小石川後楽園(東京都文京区) ※写真と本文は無関係です |
日経には以下の内容で問い合わせを送った。
【日経への問い合わせ】
日本経済新聞社 成瀬美和様 増田咲紀様 中西豊紀様
4日の朝刊1面に載った「巨人GAFA、社会共存の風圧~課税強化・賃上げ・偽ニュース対策…コスト膨張、下がる利益率」という記事についてお尋ねします。記事では「GAFA(グーグル親会社のアルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)」に関して「データを独占して高成長を続ける一方で、税や賃金など『社会全体への還元』には十分な関心を払ってこなかった」と説明しています。本当に「GAFA」は「データを独占して」きたでしょうか。
百歩譲って、世界中の「データ」を「GAFA」が全て有しているとしましょう。その場合でも、4社あるので「独占」ではなく「寡占」です。「GAFA」は一体となって活動する企業グループではありません。
それに、「データ」を「GAFA」のみが有しているとの前提は明らかに誤っています。この前提が正しければ、日経の購読者に関する「データ」は日経社内にはなく「GAFA」だけが握っているはずです。あり得ますか。
やや無理がありますが「GAFAはそれぞれが集めたデータをそれぞれが“独占”している」との意味で「独占」と書いた可能性も考慮しました。この場合も「独占」は成立していません。
例えばアップルは「製品やサービスの提供に関してAppleに協力したり、お客様への宣伝に関してAppleを支援したりする戦略パートナー企業に対して、一定の個人情報を提供することがあります」と自社サイトで説明しています。「戦略パートナー企業」と「データ」を共有しているのであれば「独占」とは言えません。
「GAFA」が「データを独占して」きたとの説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
せっかくの機会なので、他に気になった点を記しておきます。
まず以下のくだりです。
「18年7~9月期決算は総じて好調だったものの、水面下で『稼ぐ効率』を示す利益率が低下していることが一因だ。トランプ減税の影響を受けない税引き前利益のアナリスト予想の集計値をみると、売上高対比の利益率が19年度には全体で20.09%まで低下する。ピークの12年度比では約6ポイントの落ち込みだ」
「水面下」と表現した理由が理解できませんでした。「利益率」が低下しているのは18年度までは各社の決算で確認できるはずです。「アナリスト予想」も基本的には公開情報なので「水面下」で「利益率が低下」するとは思えません。
「トランプ減税の影響を受けない税引き前利益」という説明も引っかかります。「税引き前利益であれば法人税率引き下げの影響を受けない」と考えたのかもしれません。しかし「トランプ減税」に関しては「2018年1月から個人所得税も大幅に軽減する」と日経も報道していました。だとすると消費拡大などを通じて「GAFA」の「税引き前利益」に「影響」を与えている可能性が高いでしょう。
記事には「設立から日が浅く、理想主義的な傾向もあるGAFA」との記述もあります。例えばアップルは1976年の設立で、40年以上が経っています。常識的には「設立から日が浅く」とは言えません。皆さんは取材先の企業が設立40周年だと知った時に「設立から日が浅いんだな」と思いますか。
問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社の一員として、責任ある行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「巨人GAFA、社会共存の風圧~課税強化・賃上げ・偽ニュース対策…コスト膨張、下がる利益率」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181104&ng=DGKKZO37349720T01C18A1MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。担当者らの評価は以下の通りとする(敬称略)。
成瀬美和:C→D
増田咲紀:暫定D
中西豊紀:Dを維持
※日経ビジネス6月4日号の「データ独占」関連記事については以下の投稿を参照してほしい。
GAFAが個人情報を独占? 日経ビジネス吉野次郎記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/gafa.html
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