のこのしまアイランドパーク(福岡市) ※写真と本文は無関係です |
当該部分を見ていこう。
【日経ビジネスの記事】
テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)によれば、モデル3は従来のEVと異なり、圧倒的に投資対効果を高めた車両だ。車両価格は3万5000ドル(約380万円)からと安い。さらにマスクCEOはモデル3の高い耐久性とランニングコストの低さをアピールしており、イエローキャブがどんどん「テスラ化」する可能性は十分にある。
日本の自動車メーカーにとって脅威になり得るが、これはその「序章」にすぎない。その理由は、テスラが今年4月に発表した「テスラネットワーク」計画にある。自動運転車両を使ってライドシェアサービスを提供するというもの。ウーバーテクノロジーズなどライドシェア大手のサービスを、運転手なしで実現するというわけだ。
このネットワークは主に同社が所有するクルマで構成するが、個人所有のテスラ車も参加できる点が構想の目玉だ。タクシー会社がこのネットワークを運営するパートナーとなる可能性はあるが、構想が実現すればタクシー会社はパイを奪われるだろう。
だが、オセロのコマがひっくり返る可能性があるのは個人所有の市場も同じだと考えられる。前述の通り、個人所有のテスラ車もネットワークに参加できるからだ。未使用の間、車両が勝手に「出勤」して移動サービスを顧客に届けることができる。同社の試算では、1日16時間稼働させれば年間最大3万ドルの収益がオーナーの手に入るという。1年強の期間、クルマに「働いて」もらえば、初期費用が回収できる計算になる。これは所有者にとって魅力的だ。
◎そんなに単純な話?
「モデル3」の「車両価格は3万5000ドル(約380万円)からと安い」。「自動運転車両」を使った「ライドシェアサービス」には「個人所有のテスラ車もネットワークに参加できる」。そして「1日16時間稼働させれば年間最大3万ドルの収益がオーナーの手に入る」。だから「1年強の期間、クルマに『働いて』もらえば、初期費用が回収できる計算になる」--。池松支局長はそう考えたようだ。納得できただろうか。
「ライドシェアサービス」に使う「自動運転車両」は今の「モデル3」と同じ価格になるとの前提を感じるが、そうなのか。タクシーとして使える運転者不要の「自動運転車両」であれば、発売当初はかなりの高価格になりそうな気がする。
では、同程度の価格であれば「1年強」で「初期費用が回収できる」だろうか。ここで言う「年間最大3万ドルの収益」とは「年間最大3万ドルの『収入』」との前提で考えたい。
車は購入すれば後は費用ゼロで動いてくれる訳ではない。「電気自動車」であれば電気代はかかるだろう。修理や保険にも費用が発生する。これらを含めて「初期費用が回収できる」かどうかを検討すべきだ。
百歩譲って費用は「3万5000ドル」のみとしよう。しかし、「3万ドルの収益」とはあくまで「最大」のケースだ。「3万5000ドル」を払ってEVを買えば、例えば5年間は何もしなくても毎年「3万ドル」が入ってくるとしよう。こんな旨い話はあまりないので、多くの人が市場に参入しそうだ。そうなれば得られる「収益」は大幅に低下する。そして「3万ドルの収益」を得られる人はほとんどいなくなるはずだが…。
こうした様々な壁を乗り越えて、それでも「1年強の期間、クルマに『働いて』もらえば、初期費用が回収できる計算になる」と池松支局長は思えるだろうか。よく考えてみてほしい。
※今回取り上げた記事「時事深層 FRONTLINE ニューヨーク~テスラの『自動運転タクシー構想』、始動か」
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00424/
※記事の評価はD(問題あり)。池松由香支局長への評価もDを据え置く。池松支局長に関しては以下の投稿も参照してほしい。
日経ビジネス池松由香記者の理解不能な「トヨタ人事」解説
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/12/blog-post_9.html
大げさ過ぎる? 日経ビジネス特集「中国発 EVバブル崩壊」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/ev.html
手抜きが過ぎる日経ビジネス池松由香ニューヨーク支局長の記事
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_19.html
0 件のコメント:
コメントを投稿