2019年12月25日水曜日

日経「出生数最少86.4万人~少子化『民』の対策カギ」に思うこと

25日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「出生数最少86.4万人~少子化、『民』の対策カギ 働き方改革や脱『新卒偏重』」という記事にツッコミどころは特にない。ただ、記事で言う「『民』の対策」のうち「脱『新卒偏重』」に関する記述を読むと「昔に戻ろう」という主張に近いと感じる。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)
       ※写真と本文は無関係です

当該部分を見てみよう。

【日経の記事】

多くの人が高校や大学などを卒業してすぐに就職して、そのまま働き続ける慣行も少子化につながっている。就職から一定期間を経てから結婚や出産するのが一般的で、平均初婚年齢は男性が31歳、女性は29歳(18年時点)で、20年前に比べそれぞれ3歳程度上がっている。第1子出産の母親の平均年齢は30.7歳だ。

出産年齢が上がると、子どもを授かりにくくなる。「20歳代の頃は子どものことなんてとても考えられなかった。今思えば、もっと早くから話し合っておけばよかった」。さいたま市に住む34歳の女性会社員は振り返る。32歳の頃に夫と不妊治療を始め、今年8月に待望の第1子を出産した。

中略)海外では高校卒業後、すぐに大学に進まない人も少なくない。その間に結婚や出産、育児を選択する例も多い。働き方や教育システムなど社会保障政策にとどまらない見直しが官民ともに求められている。



◎そのやり方は…

多くの人が高校や大学などを卒業してすぐに就職して、そのまま働き続ける慣行も少子化につながっている」と筆者は言う。そして「海外では高校卒業後、すぐに大学に進まない人も少なくない。その間に結婚や出産、育児を選択する例も多い」とも書いている。

つまり、若いうちに「結婚や出産、育児を選択」して、その後で「就職」(あるいは進学)する選択を増やそうと訴えているのだろう。

既視感がある。出生率が高かった昭和の時代、女性は若いうちに「結婚や出産、育児を選択」する傾向が強かった。大学進学率は低かったし「就職」しても「そのまま働き続ける」ケースは少なく、働く場合は子育てが一段落してからというのが、よくあるパターンだった。

記事で言う「脱『新卒偏重』」もそれに近いものがある。間違っているとは言わない。男女ともに「働き続ける」仕組みが強固になればばるほど少子化に歯止めをかけるのは難しいだろう。

個人的には少子化推進派なので、女性もどんどん働き続ければよいとは思う。ただ、少子化に歯止めをかけたいのならば、子育てをする両親のどちらかの「就業率」を下げるように誘導すべきだ。

子供を産まない選択をする女性がいる以上、子供を4人以上産む女性も相当数いないと出生率は2を超えてこない。子だくさんの家庭で両親が共に働き続けるのはかなり困難だ。どちらかが子育てに専念する時期があっていい。

しかし、世の中の流れから言って「子だくさんの専業主婦(主夫)家庭を優遇する」という政策は取りづらいだろう。

だから結局、出生率が低い状態は今後も続く。個人的には大歓迎だが…。


※今回取り上げた記事「出生数最少86.4万人~少子化、『民』の対策カギ 働き方改革や脱『新卒偏重』


※記事の評価はC(平均的)

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