2020年11月14日土曜日

MMTの基礎を理解しない塚崎公義氏が書いたダイヤモンドオンラインの記事

MMTは否定が難しい理論で、これまで説得力のある否定論に触れた記憶がない。 11月13日付の「バイデン政権の米国がMMTを採用すれば世界が迷惑する理由」というダイヤモンドオンラインの記事では経済評論家の塚崎公義氏がこれに挑戦している。塚崎氏に関しては経済記事の書き手として要注意と見ており、まともに否定論を展開できるとは考えにくい。中身を見てみると、やはり予想通りだった。

耳納連山に沈む夕陽

記事の一部を見ていく。

【ダイヤモンドオンラインの記事】

バイデン前副大統領の当選が確実となった模様の米大統領選。インフレ発生時にそれを加速しかねないMMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)は、日本においても危険である。まして諸外国でのMMTはさらに危険な要素をはらんでおり、基軸通貨国の米国がMMTを採用すれば世界中が迷惑をこうむる可能性が高い。

昨年来、米国でModern Monetary Theory(MMT、現代金融理論)と呼ばれる財政学の理論が話題になっている。「自国通貨で借りている財政赤字は紙幣を印刷すれば返せるのだから、巨額でも構わない」というものである。

伝統的な経済学とは大きく異なる「異端」であるが、一定の人気を博しているようだ。新型コロナ不況に際して各国政府が巨額の財政出動を迫られたことから、その理論的な裏付け(言い訳?)としても使われるかもしれない。

大接戦となった米国大統領選挙は、現職のドナルド・トランプ氏が投票での不正を裁判所に訴えており予断を許さないが、11月8日(日本時間)に民主党のジョー・バイデン前副大統領が事実上の勝利演説をした。

米国の民主党左派はMMTに好意的なので、来年1月以降のバイデン政権の中でMMTが一定の影響力を持つことになるかもしれない。これは危険であるとともに、米国以外に悪影響を及ぼしかねない迷惑な政策であり、今後の推移に注目したい。

筆者は、日本の財政赤字には比較的寛容で、財政が破綻する可能性は低いので、財政再建より景気対策をしっかり行うべきだ、という立場であるが、それでもMMTに賛同するほど楽観的ではない。

無理なく増税できるのであれば、すべきだと筆者は考えている。それは、財政赤字が膨らむと、インフレが起きる可能性が高まるからである。

MMT論者は、日本では巨額の財政赤字が続いてもインフレが起きていないのだから、インフレを懸念することはない、と考えているのかもしれないが、それは二つの意味で危険である。


◎MMTを理解してる?

MMT」とは「自国通貨を発行する政府はデフォルトに陥ることはあり得ないから、高インフレにならない限り、財政赤字を拡大しても問題ない」(中野剛志氏の「全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室」より引用)という理論だ。「自国通貨で借りている財政赤字は紙幣を印刷すれば返せるのだから、巨額でも構わない」という塚崎氏の理解だと問題が残る。

なので「MMT論者は、日本では巨額の財政赤字が続いてもインフレが起きていないのだから、インフレを懸念することはない、と考えているのかもしれないが、それは二つの意味で危険である」といった主張をしてしまうのだろう。「MMT論者」であれば「高インフレ」が生じる可能性を認めつつ、それを抑えるべきとの立場になる。しかし、なぜか「インフレを懸念することはない、と考えているのかもしれないが~」と塚崎氏は書いてしまう。出発点から間違っている。

続きを見ていこう。


【ダイヤモンドオンラインの記事】

一つには、日本でもこれからインフレが起きるかもしれないからである。もう一つには、日本で起きないから海外でも起きないとは限らないからである。

というよりも、MMTはインフレを起こすのではなく、いざインフレが起きたときにそれを加速する燃料の役割を果たすと考えられるので、日本や海外で本当にインフレを加速するのか否かを見てみないと何ともいえないというのが実情だ。


◎MMTは「インフレを加速」?

MMTはインフレを起こすのではなく、いざインフレが起きたときにそれを加速する燃料の役割を果たす」と塚崎氏は考えている。これも誤解だ。「高インフレにならない限り、財政赤字を拡大しても問題ない」というのが「MMT」の考え方なので、「高インフレ」になれば増税や政府支出削減で「財政赤字」を抑える方向に動く。「MMT」に基づいて経済政策を決める場合「いざインフレが起きたとき」には「それを加速する燃料の役割」は果たせない。逆にブレーキを踏んでしまう。

記事の中で塚崎氏は「単純化して言えば、MMTは、政府が日銀から借金をして支出をし、それを増税せずに放置する」とも述べている。これも誤解だ。「増税せずに放置する」かどうかは「インフレ」の状況次第だ。

繰り返すが「自国通貨を発行する政府はデフォルトに陥ることはあり得ないから、高インフレにならない限り、財政赤字を拡大しても問題ない」というのが「MMT」の基礎だ。塚崎氏にはまずそこを学んでほしい。


※今回取り上げた記事「バイデン政権の米国がMMTを採用すれば世界が迷惑する理由」https://news.yahoo.co.jp/articles/82f786cf042eb110bade7de217a3d9e0782aea89?page=1


※記事の評価はE(大いに問題あり)。塚崎公義氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

久留米大学の塚崎公義教授の誤り目立つ東洋経済「50歳からのお金の教科書」https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/50_9.html

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