2019年12月6日金曜日

「交渉拒否」はなぜスルー? 日経「ウーバーイーツ労組、報酬巡り団交求める」

6日の日本経済新聞朝刊企業1面に載った「ウーバーイーツ労組、報酬巡り団交求める 日本法人に」という記事は肝心の情報が抜けている。全文を見た上で具体的に指摘したい。
姪浜旅客待合所(福岡市)
     ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

ウーバーイーツの配達員らがつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は5日午前、米ウーバーテクノロジーズの日本法人(東京・渋谷)を訪れ、団体交渉を求める申し入れ書を手渡した。ウーバー側が一部地域で報酬体系を見直しており「一方的な切り下げ」として説明を求めている。

ウーバーイーツは11月29日、東京地区で報酬の体系を見直した。配達員の収入は、配送距離などに応じた基礎報酬と、配達回数などに応じたボーナス分で構成されている。

ウーバー側はこのうち基礎報酬の単価を引き下げた。例えば、1キロメートルあたりの単価は150円から60円になった。

ウーバー側は、天引きする手数料を35%から10%に引き下げたほか、ボーナス分なども上積みしたため、「配達パートナーの皆さまの収入に影響を与えることは想定していない」と説明。料金体系の変更は「日本でビジネスを続けるために、12月から日本での事業体系を見直した」ためだとしている。


◎他のメディアは伝えているのに…

団体交渉を求める申し入れ書を手渡した」という話がニュースなのだから、「ウーバーイーツ」が「団体交渉」に応じるかどうかは重要な情報だ。なのに記事では触れていない。

ウーバー側」がこの件でコメントを拒んでいるからかと思ったが、NHK、TBS、東京新聞は「交渉拒否」と伝えている。日経の記者は基礎的な技術を欠いたまま記事を書いているのか、それとも何らかの意図があるのか…。

NHKによると「会社側は、配達員は個人事業主で労働者にはあたらないとして交渉を拒否している」。今回の件では「配達員」が「労働者」に当たるかどうかも大切な論点と言える。しかし日経はこれもスルー。まともなニュース記事に仕上げる気があるのか。

ついでに言うと、最初の段落で「ウーバー側が一部地域で報酬体系を見直しており」と「地域」をボカして書き、次の段落で「東京地区で報酬の体系を見直した」と説明するのは無駄だ。最初から「ウーバー側が東京地区で報酬体系を見直しており」と記した方がスッキリする。


※今回取り上げた記事「ウーバーイーツ労組、報酬巡り団交求める 日本法人に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191206&ng=DGKKZO53028670V01C19A2TJ1000


※記事の評価はD(問題あり)

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