長崎港(長崎市)※写真と本文は無関係です |
「保険トラブル実例集1 銀行窓販編 『元本保証』を信じ外貨建て保険に加入」という記事では「三井住友銀行」、「保険トラブル実例集2 郵便局編 高齢者へ不当な営業 本人に無断で保険に加入」という記事では「日本郵便とかんぽ生命」と、具体的な会社名を入れているのも感心した。リスクを負う覚悟を持ち、入念に取材しないとできないことだ。
「保険トラブル実例集3 大手生保編 重要書類が2通の怪 告知めぐり主張が対立」という記事だけは「大手生保」の名を伏せているが、これは「大手生保側」に問題があるのか微妙なためだと思えるので理解できる。
外部ライターによる記事も総じて優れている。例えば「日本の社会保障は充実 生命保険は最小限に」という記事で、生活設計塾クルー取締役の清水香氏は「主に入院に備える医療保険は家計の危機管理策というよりも、むしろ『ゆとり消費』に近い」と言い切っている。まさにその通りだ。
今回の特集を読んで「医療保険」への加入を思いとどまれれば、それだけでも読者にとってメリットは大きい。金融業界に気遣いを見せずに記事を書き続ける山田雄一郎記者には、引き続き注目していきたい。
◇ ◇ ◇
この特集に関しては12月1日号に以下の訂正が出ていた。リスクを負って会社名を出したのが今回は裏目に出たのだろう。だが、だからと言って「今後は匿名で」とはならないでほしい。
<東洋経済が出した訂正>
49ページのかんぽ生命の記事で、「その後、弟が保険料の支払いを何度も求めてくるので、同年6月、佐藤さんはかんぽ生命の本社コンプライアンス統括部に不正行為を報告。調査を依頼した。」は、正しくは、「その際には、弟は保険料を郵便窓口で入金するように強く求めた。窓口で本人が支払った事実が欲しかったとみられる。2015年6月、佐藤さんはかんぽ生命の本社コンプライアンス統括部に不正行為を報告。調査を依頼した。」です。また、「佐藤さん夫妻は、弟に対する一層厳しい処分を求める書類をかんぽ生命に提出した。だが、『本人が休職中で調査できない』として、現在に至るまで処分は出ていない。」は、正しくは「佐藤さんは、弟がほかにも難病の親戚について不告知教唆(健康状態を誠実に申告しないよう促すこと)をして、本人に面談せずに保険に加入させたことについて、かんぽ生命に録音記録などの資料を提出した。だが、『本人が休職中で調査できない』として、現在に至るまで処分は出ていない。」です。(注)処分を求めているのは佐藤さん1人で、夫は関与しておりません。
※今回取り上げた特集「保険の罠」
https://dcl.toyokeizai.net/ap/registinfo/init/toyo/2018112400
※特集全体への評価はB(優れている)。山田雄一郎記者への評価はBを据え置く。山田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
東洋経済の特集「東芝が消える日」山田雄一郎デスクに疑問
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/04/blog-post_19.html
東洋経済「保険に騙されるな」業界への批判的姿勢を評価
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_15.html
東洋経済 山田雄一郎記者「社外取締役のお寒い実態」に高評価
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_18.html
0 件のコメント:
コメントを投稿