2015年11月20日金曜日

週刊ダイヤモンド 素人くささ漂う須賀彩子記者への助言(1)

「何だか素人くさい」--。週刊ダイヤモンド11月21日号「数字で会社を読む(ハイデイ日高) ~アルコール売り上げと駅前立地で叩き出す外食トップクラスの利益率」を読んだ時に、そんな感想がまず浮かんだ。同時に「似た感想を抱いた記事があったような…」と思って探したら見つかった。ダイヤモンド9月5日号の特集3「ビッグデータまで活用 回転寿司 止まらぬ進化」がそれだ。筆者はいずれも須賀彩子記者。これは偶然とは思えない。
秋月城跡周辺(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

ハイデイ日高の記事に関して、順にツッコミを入れていこう。そこから須賀記者の素人くささの理由が浮かび上がってくるはずだ。今回は須賀記者に助言していく形式としたい。

◆須賀彩子記者への助言◆

◎「万人受けする味」と言える?

【ダイヤモンドの記事】

面白いのは、「料理は10人中6人がおいしいと言ってくれればいい」という力の抜き加減。熱烈なファンの獲得を狙うのではなく、万人受けする味とメニューを追求し、「飽きがこない」店を目指しているというのだ。

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言いたいことは何となく分かりますが、「10人中6人がおいしいと言ってくれればいい」という方針ならば、「万人受けする味を追求」というより、「万人受けする味は目指していない」と考える方が自然です。なぜなら「10人中4人はおいしいと言ってくれなくてもいい」と割り切っているからです。あくまで推測ですが、ハイデイ日高は「万人受けする味」ではなく「過半数が合格点と言ってくれる味」を狙っているのでしょう。


◎「ハイデイ日高の業績は、外食業界随一」?

こうした風変わりな戦略を採っているハイデイ日高の業績は、外食業界随一である。2014年度の売上高営業利益率は11.8%。中華の同業他社は3~8%程度、牛丼チェーンは1~3%程度であるから、ずばぬけて高い

加えて、持続的な成長ぶりにも目を見張るものがある。営業利益は12期連続、当期純利益は10期連続で増益を達成。既存店売上高は4年連続で前年度比100%を超えているほどだ。

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ハイデイ日高の業績は、外食業界随一」と断定した根拠は何ですか。記事を素直に解釈すれば、売上高営業利益率が「ずばぬけて高い」ことでしょう。しかし疑問が残ります。例えば「ひらまつ」という会社の2015年3月期のそれは23.9%で、ハイデイ日高の2倍以上です。他にもハイデイ日高を上回る営業利益率の外食企業はいくつもあるようです。「外食業界随一」と言っているので、「ひらまつ」を含む全ての外食企業の中でハイデイ日高がトップのはずですよね。

この件では、問い合わせフォームから「誤りではありませんか」と編集部に質問を送ってみました。届いていますか。まともな書き手を目指すのならば、上司とも相談してぜひ回答してください。最近はダイヤモンドの記事に関する間違い指摘をしても、握りつぶされてばかりです。別に「間違いを認めろ」とは言いません。「売上高営業利益率だけでなく他の数値も見て総合的に判断し『業績は、外食業界随一』と書きました」といった無理のある回答でいいのです。前向きに検討してみてください。

ついでに言うと、「営業利益は12期連続、当期純利益は10期連続で増益を達成」という書き方は感心しません。「営業利益は増益」「純利益は増益」とするのは重複表現です。避けた方がよいでしょう。「既存店売上高は4年連続で前年度比100%を超えているほどだ」という説明も、無駄に長い気がします。改善例を示すので、自分が書いたものと比べてみてください。

【改善例】

加えて、持続的な成長にも目を見張るものがある。営業利益は12期連続、当期純利益は10期連続で伸ばしてきた。既存店売上高も4年連続で前年度を上回っている。


この記事には気になる点がまだまだあります。長くなってきたので残りは(2)で述べます。

※(2)へ続く。9月5日号の特集については「素人くささ漂う ダイヤモンド『回転寿司 止まらぬ進化』」を参照してほしい。

追記) 結局、問い合わせへの回答はなかった。

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