2019年12月15日日曜日

鈴木敏文氏の責任追及はなし? 日経社説「時代見失ったセブンの失態」

ここに至っても、セブンイレブンの絶対的な権力者として君臨した「鈴木敏文氏」の責任は追及できないのか--。15日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「時代見失ったセブンの失態」という社説を読んで、そう思わずにはいられなかった。まず、残業代未払い問題に関して社説では以下のように書いている。
のこのしまアイランドパークのコスモス
       ※写真と本文は無関係です

【日経の社説】

コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンが、加盟店で働くアルバイトやパート従業員の残業手当の一部が未払いだったことを発表した。

同社の記録が残っているだけで約3万人分、約4億9千万円の未払いが発生している。2001年に労働基準監督署から指摘されていたのに、当時はこの事実を公表していなかった

しかもそれ以前の残業代の未払い部分は支払わなかったほか、なぜこうした事態になったのかも不明という。意図的ではないとしても、あってはならないことだ。

働く人々を軽視してきた会社と言われても仕方がない。「そこまでやるのか」と社内外に思われるぐらい徹底して、過去に遡って未払い分を支払うべきだ



◎「未払い分を支払う」だけ?

『そこまでやるのか』と社内外に思われるぐらい徹底して、過去に遡って未払い分を支払う」のはいい。だが、それだけなのか。「なぜこうした事態になったのか」は検証しなくていいのか。特に「2001年に労働基準監督署から指摘されていたのに、当時はこの事実を公表していなかった」事実は重い。社内の管理体制に問題があったのは明白だ。鈴木氏の責任も免れない。

なのに社説の筆者は「鈴木氏を含む過去の経営陣の責任を追及すべきだ」とは求めない。それどころか最後にはしっかりヨイショまでしてしまう。そこも見ておこう。


【日経の社説】

営業体制の見直しでは、ファミリーマートやローソンの対応が早く、セブンは後手に回る。セブンが成長したのは創業者の鈴木敏文氏の口癖でもあった「変化対応」が速かったからだ。業界トップのセブンが信頼回復を急がないと個人消費にも影響しかねない。



◎「変化対応」ができていたら…

セブンが成長したのは創業者の鈴木敏文氏の口癖でもあった『変化対応』が速かったからだ」と言うが、「2001年に労働基準監督署から指摘されていたのに、当時はこの事実を公表していなかった」上に、その後もずっと「未払いが発生」していたのであれば、昔から「変化対応」が不十分だったと見るべきだ。

なのに改めて「鈴木敏文氏」を持ち上げるような書き方をするのが理解できない。「鈴木敏文氏」は責任を追及される側の人間だ。日経はこれまで「鈴木敏文氏」ベッタリの記事を量産してきた。今回の社説の筆者もその一員だった可能性が高い。

なので「鈴木敏文氏」の責任追及には及び腰なのだろう。だが、そこは乗り越えてほしい。それこそ「鈴木敏文氏の口癖でもあった『変化対応』」が日経にも求められている。


※今回取り上げた社説「時代見失ったセブンの失態
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191215&ng=DGKKZO53377550U9A211C1EA1000


※社説の評価はC(平均的)

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