2020年3月31日火曜日

コレステロール「下げるべき」に根拠欠く週刊ダイヤモンドの記事

週刊ダイヤモンド4月4日号の特集「健康診断のホント」は全体的には役に立つ内容だった。ただ「コレステロール~結局下げるべきか上げるべきか “ガチ対立見解”はこう読み解け」という記事は不満が残った。まず「下げるべきか上げるべきか」という問題設定が引っかかった。これだと「どちらかに動かすべき」との前提を感じる。個人的には「薬で下げるべきかどうか」が知りたい。
筑後川橋と菜の花(福岡県久留米市)
       ※写真と本文は無関係です

記事では「コレステロールに動脈硬化のリスクがあるかどうか。これについては、ある」と結論付けている。その上で記事では以下のように書いている。

【ダイヤモンドの記事】

一方、日本脂質栄養学会などをはじめ、「コレステロール値が高いほど長生きし、下げると危険」という主張もある。15年2月に米国の農務省と保健福祉省は「食事でのコレステロール摂取制限は必要ない」と発表した。また日本の厚生労働省も「日本人の食事摂取基準2015年版」でコレステロール摂取の上限値をなくしている。ただこれは、摂取したコレステロールが血液中のコレステロール値に与える影響は個人差が大きく、統一の基準が出せないという理由からだ。

桑島氏は、「コレステロール値が高い方が長生き説」を疑問視する。

同氏によると、日本脂質栄養学会が根拠としているのは「40~50歳以上やもっと高齢の一般集団では、総コレステロール値の高いグループで、がんでの死亡率や総死亡率が低い」というデータだ。「対象には80代、90代の人も含まれ、肝疾患やがんなど、さまざまな疾患の患者も含まれる。特に肝疾患やがん患者では栄養状態が悪くなり、コレステロール値は低くなります。相関関係を因果関係のように取って、死亡率が高いのはコレステロール値が低い人=コレステロール値が低ければ死亡率が高いと、間違った解釈をしている」(桑島氏)。コレステロール値が高い方が長生きできる、低いと危険とは、データからは一概には言えないということである。

ではLDLはどのくらいが適当なのか。日本動脈硬化学会は、17年に動脈硬化性疾患予防ガイドラインを発表し、LDLの値が140mg/dL以上であれば受診基準と定めている。

しかし、これに関して桑島氏は、全ての人が140mg/dLを目標値にするべきではないとも主張する。「疾患や喫煙の有無、女性は更年期前なのか後なのか、年齢などの状況に応じて対処は変えるべきです」。桑島氏は、動脈硬化を引き起こすリスクファクターとして、LDL以外には、高血圧、糖尿病、喫煙、男性では45歳以上、女性では55歳以上、家族に狭心症か心筋梗塞の人がいる、そしてHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が40mg/dL未満などを挙げる。これらリスクファクターの数が多いほど、リスクは高まるというわけだ。

男女で10歳の年齢差があるのは、女性はエストロゲンという女性ホルモンが血管壁を守る作用があり、閉経後は、エストロゲンの分泌量が減少して危険が増すからだ。

前述のリスクファクターが一つもない人は、特に数値が激変したり、体調変化を感じたりしていなければ、コレステロール値は少しくらい高くてもおおむね問題はない。リスクファクターが一つでもあれば受診し、リスクの高さに応じて下げた方がよい。

結論としては、高ければ下げた方がよいが、その人の状況に応じて、基準値は変わるということである。

◎

「結論としては、高ければ下げた方がよい」と言い切っているが、特に根拠は示していない。「血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール、以下LDL)の数値が高いと動脈硬化を引き起こす可能性が高くなる」としても、「コレステロール値」を薬で下げれば当然に副作用がある。それでも薬を飲むべきなのかが問題だ。

「コレステロール値が高い方が長生きできる、低いと危険とは、データからは一概には言えない」とも書いているが、これもやはり「薬を使ってでも下げるべき」との根拠にはならない。

なのになぜ「結論としては、高ければ下げた方がよい」となるのか。

「リスクファクターが一つでもあれば受診し、リスクの高さに応じて下げた方がよい」という助言にも根拠が見当たらない。「高血圧、糖尿病、喫煙、男性では45歳以上、女性では55歳以上、家族に狭心症か心筋梗塞の人がいる、そしてHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が40mg/dL未満」が「リスクファクター」だとすると「55歳以上」の人は漏れなく「受診し、リスクの高さに応じて下げた方がよい」となってしまう。

「リスクの高さに応じて下げた方がよい」と言い切るならば「下げた方」が長生きできる可能性が高まるとのエビデンスを示すべきだ。それがないままに安易な結論を読者に届けるのは、健康に関わる問題だけに罪深い。


※今回取り上げた記事「コレステロール~結局下げるべきか上げるべきか “ガチ対立見解”はこう読み解け」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/29052


※記事の評価はD(問題あり)

2020年3月28日土曜日

日経 河浪武史・後藤達也記者の「FRB資産 最高570兆円」に注文

28日の日本経済新聞朝刊総合5面に載った「FRB資産 最高570兆円~低格付け市場、なお不安定」という記事には引っかかる部分がいくつかあった。まず最初の段落だ。
筑後川橋と菜の花(福岡県久留米市)
       ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

米連邦準備理事会(FRB)が2008年の金融危機時を上回る資金供給を続けている。25日時点の総資産は5兆2542億ドル(約570兆円)と過去最高を更新した。2週間で9423億ドル(約103兆円)増え、ピーク時の日銀の年間増加額(約80兆円)を上回った。国債の大量購入や短期市場の資金供給に取り組むが、企業金融の一角はなお不安定だ。FRBはリスクのある社債などを購入する資金供給策も検討している。



◎「最高」より「最大」の方が…

「25日時点の総資産は5兆2542億ドル(約570兆円)と過去最高を更新した」と書き、見出しも「FRB資産 最高570兆円」と「最高」を使っている。個人的には「最大」を推したい。「最高」だと「FRBの総資産が増えるのは良いこと」という印象を受けるからだ。「最大」の方が中立的な感じがする。

「2008年の金融危機時を上回る資金供給を続けている」と記したのに「2008年の金融危機時」との比較がないのも感心しない。「ピーク時の日銀の年間増加額(約80兆円)を上回った」と書く前に「FRB」の「金融危機時」の動きがどうだったのかを伝えてほしい。

今回の記事で最も気になったのが最後の段落だ。そこでは以下のように解説している。

【日経の記事】

中央銀行が損失リスクを負えば、通貨そのものの信頼を損ねる可能性がある。そのため主要中銀の資金供給策は、対象を安全性の高い資産に限ってきた。ただその発想は08年の金融危機時、日銀がCP購入を渋って「中銀の独りよがり」と手厳しく批判された。経済の危機と中銀の健全性をどう両立するか。答えの出ない局面が再び訪れた。



◎日銀のETF購入は?

上記の説明だと「主要中銀の資金供給策」は今でも「対象を安全性の高い資産に限って」いると取れる。だが日銀はどうか。日経も18日の記事で「日銀が金融市場への資金供給を増やしている。(中略)上場投資信託(ETF)も1日分として過去最大の約1200億円を購入した」と書いている。

日銀が購入している「ETF」は「安全性の高い資産」とは言い難い。「主要中銀」の一角である日銀はリスクの高い資産の買い入れで既に大きな「損失リスク」を負っているのではないか。それとも日銀を「主要中銀」ではないと見ているのだろうか。

ついでに言うと「経済の危機と中銀の健全性をどう両立するか」という文は舌足らずだ。「危機」は維持すべきものではない。「経済危機の克服と中銀の健全性をどう両立するか」などとすべきだ。


※今回取り上げた記事「FRB資産 最高570兆円~低格付け市場、なお不安定」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200328&ng=DGKKZO57316780X20C20A3EA5000


※記事の評価はD(問題あり)。河浪武史記者と後藤達也記者への評価はDを据え置く。


※河浪記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「インフレはドル高招く」と日経 河浪武史記者は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.com/2016/12/blog-post_14.html

「米利上げ 独走強まる」に無理がある日経 河浪武史記者
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_32.html

米ゼロ金利は「2008年の金融危機以来」? 日経 河浪武史記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/2008.html


※後藤記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「先進国の金利急低下」をきちんと描けていない日経 後藤達也記者
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_87.html

2020年3月27日金曜日

梶原誠氏による最終回も問題あり 日経1面連載「コロナ危機との戦い」

日本経済新聞の朝刊1面で連載した「コロナ危機との戦い」が27日で終わった。社内で高く評価されている書き手に任せたのだろうが、完成度は総じて低い。梶原誠氏(肩書は本社コメンテーター)が書いた「(5)『島国化』は繁栄生まぬ」という記事も例外ではない。
菜の花(福岡県久留米市)※写真と本文は無関係です

「何があってもとにかくグローバル化は大事」という毒にも薬にもならない訴えは良しとするとしても、もう少ししっかりした内容に仕上げてほしい。問題点を具体的に指摘してみる。


【日経の記事】

起点は2016年にある。英国が欧州連合からの離脱を決めた「ブレグジット」と、米国第一主義を掲げるトランプ氏が大統領選を制した年だ。

◎何と何?

「英国が欧州連合からの離脱を決めた『ブレグジット』と、米国第一主義を掲げるトランプ氏が大統領選を制した年だ」という文は、何と何を「と」で結んでいるのかよく分からない。

「ブレグジット」と「大統領選」だと考えると「ブレグジットを制した年」になってしまう。「ブレグジット」と「大統領選を制した年」でもしっくり来ない。この文では「16年は」という主語を省略しているので「16年は『ブレグジット』と『大統領選を制した年』だ」となる。やはり苦しい。

改善例を示してみる。

【改善例】

起点は2016年にある。英国が欧州連合からの離脱「ブレグジット」を決め、米国第一主義を掲げるトランプ氏が大統領選を制した年だ。


記事の問題点は他にもある。

【日経の記事】

覇権主義と結びついたグローバル化は反発を受けるだけだ。中国が「ワン・チャイナ」を押しつけたからこそ、香港人は大規模デモで逆襲した。


◎「グローバル化」と関係ある?

香港に対して「中国が『ワン・チャイナ』を押しつけた」として、それは「覇権主義と結びついたグローバル化」の一例なのか。基本的に中国の国内問題だ。普通は1国1制度であり、政治的な自由度に差がある地域を抱えている中国はかなり異例だ。それを「ワン・チャイナ」にするのが好ましいかどうかは別として「覇権主義と結びついたグローバル化」と結び付けるのは無理がある。

最後にもう1つ。

【日経の記事】

1929年10月24日の米株価大暴落「暗黒の木曜日」は、世界恐慌を招いた。保護主義が経済のブロック化を経て第2次世界大戦につながった。収まらない米中の緊張や、原油産出量の調整に背を向けたサウジアラビアやロシアの姿勢には、当時のきな臭さがある。



◎逆では?

「保護主義が経済のブロック化を経て第2次世界大戦につながった」歴史と「原油産出量の調整に背を向けたサウジアラビアやロシアの姿勢」を重ねて「当時のきな臭さがある」と梶原氏は言う。個人的には逆だと感じる。

OPECとロシアが協力して価格維持策を取る方が「ブロック化」に近い。カルテルを形成する動きとは逆に「原油産出量の調整に背を向けたサウジアラビアやロシア」は自由競争に近付いているように見える。自由競争を支持する立場から言えば好ましい展開だ。梶原氏は違うのだろうか。


※今回取り上げた記事「コロナ危機との戦い(5)『島国化』は繁栄生まぬ」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200327&ng=DGKKZO57276300W0A320C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。梶原誠氏への評価はE(大いに問題あり)を据え置く。梶原氏については以下の投稿も参照してほしい。

日経 梶原誠編集委員に感じる限界
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_14.html

読む方も辛い 日経 梶原誠編集委員の「一目均衡」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html

日経 梶原誠編集委員の「一目均衡」に見えるご都合主義
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_17.html

ネタに困って自己複製に走る日経 梶原誠編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_18.html

似た中身で3回?日経 梶原誠編集委員に残る流用疑惑
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_19.html

勝者なのに「善戦」? 日経 梶原誠編集委員「内向く世界」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_26.html

国防費は「歳入」の一部? 日経 梶原誠編集委員の誤り
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/01/blog-post_23.html

「時価総額のGDP比」巡る日経 梶原誠氏の勘違い
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/04/gdp.html

日経 梶原誠氏「グローバル・ファーストへ」の問題点
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/04/blog-post_64.html

「米国は中国を弱小国と見ていた」と日経 梶原誠氏は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/01/blog-post_67.html

日経 梶原誠氏「ロス米商務長官の今と昔」に感じる無意味
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/04/blog-post.html

ツッコミどころ多い日経 梶原誠氏の「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/deep-insight.html

低い韓国債利回りを日経 梶原誠氏は「謎」と言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_8.html

「地域独占」の銀行がある? 日経 梶原誠氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_18.html

日経 梶原誠氏「日本はジャンク債ゼロ」と訴える意味ある?
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_25.html

「バブル崩壊後の最高値27年ぶり更新」と誤った日経 梶原誠氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/27.html

地銀は「無理な投資」でまだ失敗してない? 日経 梶原誠氏の誤解
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_56.html

「日産・ルノーの少数株主が納得」? 日経 梶原誠氏の奇妙な解説
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_13.html

「霞が関とのしがらみ」は東京限定? 日経 梶原誠氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/deep-insight.html

「儒教資本主義のワナ」が強引すぎる日経 梶原誠氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/deep-insight_19.html

2020年3月26日木曜日

中国依存脱却が解決策? 日経 中山淳史氏「コロナ危機との戦い」

日本経済新聞朝刊1面の連載「コロナ危機との戦い」がやはり苦しい。26日の「(4)不測の時代、供給網柔軟に」という記事の筆者である中山淳史氏(肩書は本社コメンテーター)は中国依存の危険性を訴える。「コロナ危機との戦い」では、中国依存からの脱却は解決策にならないはずだが…。
菜の花(福岡県久留米市)
       ※写真と本文は無関係です

記事の一部を見ていこう。

【日経の記事】

背景にあるのはグローバル化の定着と中国の急激な巨大化だ。世界銀行によると、世界の貿易が国内総生産(GDP)に占める比率は、1980年代に4割を下回っていたが、08年以降は6割前後を保っている。

一方、01年の世界貿易機関(WTO)加盟を機に「世界の工場」に変貌を遂げた中国は世界から企業の投資を受け入れ、同国が最大の貿易相手国になった国・地域の数が60に達した。米国が最大の相手国である国・地域は35だ。

中国発着の航空旅客もこの間、約10倍に増えた。世界の伸びは2倍だ。ところが通関や検疫体制、各国・企業の事業継続計画(BCP)は変化に適応し切れなかった。コロナウイルス感染は20年前なら「風土病」にとどまった可能性があるが、世界は同国の急激な工業化、都市化の中で生じた衛生管理の不備を見落とし、拡散を許した。

IATAの予測では、24年には中国発着の航空旅客が米国を抜き世界一になる。まずは検疫体制の見直しや強化を各国で急ぐべきだ。

次に徹底したリスクの分散が必要だろう。今回のコロナ禍でも自動車産業や米アップルを中心にサプライチェーン(供給網)は止まった。

原因は中国への過度な依存だ。企業は12年の尖閣諸島問題を機に「チャイナ・ファースト」から中国以外の国・地域をかませる「チャイナ・プラス・ワン」にカジを切る動きを見せたが、不十分だったということだ。

もう一歩踏み込むとしたら「チャイナ・アズ・ワン・オブ・メニー(多数の中の一つ)」だろう。東欧、インド、イスラエルなど中国を代替できる選択肢を2つ3つと育てたい。供給網は企業によっては地球と月を往復するほどの総延長距離がある。米中摩擦も念頭に置き、製品や部品がどこを通ればボトルネックを起こさないか、一つ一つ丁寧に点検する時だ。

政府や一部企業には「供給網を国内に戻せば」との声もある。だが、中国市場の重要性や投資の負担を考えれば「巣ごもり生産」は現実的ではない。企業は事件や災害の度に供給網の引き出しを増やし、質を高めてきた。今回もあり得べきグローバル体制を模索する重要な機会にすべきだ。



◎中国を代替できる?

「コロナ危機」が地域限定の「危機」ならば、リスク回避の手段として「分散」は重要だ。しかし世界全体の「危機」だとすると「分散」に大した意味はない。

記事の冒頭で「『まるで世界中が戒厳令下のよう』と大手航空会社の幹部は話す」と中山氏も書いている。なのに「もう一歩踏み込むとしたら『チャイナ・アズ・ワン・オブ・メニー(多数の中の一つ)』だろう。東欧、インド、イスラエルなど中国を代替できる選択肢を2つ3つと育てたい」と訴える気が知れない。記事には「インドが25日に全土を封鎖し、タイも26日に非常事態宣言を出すなど、影響はさらに拡大する」との記述もある。少なくとも現状では「インド」は「中国を代替できる選択肢」にはならない。

ついでに言うと「世界銀行によると、世界の貿易が国内総生産(GDP)に占める比率は、1980年代に4割を下回っていたが、08年以降は6割前後を保っている」との記述は引っかかった。「占める比率」ではなく「対する比率」とした方がいい。

細かい説明は省くが、3月15日の記事では日経も「世界銀行などによると国内総生産(GDP)に対する貿易の比率は、世界全体として1990年ごろに30%台だったのが2010年代には60%前後に高まった」と書いている。


※今回取り上げた記事「コロナ危機との戦い(4)不測の時代、供給網柔軟に」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200326&ng=DGKKZO57222400V20C20A3MM8000



※記事の評価はD(問題あり)。中山淳史氏への評価もDを据え置く。中山氏については以下の投稿も参照してほしい。

日経「企業統治の意志問う」で中山淳史編集委員に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post_39.html

日経 中山淳史編集委員は「賃加工」を理解してない?(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/03/blog-post_8.html

日経 中山淳史編集委員は「賃加工」を理解してない?(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/03/blog-post_87.html

三菱自動車を論じる日経 中山淳史編集委員の限界
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_24.html

「増税再延期を問う」でも問題多い日経 中山淳史編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_4.html

「内向く世界」をほぼ論じない日経 中山淳史編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_27.html

日経 中山淳史編集委員「トランプの米国(4)」に問題あり
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/01/blog-post_24.html

ファイザーの研究開発費は「1兆円」? 日経 中山淳史氏に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/08/blog-post_16.html

「統治不全」が苦しい日経 中山淳史氏「東芝解体~迷走の果て」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html

シリコンバレーは「市」? 日経 中山淳史氏に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/01/blog-post_5.html

欧州の歴史を誤解した日経 中山淳史氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/03/deep-insight.html

日経 中山淳史氏は「プラットフォーマー」を誤解?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post.html

ゴーン氏の「悪い噂」を日経 中山淳史氏はまさか放置?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/blog-post_21.html

GAFAへの誤解が見える日経 中山淳史氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/gafa-deep-insight.html

日産のガバナンス「機能不全」に根拠乏しい日経 中山淳史氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_31.html

「自動車産業のアライアンス」に関する日経 中山淳史氏の誤解
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_6.html

「日経自身」への言及があれば…日経 中山淳史氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/deep-insight.html

45歳も「バブル入社組」と誤解した日経 中山淳史氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/45-deep-insight.html

「ルノーとFCA」は「垂直統合型」と間違えた日経 中山淳史氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/fca.html

当たり障りのない結論が残念な日経 中山淳史氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/deep-insight.html

2020年3月23日月曜日

中国との協力はなぜ除外? 日経 秋田浩之氏「コロナ危機との戦い(1)」

23日の日本経済新聞朝刊1面で「コロナ危機との戦い」という連載が始まった。「(1) 分断より協調 今こそ」という記事の筆者は「本社コメンテーター」の秋田浩之氏。やはりと言うべきか完成度は高くない。
耳納連山と菜の花(福岡県久留米市)
      ※写真と本文は無関係です

記事を見ながら具体的に指摘したい。

【日経の記事】

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。ウイルスとの戦いを制し、経済・金融市場の動揺を防ぐ手立てが求められている。出口のみえない危機に世界はどう立ち向かうべきか。

主要7カ国(G7)首脳が今月16日、テレビ会議を開き、日中韓の外相も20日、テレビで対応を話し合った。日ごろ、関係がぎくしゃくしがちな米欧や日韓だが、いずれの会議も雰囲気は前向きだったという。

主要国の政治指導者に求められるのは、感染防止や医療の活動に一丸となって取り組む決意を、世界に強く発信し続けることだ。当たり前の話だが、いま、いちばん欠けていることである。

世界は疫病の脅威に震えている。政治指導者の連帯が病に苦しむ人々や医療の現場で葛藤する人々を勇気づける。そうしたエネルギーが戦いの克服に絶対欠かせない。

ところが、悲しいことに、目に付くのは国際政治の醜さだ。米国は中国の現場がウイルス発生を隠蔽し、世界の対応が約2カ月遅れたと怒る。中国はいち早く感染を抑え込んだ自分たちこそ世界の模範と宣伝する。

中国の初動が遅れ、感染が広がったのは事実だ。だが、共産党政権は「中国は強力に感染を抑えた。民主主義モデルより共産党統治が優れている証拠だ」と体制論争をしかける兆しもある。

米中は危機対応で協力すべきなのに、これでは本格的な新冷戦のトンネルに入ってしまう。そんな争いに油を注ごうとする動きすらある。


◎なぜ一方だけに目を向ける?

「悲しいことに、目に付くのは国際政治の醜さだ」と秋田氏は米中対立に目を向ける。しかし、その前に「日ごろ、関係がぎくしゃくしがちな米欧や日韓だが、いずれの会議も雰囲気は前向きだったという」とも書いている。「醜さ」があるとしても、一方で危機に際しての連帯の動きも見えているのではないか。なのになぜ「悲しいことに、目に付くのは国際政治の醜さだ」となってしまうのか。

しかも米中の話も苦しい。「中国の初動が遅れ、感染が広がったのは事実」との前提に立てば「中国の現場がウイルス発生を隠蔽し、世界の対応が約2カ月遅れた」との「米国」の「怒り」はもっともだ。「醜さ」は感じられない。

「中国はいち早く感染を抑え込んだ自分たちこそ世界の模範と宣伝する」のも自慢の類ではあるが「醜さ」の例とするのは酷だ。

記事の終盤も引っかかった。

【日経の記事】

欧州連合(EU)の結束もむしばまれている。世界で最多の死者を数えるイタリアはEU本部を通じ、数週間も前から医療支援を仰いでいた。だが、各国の反応は鈍い。

代わりに中国が先週、第3弾となる医療チーム、数百人をイタリア入りさせた。現地では「EUはイタリアを見捨てた」との批判が聞かれる。EU加盟をめざすセルビアのブチッチ大統領もEUに強い失望を表明し、中国に助けを求めた。

主要国も危機の最中にあり、他国に手を差し伸べる余裕を欠く。だとしても、少なくとも、できることは2つある。

第1に、G7やEUなどを中心に首脳、閣僚のテレビ会議を定期的に開き、感染や対策をめぐる情報を密に共有し、次の措置に役立てる。入国制限などが行きすぎないよう、互いに調整する。

第2に、イタリアなど状況が深刻な国々や、感染が広がりかねないアフリカ、中東にどのような支援ができるか協議し、手分けして進める。

危機はいずれ終わる。試練を経た世界は連帯を強めているのか、それとも分断が深まっているか。政治指導者の行動がその行方を決める。



◎なぜ中国は蚊帳の外?

「中国が先週、第3弾となる医療チーム、数百人をイタリア入りさせた」などと書いた後で「主要国も危機の最中にあり、他国に手を差し伸べる余裕を欠く」と秋田氏は言い切る。記事から判断すると「中国」には「他国に手を差し伸べる余裕」がありそうだ。

中国嫌いの傾向がある秋田氏にとって「中国」は「主要国」ではないのかもしれないが、常識的に考えれば明らかな「主要国」だ。

「できることは2つある」として「G7やEUなどを中心に首脳、閣僚のテレビ会議を定期的に開き、感染や対策をめぐる情報を密に共有し、次の措置に役立てる」と秋田氏は提案している。ここでもやはり「中国」は蚊帳の外だ。危機に際して、それでいいのか。

「第2に、イタリアなど状況が深刻な国々や、感染が広がりかねないアフリカ、中東にどのような支援ができるか協議し、手分けして進める」との提案にも説得力に欠ける。秋田氏の見方では「主要国も危機の最中にあり、他国に手を差し伸べる余裕を欠く」はずだ。なのにどうやって「他国」を「支援」していくのか。

付け加えると「イタリアなど状況が深刻な国々や、感染が広がりかねないアフリカ、中東」という説明も引っかかる。「中東」では「感染」がまだ広がっていないとの前提を感じるからだ。秋田氏はイランの感染状況を知らないのか。それともイランは「中東」に入らないと思い込んでいるのか。


※今回取り上げた記事「コロナ危機との戦い(1) 分断より協調 今こそ」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200323&ng=DGKKZO57086440T20C20A3MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。秋田浩之氏への評価はE(大いに問題あり)を維持する。秋田氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経 秋田浩之編集委員 「違憲ではない」の苦しい説明
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post_20.html

「トランプ氏に物申せるのは安倍氏だけ」? 日経 秋田浩之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/02/blog-post_77.html

「国粋の枢軸」に問題多し 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/03/deep-insight.html

「政治家の資質」の分析が雑すぎる日経 秋田浩之氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/08/blog-post_11.html

話の繋がりに難あり 日経 秋田浩之氏「北朝鮮 封じ込めの盲点」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/blog-post_5.html

ネタに困って書いた? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/deep-insight.html

中印関係の説明に難あり 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/deep-insight.html

「万里の長城」は中国拡大主義の象徴? 日経 秋田浩之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/blog-post_54.html

「誰も切望せぬ北朝鮮消滅」に根拠が乏しい日経 秋田浩之氏
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_23.html

日経 秋田浩之氏「中ロの枢軸に急所あり」に問題あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_30.html

偵察衛星あっても米軍は「目隠し同然」と誤解した日経 秋田浩之氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_0.html

問題山積の日経 秋田浩之氏「Deep Insight~米豪分断に動く中国」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/deep-insight.html

「対症療法」の意味を理解してない? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/deep-insight.html

「イスラム教の元王朝」と言える?日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/deep-insight_28.html

「日系米国人」の説明が苦しい日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/12/deep-insight.html

米軍駐留経費の負担増は「物理的に無理」と日経 秋田浩之氏は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_30.html

2020年3月22日日曜日

見出しの「雇用危機防げるか」を論じていない日経「チャートは語る」

22日の日本経済新聞朝刊1面に載った「チャートは語る~雇用危機防げるか 宿泊・運輸・小売り、日米欧で1億人」という記事は期待外れの内容だった。「雇用危機防げるか」との見出しを見て「まだ『危機』ではないとの認識なのか。それに、どういう基準で『雇用危機』かどうかを判断するのだろう?」と疑問が湧いたので、記事を読んでみた。
筑後川沿いの菜の花(福岡県久留米市)
      ※写真と本文は無関係です

まず、本文には「雇用危機」という言葉は出てこない。「雇用危機防げるか」を論じてもいない。「万が一企業の破綻が広がっても、雇用喪失とその痛みを最小限に抑える政策をためらうことなく打ち出す必要がある」というのが記事の結論だ。1面トップなので見出しで盛り上げたのだろうが、中身が伴っていない。

他にもいくつか気になる点があった。記事を見ながら指摘したい。

【日経の記事】

世界で雇用不安が広がっている。新型コロナウイルスの流行で経済活動が停滞。旅行や外食需要が消失し、ホテル・レジャー、運輸、小売りは実質休業に近い状況が広がる。こうした3業種の雇用者数は日米欧の全雇用者の4分の1に相当する1億人に上る。感染拡大が止まらず、今の状況が長期化すれば、雇用や消費など実体経済への打撃は計り知れない。企業の破綻を防ぎ、雇用不安を緩和する政策が急務となっている。



◎なぜ「日米欧」限定?

「世界で雇用不安が広がっている」と打ち出したものの、記事では「日米欧」への影響を描いているだけだ。「新型コロナウイルスの流行で経済活動が停滞」しているのは「日米欧」に限った話ではない。フィリピンやマレーシアも国内の移動制限に踏み切ったと報じられている。

そもそも、今回の問題の震源地で経済規模でも世界第2位の中国を除いて「世界」の「雇用不安」を論じるのが解せない。日経にとっては「世界=日米欧」なのかもしれないが…。

次は言葉の使い方について。

【日経の記事】

ホテルや航空会社にはひたひたと信用不安が迫る。ホテル最大手のマリオット・インターナショナルは北米や欧州の客室稼働率が足元で25%を割り込んだ。コマーシャルペーパー(CP)や社債の利回りは上昇が止まらない。



◎「上昇が止まらない」のに「高止まり」?

「コマーシャルペーパー(CP)や社債の利回りは上昇が止まらない」と書いているが、「(ボーイングなど3社の)CP」と「米国の低格付け社債利回り」に関するグラフでは「信用リスクは高止まりが続く」と説明している。

「上昇が止まらない」のならば「高止まり」ではない。「高止まりが続く」のならば「上昇」は止まっているはずだ。

付け加えると、ここでも「北米や欧州」限定が気になった。例えば「香港を拠点にする大手のキャセイパシフィック航空は21日までに、新型コロナウイルスの世界的な蔓延(まんえん)で空の旅行需要が激減しほぼ全ての旅客便を2カ月間欠航するとの方針を示した」とCNNが報じている。「航空会社」に「信用不安が迫る」のは欧米だけではないはずだ。


※今回取り上げた記事「チャートは語る~雇用危機防げるか 宿泊・運輸・小売り、日米欧で1億人」
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5707287021032020SHA000?disablepcview=&s=3


※記事の評価はD(問題あり)。担当記者への評価は以下の通りとする(敬称略)。

後藤達也(暫定D→D)
奥平和行(D据え置き)
佐竹実(暫定D→D)
真鍋和也(暫定D)


※後藤記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「先進国の金利急低下」をきちんと描けていない日経 後藤達也記者
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_87.html


※奥平記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「空飛ぶクルマ」の記事で日経 奥平和行編集委員に問う 
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_15.html

解読困難な日経 奥平和行編集委員「岐路に立つネット覇者」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/04/blog-post_12.html


※佐竹記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「フィンランドを見習え」が苦しい日経 佐竹実記者「Disruption 断絶の先に」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/disruption.html

2020年3月21日土曜日

東洋経済「原油相場は長期低迷必至」の見出しに騙しあり

週刊東洋経済3月28日号に載った「ニュース最前線03 サウジがまさかの増産~原油相場は長期低迷必至」という記事は見出しに騙された。「長期低迷必至」とまでよく言い切れたな思って読んでみると「有力産油国のにらみ合いに新型コロナ問題が加わり、原油相場の低迷は当面続きそうだ」としか大塚隆史記者は書いていない。ここから「長期」「必至」と見出しに取るのは無理がある。この手の「騙し」は読者の信頼を損ねるのでお薦めしない。
筑後川橋と菜の花(福岡県久留米市)
       ※写真と本文は無関係です

付け加えると「原油相場の低迷は当面続きそうだ」との結論にも説得力がなかった。記事の一部を見てみよう。

【東洋経済の記事】

現在は1バレル=30ドル台で、原油安が長引けば、生産量を増やしてきた米国産原油にも影響が及ぶ。シェールオイル企業の採算ラインは1バレル=50ドル程度とされており、「仮に30ドル台が3カ月から半年ほど続けば、米シェールオイル企業の倒産も懸念される」(日本総合研究所の藤山光雄・主任研究員)。当然、米国経済も少なからぬ打撃を受けることになる。

次回のOPECプラスの総会は6月。財政に余裕のないサウジがいつまで増産を押し通せるかが1つの焦点になる。ロシアも、余裕があるとはいえ、採算悪化にさらされる1バレル=30ドル台という低水準が長引くことは望んでいないだろう。


◎色々と上昇要因がありそうだが…

「シェールオイル企業の採算ラインは1バレル=50ドル程度」だとすれば「30ドル台」が続く局面では「米国産原油」の減産を促す。「財政に余裕のないサウジ」が相場低迷に苦しみ、「増産を押し通せ」なくなる展開も十分にあり得る。しかも「ロシア」も「1バレル=30ドル台という低水準が長引くことは望んでいないだろう」と大塚記者は見ている。

さらに言えば「新型コロナ問題」に終息の兆しが見えてきてもおかしくない。もちろん「原油相場の低迷」が続く可能性はあるが「低迷は当面続きそうだ」と言われて「なるほど」とは思えなかった。「長期低迷必至」と言える根拠も当然に見当たらない。

多くの場合、相場見通しを突き詰めて考えると「何とも言えない」になってしまう。どうしても記事に組み込みたければ、条件を付けるのも手だ。例えば「有力産油国のにらみ合いが協調に転じたとしても、新型コロナ問題に終息の兆しが見えない限り、原油相場の上値は重そうだ」といったところか。結局は逃げなのだが…。


※今回取り上げた記事「ニュース最前線03 サウジがまさかの増産~原油相場は長期低迷必至」
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/23256


※記事の評価はC(平均的)。大塚隆史記者への評価も暫定でCとする。