2019年12月9日月曜日

豪州と時差なし? 週刊東洋経済「ニセコ 熱狂リゾートの実像」に注文

週刊東洋経済12月14日号の第3特集「ニセコ 熱狂リゾートの実像」を担当した一井純記者はよく取材しているとは思う。ただ、記事中の説明で引っかかる点が2つあったので、以下の内容で問い合わせを送った。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)のコスモス
            ※写真と本文は無関係です


【東洋経済新報社への問い合わせ】

週刊東洋経済 編集長 山田俊浩様  一井純様

12月14日号の第3特集「ニセコ 熱狂リゾートの実像」についてお尋ねします。質問は2つです。

(1)オーストラリアと日本に時差はないのですか?

記事には「代わりに治安のよい地域のスキー場を模索していた豪州人がニセコに着目。雪質が良好で時差がなく、季節が真逆のため通年でスキーを楽しめることから、その存在が瞬時に広まった」との記述があります。

記事を信じれば、オーストラリアと日本に時差はないはずです。しかし1~2時間程度の時差はあると思えます。例えば、シドニーとの時差はサマータイム期間中の現在で2時間となっています。時差が小さいとは言えますが「時差がなく」との説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


(2)売却に伴う損失でも「減損」ですか?

次に問題としたいのは以下のくだりです。

彼らを思いとどまらせるのは、バブル崩壊後にリゾートの減損処理に追われた苦い記憶だ。現在のニセコHANAZONOリゾートは、もともと東急不動産が開発・運営していた。92年の開業直後にバブルが崩壊。資産整理の一環で04年に現在の豪州資本へと売却された。帳簿価格63億円に対し、売却価格はわずか2億円だった。ニセコビレッジも元をたどれば西武の開発だ。バブル崩壊のあおりを受け、06年にスキー場やゴルフ場、ホテルを含む全国のリゾート施設を米シティグループに売却。24億円の減損が発生した

減損処理」とは「資産の市場価格の低下や、資産から生み出される収益の低下があり、資産に対して行った投資の回収が見込めなくなった場合に、その分を損失として計上し、その資産の帳簿価額を切り下げること」(デジタル大辞泉)です。「売却」して「損失」が出たのならば「減損処理」は必要ありません。売却損を計上すれば済みます。

全国のリゾート施設を米シティグループに売却。24億円の減損が発生した」との書き方から判断すると「売却」に伴って「減損が発生した」はずです。これは単に売却損が「発生した」だけではありませんか。「売却」したのならば「その資産の帳簿価額を切り下げる」必要はありません。

資産整理の一環で04年に現在の豪州資本へと売却された。帳簿価格63億円に対し、売却価格はわずか2億円だった」との説明も同様です。「帳簿価格63億円」の「資産」を「2億円」で「売却」する場合に「減損処理」は不要でしょう。

減損処理」に関する記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

問い合わせは以上です。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた特集「ニセコ 熱狂リゾートの実像
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22291


※特集全体の評価はD(問題あり)。一井純記者への評価も暫定でDとする。

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