2020年11月6日金曜日

「きょう決算発表」のタイミングで「サッポロHDの不動産事業」を分析する日経に注文

ニュース記事のように見せて何もニュースはない--。そんな記事を最近の日本経済新聞ではよく見かける。6日の朝刊企業2面に載った「サッポロHDの不動産事業、恵比寿のテナント縮小続く~きょう決算発表、稼ぎ頭にも逆風」という記事もそうだ。この中身でわざわざ「決算発表」前に載せる気が知れない。

JR久留米駅に停車中の無限列車
     ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。


【日経の記事】

サッポロホールディングスは6日に2020年1~9月期連結決算(国際会計基準)を発表する。新型コロナ下の酒類の需要減で大幅減益が避けられない中、注目が集まるのが不動産事業だ。実は営業利益の7割と酒類を上回る稼ぎ頭だが、主力の東京・恵比寿で相次ぎ有力テナントの撤退や縮小が決定。都市部のオフィス需要の伸び悩みが避けられない中、懸念材料となっている。

サッポロHDはビールが祖業だが、恵比寿や札幌といった工場跡地の再開発による不動産事業で収益の基盤を固めている。19年12月期は不動産事業の営業利益が127億円と、ビールが主体の酒類の76億円を上回る。20年12月期は酒類が赤字見通し(事業利益ベース)の中、不動産は唯一の黒字事業となる。

その不動産事業の中心がビール工場跡地を再開発し、1994年に開業した複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」だ。地上40階建てのタワーを中心に約10棟の建物が並び、年間約1300万人が利用する。恵比寿が不動産事業の営業利益の6割を稼いでいる。

この恵比寿から主力テナントの撤退や縮小が続いている。恵比寿ガーデンプレイスの商業施設を代表する恵比寿三越が21年2月28日に閉店する。延べ床面積は全体の約7%にあたり、地下2階から地上2階までの4フロア1棟をまるごと使っている。

オフィス棟でも新型コロナ下のテレワークの普及で、入居企業がフロアの賃貸面積を減らし始めた。本社オフィスを構えるコロプラは11月中に4割を解約する予定だ。

不動産仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、恵比寿がある渋谷区のオフィス空室率は20年9月時点で4.48%と前年同月比で2.97ポイント上昇した。2月は1.87%と極めて低水準だったが上昇が続いている。

平均賃料も9月まで5カ月連続で下落。IT企業が集積する渋谷はテレワークへの移行が加速しており、もはやコロナ前のような旺盛な需要はない。

サッポロHDの岩田義浩常務は「21年12月期以降、オフィスの入居率が数%下がる可能性がある」と話す。

野村証券の藤原悟史アナリストは「恵比寿の不動産の価値は高く大崩れはしないと思うが、後継テナントの決定時期が遅れればリスクだ」と話す。市場予想平均のQUICKコンセンサスは、19年12月期の連結純利益(43億円)水準まで回復するには22年12月期までかかるとみている。

サッポロHDは恵比寿をてこ入れしようと、恵比寿三越の跡地をオフィスや物販、サービスの複合施設につくり直す計画だ。建物1棟を貸していた恵比寿三越と比べ、フロア合計での賃料収入を高める。再開は22年中の見通しだ。

新型コロナ下で当面はビールなど酒類販売の大きな回復は厳しい。6日の決算発表で、不動産事業の先行きにどう言及するかに注目が集まる


◎決算発表を受けて書いた方が…

上記の記事は簡単に言えば「稼ぎ頭の不動産事業もコロナで厳しいです。6日の決算発表でどういう説明するか注目ですね」という話だ。「不動産事業の先行きにどう言及するかに注目が集まる」と言うのならば、どこが「言及」のポイントになるか解説が欲しい。しかし、そういう深掘りはない。

この内容ならば行数を割いて載せる必要は乏しいと感じる。「決算発表」後に「不動産事業」に関する「言及」も含め詳細に分析した方がよいのではないか。

「業績の先取り記事は要らない」と訴え続けているので解説記事にシフトすることに異論はない。ただ、ニュース記事かどうか分かりにくいのは困るし、掲載のタイミングも考えるべきだ。


※今回取り上げた記事「サッポロHDの不動産事業、恵比寿のテナント縮小続く~きょう決算発表、稼ぎ頭にも逆風

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201106&ng=DGKKZO65878800V01C20A1TJ2000


※記事の評価はC(平均的)

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