2021年7月10日土曜日

アジア先進国で1人当たりGDPトップは日本? 日経ビジネスに問う

日本は「アジアの先進国の中では、韓国、台湾を上回り、1人当たりGDPが最も高い」と言えるだろうか。日経ビジネスの記事で米カリフォルニア大学サンディエゴ校のウリケ・シェーデ教授がそう言い切っていた。シンガポール、イスラエルに次ぐ3番手と見るのが正しいと思えたので、以下の内容で問い合わせを送っている。

筑後川と夕陽

【日経ビジネスへの問い合わせ】

日経ビジネス編集部 担当者様

7月12日号に載った「世界の最新経営理論 ウリケ・シェーデの再興THE KAISHA(1)『20ー80現象』から脱却せよ~『日本経済は強い』は正しい」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは「(日本は)アジアの先進国の中では、韓国、台湾を上回り、1人当たりGDPが最も高い」との記述です。

IMFの分類に従うと「アジアの先進国」に該当するのは日本、韓国、台湾、シンガポール、イスラエルの5カ国(ここでは台湾を国と見なします)となります。「OECD加盟国=先進国」との前提も検討しましたが、これだと台湾が漏れてしまうため記事の内容と整合しません。またOECD加盟国の中には一般的に先進国と見なされない国も含まれています。

アジアの先進国」を上記の5カ国とした場合、「1人当たりGDPが最も高い」のはシンガポールではありませんか。2位がイスラエルで日本は3位にとどまるはずです。

2020年8月3日付の「逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ~『日本はダメ』という言説を疑え! 判断を惑わす罠を回避するには?」という御誌の記事によると、2018年の1人当たりGDPでシンガポールが世界8位となっています。5つの「アジアの先進国」の中で唯一の10位以内です。つまり「アジアの先進国」の中で日本の「1人当たりGDPが最も高い」とは言えません。

今回の記事では2017年のデータを基にしているのかもしれませんが、日本の3位は変わらないはずです。イスラエルに関しては「中東はアジアではない」といった解釈が成り立つ余地はあります。しかしシンガポールを「アジアの先進国」から除くのはかなり難しそうです。「OECD加盟国ではないから」とすると、なぜ「台湾」を「アジアの先進国」に含めたのかという問題が生じます。

「(日本は)アジアの先進国の中では、韓国、台湾を上回り、1人当たりGDPが最も高い」との記述は誤りと見て良いのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。


◇   ◇   ◇


回答があれば改めて取り上げたい。


※今回取り上げた記事「世界の最新経営理論 ウリケ・シェーデの再興THE KAISHA(1)『20ー80現象』から脱却せよ~『日本経済は強い』は正しい

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00123/00099/


※記事の評価は回答を見て決めたい

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