2017年12月14日木曜日

「金融業界の回し者」日経 田村正之編集委員に好ましい変化

金融業界寄りの姿勢が目立つ日本経済新聞の田村正之編集委員に関して、少し前に「『金融業界の回し者』から変われそうな気もする」とコメントした。やはり変化は起きているようだ。田村編集委員が筆者だと推定できる13日夕刊マネーダイニング面の「やりくり一家のマネーダイニング~投信の本当のコストは 信託報酬を大幅超過も 」という記事からは、期待が現実になってきた印象を受ける。
宝満川(福岡県久留米市・佐賀県鳥栖市)
          ※写真と本文は無関係です

記事の一部を見ていこう。

【日経の記事】

幸子 ただし保有コストって信託報酬だけじゃないのよ。ほとんど知られていないんだけど、実際にはほかにも、銘柄を売買する際の手数料や外貨建て資産の保管費用などがかかるの。これらを合計した「実質コスト」で見ると、信託報酬の水準を大きく上回ることもあるわ。長期で思わぬ負担増になりかねないので注意が必要よ。

恵 実質コストってどれくらいかかるの?

幸子 投信評価会社モーニングスターの調べでは、国内株式で運用する投信の実質コストは平均で年1.45%。アクティブ型とインデックス型を総合した信託報酬の平均1.29%より、1割強高い計算ね。

良男 結構差があるな。

幸子 新興国株式で運用する投信の平均だと信託報酬の1.36倍の年2.11%にもなるわ。個別にみるとさらに高いものも多いの。ある日本株のファンドだと、信託報酬が2.19%なのに実質コストはなんとその4.2倍の9.3%弱よ

恵 えっ……。どんな投信の実質コストが高くなるの?

幸子 いくつか傾向があるわ。まず一つは新興国関連ね。売買手数料や外貨建て資産の保管費用が先進国に比べて高くなりがちなの。2番目は、売買頻度が高いアクティブ投信かしら

恵 アクティブ型が高い理由は?

幸子 投信では組み込む銘柄を売ったり買ったりするでしょ? その売買手数料は信託報酬には含まれないのよ。でも実際には費用がかかっているから、実質コストには入ってくるわ。インデックス型に比べて頻繁に株式を売買することが多いアクティブ型では売買手数料がかさみ、実質コストが高くなりがちね。アクティブ型投信は長期では6~7割がインデックス型に成績が負けると言われるわ。信託報酬が高めであるだけでなく、売買手数料がかさみがちなこともその原因の一つなのよ。

恵 ただしインデックス型でも、実質コストが信託報酬の2.4倍の3.47%に達する中国株投信が表にあるわ。気をつけなきゃね。


◎唯一惜しいのが…

上記のくだりは基本的には金融業界寄りではなく、読者(あるいは投資家)寄りの解説となっている。実質コストに着目するのは悪くないし、「売買頻度が高いアクティブ投信」の実質コストが高くなりやすいと明言しているのも好感が持てる。業界寄りの書き手だと、業界にとって旨みの大きいアクティブ投信を好意的に紹介するケースが多い。
八坂神社(北九州市)※写真と本文は無関係です

唯一惜しいのが「ある日本株のファンドだと、信託報酬が2.19%なのに実質コストはなんとその4.2倍の9.3%弱よ」と高コストの投信の名前を伏せている点だ。会話形式の本文はこれでもいいが、記事に付けた「信託報酬と実質コストの大きい主なファンド」という表でも「日本株a投信(ロング・ショート型)」「南アフリカ株b投信」などと、取り上げた6つの投信全てで具体名を伏せている。ちなみに「日本株a投信(ロング・ショート型)」が「実質コストはなんとその4.2倍の9.3%弱」の投信に当たる。

表の注記によると実質コストは「モーニングスターによる10月末時点の試算」だ。記事では実質コストの実績について「モーニングスターのサイトで見られるわ」と「幸子」に語らせている。ならば、「日本株a投信(ロング・ショート型)」についても具体名と実質コストがサイト内で分かるはずだ。記事中でも具体名を伏せる必要はない。

「高コスト投信として新聞に名前を出されたら、関係者が気を悪くしないか」などと田村編集委員は心配したのだろう。その辺りにまだ金融業界寄りの姿勢が残っている気がする。

ただ、全体として評価できる内容であることに変わりはない。田村編集委員には投資に関する豊富な知識があるのだから「金融業界の回し者に逆戻りしてなるものか」という強い気持ちを持ち続ければ、今回のような記事をもっと世に送り出せるはずだ。今後に期待したい。


※今回取り上げた記事「やりくり一家のマネーダイニング~投信の本当のコストは 信託報酬を大幅超過も 」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171213&ng=DGKKZO24570340T11C17A2NZKP00


※記事の評価はB(優れている)。ただ、田村正之編集委員への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。田村編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「購買力平価」に関する日経 田村正之編集委員への疑問
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/04/blog-post_20.html

リバランスは年1回? 日経 田村正之編集委員に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post_1.html

無意味な結論 日経 田村正之編集委員「マネー底流潮流」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/08/blog-post_26.html

なぜETFは無視? 日経 田村正之編集委員の「真相深層」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_24.html

功罪相半ば 日経 田村正之編集委員「投信のコスト革命」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/11/blog-post_84.html

投資初心者にも薦められる日経 田村正之編集委員の記事
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/01/blog-post_64.html

「実質実効レート」の記事で日経 田村正之編集委員に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_10.html

ミスへの対応で問われる日経 田村正之編集委員の真価(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_58.html)

日経 田村正之編集委員が勧める「積み立て投資」に異議
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/07/blog-post_2.html

「投信おまかせ革命」を煽る日経 田村正之編集委員の罪(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/08/blog-post_3.html)

運用の「腕」は判別可能?日経 田村正之編集委員に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/01/blog-post_21.html

「お金のデザイン」を持ち上げる日経 田村正之編集委員の罪
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/04/blog-post_61.html

「積み立て優位」に無理がある日経 田村正之編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_6.html

「金融業界の回し者」から変われるか 日経 田村正之編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/blog-post_26.html

1 件のコメント:

  1. 良い一日、

    圧力をかけずに迅速に承認された個人向けまたはビジネス用のローンが必要ですか?グローバルファイナンスでは、お客様のニーズを満たす純粋なローンを提供しています。

    私たちのプロセスには、

    *低い関心事!

    *ファーストローン承認!!

    *簡単でストレスフリーな処理。

    *同じ日の送金を保証!

    * 100%信用できる!

    ローン申込みの詳細については、今すぐお問い合わせください。

    連絡先:

    Eメール:sarahharvey@myglobalfinancefund.com

    返信削除