福岡県八女市の蹴洞橋(けほぎばし) ※写真と本文は無関係です |
ヨイショが過ぎるだけならまだしも、正確さに欠ける記述もあった。これに関しては週刊エコノミストに問い合わせを送ったので、その中身を見てほしい。
【エコノミストへの問い合わせ】
週刊エコノミスト編集部 大堀達也様 松本惇様
御誌を定期購読している鹿毛と申します。
6月6日号の特集「お金が増えるフィンテック」についてお尋ねします。「第1部 おつりを投資に回す 意識せずに資産を増やす」という記事には「フィンテックは不動産投資の形も変えた。ロードスターキャピタル(東京都中央区)は、これまで個人ができなかった大型不動産への投資を可能にするサービス『オーナーズブック』を運営している」との記述があります。さらに「日本では個人が投資できる不動産は、マンションや『REIT』(不動産投資信託)が中心で、数億円規模以上の大きな投資案件は、機関投資家の独占市場だった」とも説明しています。
しかし、個人はREITを通じて「大型不動産への投資」がこれまでも可能だったのではありませんか。REITは「多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品」(投資信託協会)です。REITが投資対象とする「オフィスビルや商業施設」はほとんどが「数億円規模以上の大きな投資案件」なので、ロードスターキャピタルの登場によって「これまで個人ができなかった大型不動産への投資」が可能になったとは思えません。
「REITの場合、大型不動産を保有しているのは個人ではない。個人による大型不動産への投資はあくまでREITを通した間接的なものだ」との反論はできます。ただ、それはロードスターキャピタルのサービスも同様です。記事にも「集めた資金は、不動産を保有する借入人に、不動産担保ローンとして貸し付け、利息を得る」と書いてあります。
「これまで個人ができなかった大型不動産への投資」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
せっかくの機会なので、もう1つ質問させていただきます。
最後の段落に「日銀の資金循環統計によれば、2016年末時点の家計の金融資産残高は1800兆円あり、そのうち937兆円が現金または預金。投資によって価値を生み出せるかもしれない膨大なお金が、マイナス金利もあいまって死蔵されたままだ」との記述があります。
ここからは「マイナス金利政策は人々の現預金志向を強める傾向がある」と受け取れます。しかし、そうでしょうか。金利低下は預金志向を弱めると考えるのが自然ではありませんか。銀行預金にマイナス金利が適用された場合、現金への需要が高まるかもしれません。しかし、現時点で銀行預金の利率はマイナスにはなっていません。
また、銀行預金にマイナス金利が適用された場合でも、預金から株式などへの資金移動を促す効果があるはずです。結局、「マイナス金利もあいまって(現預金として)死蔵されたままだ」というくだりは、よく分かりませんでした。どう理解すればよいのでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、上記の2点に関して回答をお願いします。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が続いています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
ロードスターキャピタルのサービスは、ネットを使って資金を集め、それを貸し出して不動産に投資させているだけだ。多くの人の資金を集めて不動産に投資しているという点はREITと共通する。「フィンテックは不動産投資の形も変えた」などと持ち上げるほどの話ではない。
大堀達也記者と松本惇記者はロードスターキャピタルにうまく丸め込まれたのだろうか。「大した話ではない」と分かっていながら持ち上げている可能性もなくはないが…。
※この記事に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「おつり投資」に意味ある?週刊エコノミストのフィンテック特集
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_31.html
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