うべき」では?

台湾有事となれば、日本は大きな犠牲を覚悟せざえるを得ない」のに「それを想定した議論を大々的に行うべきではない」と田中氏は言う。普通に考えれば逆だ。「台湾有事」に際して「米国を支援すること」で多くの日本人が命を失うと「覚悟せざえるを得ない」のだ。本当に「日本は米国を支援」すべきなのか国民的な議論をしておくべきだ。

議論を大々的に」行い「台湾有事の際は米国とともに中国と戦おう」と訴えた政党が選挙で大勝して、その結果として「日本が米軍支援」に踏み切り「大きな犠牲」を出すのならば、まだ納得できる。

しかし田中氏の考えは逆だ。「議論を大々的に行うべきではない」理由を記事で明らかにはしていないが、この「議論」を進めていけば「安保条約を維持」する必要があるのか国民の間に疑問が膨らむと見ているのだろう。

台湾を中国の一部と見る日本の立場を維持すれば、中国が台湾に侵攻しても基本的には中国の国内問題だ。なのに米国とともに「軍事介入」すれば、専守防衛とは程遠い。平和を守るための日米同盟のはずが、日米同盟ゆえに中国の内戦に介入する形で戦争に巻き込まれてしまう。

それでいいのかと問われれば、多くの国民が拒否反応を示すだろう。田中氏はそうした事態を恐れているのではないか。

台湾有事」になってしまったら仕方ない。米国の属国として米軍の指示に従い、なし崩し的に戦争に参加していくしかない。多くの犠牲者を出すだろうが米国には逆らえないーー。田中氏の気持ちを推し量るとそんなところか。

田中氏はそれでいいかもしれないが、そこで「大きな犠牲」を払う側としては看過できない。国民の命を軽視するのも程がある。「議論を大々的に行うべき」だと声を大にして訴えたい。


※今回取り上げた記事「日本の市場・経済を揺るがしかねない今年の『7大地政学リスク』


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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