2017年3月1日水曜日

「投機筋」抜く癖再び 日経「北海ブレント、買い越し幅最高」

先物市場での「投機筋の買い越し(あるいは売り越し)」を「市場全体の買い越し(売り越し)」のように書くの記事は、かつての日本経済新聞ではよくあった。「最近はなくなってきたかな」と思っていたら、1日の朝刊にまた出ていた。悪しき伝統を断ち切るのは難しいということか。

記事の全文と、日経への問い合わせは以下の通り。

【日経の記事】

ロンドン市場に上場する北海ブレント原油先物の買い越し幅が広がっている。最新集計の2月21日時点で36万2833枚となり、前の週に比べて1割拡大。前週に続き2011年のデータ公表開始以来の記録を更新した。1月から始まった石油輸出国機構(OPEC)の原油の減産が着実に進んでおり、投資家の買いが広がっている。
日本経済大学(福岡県太宰府市) ※写真と本文は無関係です


買い建玉も64万9160枚と過去最高となった。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之氏は「OPECが1月の原油の生産量を維持すれば、17年第1四半期は日量74万バレルの供給不足になる」と指摘する。

【日経への問い合わせ】

1日付の朝刊マーケット総合2面に載っている「北海ブレント、買い越し幅最高 原油減産進む」という記事についてお尋ねします。記事の冒頭に「ロンドン市場に上場する北海ブレント原油先物の買い越し幅が広がっている」との記述があります。これを信じればロンドン市場の北海ブレント原油先物全体で「買い越し」になっているはずです。しかし、市場全体で見れば売り建玉と買い建玉は常に同数となります。ここで言う「買い越し」とは「投機筋の買い越し」ではありませんか。

2月22日の「北海ブレント、投機筋の買い越し幅拡大」という記事では以下のように書いています。「ロンドン市場に上場する北海ブレント原油先物の投機筋の買い越し幅が広がっている。最新集計の2月14日時点で32万5268枚となり、前の週に比べて1割近く拡大した」

これならば「投機筋」が入っているので問題ありません。1日に記事によれば「買い越し幅」は「2月21日時点で36万2833枚となり、前の週に比べて1割拡大」となっているようです。これが「投機筋の買い越し」だとすれば、2月22日の記事と整合します。

1日の記事では「買い建玉も64万9160枚と過去最高となった」とも書いていますが、これも「投機筋の買い建玉」でしょう。1日の記事には「投機筋」が抜けるミスがあった考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

日経では、読者の間違い指摘を握りつぶす対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとしてきちんと説明責任を果たすように心がけてください。

◇   ◇   ◇

1週間前の記事では「投機筋」を入れているのだから、今回はうっかりミスの可能性が高い。商品部のデスクも気付かないのか、分かっていないのか…。「デスクも記者もうっかりしていた」というだけなら責めるつもりはないが、経済紙としては恥ずかしい初歩的なミスではある。

※今回取り上げた記事「北海ブレント、買い越し幅最高 原油減産進む
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170301&ng=DGKKZO13501470Y7A220C1EN2000

※記事の評価はD(問題あり)。日経からの回答はないだろう。

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