2016年12月1日木曜日

日経 九州経済面「梅の花、フジオフードと提携」は蛇足?

1日の日本経済新聞朝刊には、フジオフードシステムと梅の花の資本業務提携について似たような記事が2本載っていた。と言っても1本は九州経済面なので、他の地域の新聞には当てはまらない。全国版の紙面で書き切れない部分を地域経済面で詳しく報じること自体は否定しない。ただし、きちんと書き分けできていればの話だ。今回はダブりが多すぎるし、九州経済面を読まなければ得られない情報が乏しい。
石橋文化センター(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です

2本の記事を「フジオフードと梅の花、資本業務提携 食品調達などで協力 」(企業・消費面)、「京都新工場の稼働率向上狙う 梅の花、フジオフードと提携 」(九州経済面)の順で見ていく。

【日経の記事(企業・消費面)

定食店を展開するフジオフードシステムと和食店を運営する梅の花は30日、資本業務提携すると発表した。相互に10億円程度の株式を持ち合う。食材の共同購入や物流網の活用、メニューの開発などを通じてコスト削減を目指す。将来はアジアでの店舗展開でも協力する考えだ。

フジオフードは関西を中心に約800店舗を展開し、梅の花は九州や関東を軸に270店舗を運営する。フジオフードは梅の花の発行済み株式の4.94%、梅の花はフジオフード株式の3.56%を取得する。

梅の花が2017年秋に京都で稼働予定のセントラルキッチンでフジオフードの総菜を製造してもらい、工場の稼働率を高める。梅の花の総菜をフジオフード向けにアレンジして販売するなど商品開発でも協力する。


【日経の記事(九州経済面)

和食店を展開する梅の花は30日、定食店「まいどおおきに食堂」などを手掛けるフジオフードシステムと資本業務提携すると発表した。梅の花は湯葉や豆腐などを製造する国内6カ所のセントラルキッチンの稼働率向上が課題。2017年秋には京都府に建設中の新工場が稼働する見通しで、提携を通じて工場の稼働率を上げ、利益率改善につなげたい考えだ。

京都府に建設中の工場は22億円を投資し、床面積が8千平方メートルを超える。他のセントラルキッチンに比べ規模が大きく、生産能力は従来よりも大幅に上がる見込みだ。

梅の花は新工場を、老朽化のため将来的に閉鎖する大阪府の工場の代替と位置付ける。一方で、急拡大する生産能力をどう活用するかが課題になっていた。フジオフードと提携して同社向けの新たな総菜の製造を担うことで外販事業を強化し、工場の稼働率の向上につなげる狙いがある。

主に会席料理を提供する梅の花と定食店のフジオフードでは、製造する食品の価格帯や原材料が異なる。梅の花のセントラルキッチンでいかに効率よく両社の食品を製造できるかが今後の検討課題になる。

このほか、現在はグループ全体で3割ほどの原価率も、食材の共同購入や稼働率の向上により引き下げ、収益性の向上も狙う。

両社は30日、相互に約10億円を投じて株式を持ち合い、物流網を共同利用するなどの資本業務提携を発表した。

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この内容ならば、九州経済面の記事は不要だ。紙面の無駄遣いと言ってもいい。記者に事情を聞くと「九州経済面にも梅の花の提携発表の話を入れろと言われたので、新工場の投資額とか床面積とか入れながら、かなり無理して原稿を作りました」といった答えが返ってきそうだ。書き分けができないなら、載せなければいい。載せるのならば、しっかり書き分けてほしい。この辺りは担当デスクの責任でもある。

フジオフードと提携して同社向けの新たな総菜の製造を担うことで外販事業を強化し、工場の稼働率の向上につなげる狙いがある」のは、企業・消費面の記事を読めば分かる。「両社は30日、相互に約10億円を投じて株式を持ち合い、物流網を共同利用するなどの資本業務提携を発表した」に至っては、企業・消費面の記事と重複しているだけでなく、九州経済面の記事の第1段落ともダブり感がある。

さらに気になるのが、九州経済面の記事に「企業・消費面に関連記事」といった「お知らせ」がない点だ。企業・消費面に「お知らせ」がないのは技術的な問題もあるので許せる。だが、九州経済面には基本的に入れられるはずだ。紙面製作上の制約がある可能性も残るが、その場合は九州経済面に梅の花の提携話を盛り込むのは断念した方がいい。今回の内容を見る限り、無理してでも載せるべき中身とは思えない。

ついでに言うと、企業・消費面の記事には株式取得の時期を入れた方がいい。ニュースリリースを見ると「12月末までに」となっている。


※記事の評価はC(平均的)。

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