第十六利丸(宮城県石巻市)※写真と本文は無関係です |
【ダイヤモンドの記事】
セブン&アイ・ホールディングスが、機関投資家や株主などからの圧力を受け、ようやく重い腰を上げた。業績不振が続いていた総合スーパー、イトーヨーカ堂の改革に乗り出したのだ。だが、改革案の策定は紆余曲折があって迷走。結果、目新しさに欠け、抜本的な改革とは言い難いものになりつつある。
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これを信じれば「改革案」は「目新しさに欠け、抜本的な改革とは言い難いものになりつつある」はずだ。それを踏まえて「迷走の末にようやくまとまったヨーカ堂構造改革案の全貌」に関するくだりを見ていこう。
【ダイヤモンドの記事】
その後の本誌の取材で、セブン&アイが目指すイトーヨーカ堂改革の全貌が明らかになってきた。
検討されているのは、北海道から兵庫県にかけて163店ある店舗のうち、もうかっていて効率のいい1都3県を中心とした「首都圏」の店舗に経営資源を集中させ、それ以外の地方店については「分社化」する計画だ。
その上で、分社化した地域会社を、各地域の有力スーパーなどに第三者割当増資などを引き受けてもらって資本提携したり、業務提携したりして、セブン&アイ本体から切り離そうというものだ。
というのも、ドミナント戦略が取れている首都圏の店舗と、そうでない地方店とでは、ROA(総資産利益率)で3倍以上の開きがあるからだ。
また、地方店は売上高が小さいことに加えて店舗運営に関わる経費が収益を圧迫、営業赤字に陥っている。
そこで、もうかっていて、効率のいい首都圏の店舗に経営資源を集中させることで、収益力の高い、“筋肉質”な総合スーパーにしようというのが狙いだ。
また、分社化することで、給与をその地域の水準に合わせようという思惑も垣間見える。
こうした構造改革で売り上げは減少するが、少なくとも「数十億円規模の増益効果がある」と見込んでおり、営業利益率は格段に向上すると予想されている。
◎それでも「抜本的な改革」ではない?
「『首都圏』の店舗に経営資源を集中」させることで「数十億円規模の増益効果」が見込め「営業利益率は格段に向上する」のであれば「抜本的な改革」と評してよいと思える。
しかし、特集を担当した重石岳史記者と田島靖久編集委員は「抜本的な改革とは言い難い」と判断しているようだ。記事を最後まで読んでもその理由は分からない。
2人は記事を以下のように締めている。
【ダイヤモンドの記事】
となれば、業績が好調な今のうちに、抜本的な改革を断行すべきだ。10月の中計発表までに、今回の案を具体化させることができるのか。井阪社長以下、現体制の覚悟が問われている。
◎「今回の案」でOK?
最初は「目新しさに欠け、抜本的な改革とは言い難いものになりつつある」と言っていたのに、最後は「今回の案を具体化させることができるのか。井阪社長以下、現体制の覚悟が問われている」と書いている。「今回の案」が「抜本的な改革」につながると取れる説明だ。
自分たちの考えをしっかり固めてから記事を書くべきなのに、今回はそれができていない。
付け加えると、「改革案」がまとまるまでに「紆余曲折」があるのは基本的に問題がない。それが「抜本的な改革」につながるのであれば、前向きに評価すべきだ。「策定」までに「紆余曲折」があったからと言って「改革の迷走」と捉えるのはやや無理がある。
田島靖久編集委員と言えば「セブン&アイ」の絶対的な権力者だった鈴木敏文氏の強烈なシンパという印象がある。故に鈴木氏を引退に追い込む形で成立した「井阪社長以下、現体制」には反感があるのだろう。
それが記事の内容に強引さを生み出している気もする。
※今回取り上げた特集「セブン&アイ~イトーヨーカ堂 改革の迷走」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/26945
※特集の評価はD(問題あり)。今回の問題は田島靖久編集委員の責任が大きいのではないかと推測し、重石岳史記者への評価はC(平均的)を据え置く。田島靖久編集委員への評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。
※田島編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
度が過ぎる田島靖久ダイヤモンド副編集長の「鈴木崇拝」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2015/10/blog-post.html
※重石岳史記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「GAFAがデータ独占」と誤解した週刊ダイヤモンド重石岳史記者
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/gafa.html
週刊ダイヤモンドの特集「コンビニ地獄」は基本的に評価できるが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_29.html
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