2019年9月23日月曜日

日経 長沼亜紀記者が書いた「理解に苦しむベタ記事」

日本経済新聞の長沼亜紀記者が21日の夕刊総合面に「シェアオフィス『不況で脆弱性』 ボストン連銀総裁」という理解に苦しむベタ記事を書いている。全文を見た上で記事の問題点を考えてみたい。

長崎水辺の森公園(長崎市)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

米ボストン連銀のローゼングレン総裁は20日「シェアオフィス・モデルは景気後退時に問題となる可能性がある」と述べ、「ウィーワーク」のようなモデルの脆弱性を指摘した。ニューヨークでの講演で発言した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は18日、今年2回目の利下げを決めたが、ローゼングレン総裁は金利据え置きを主張して反対票を投じた。講演では「極めて低い金利は家計や企業に過剰なリスクをとることを促す」と述べ、懸念を表明した。


◎それはそうでしょうが…

シェアオフィス・モデルは景気後退時に問題となる可能性がある」のはその通りだろう。だが、多くの事業モデルは「景気後退時に問題となる可能性がある」はずだ。「ローゼングレン総裁」がなぜわざわざ「シェアオフィス・モデル」に言及したかがポイントだが、長沼記者は何も教えてくれない。

ベタ記事なので、あれこれ説明する余裕がないのは分かる。しかし記事の後半では「シェアオフィス・モデル」の話から離れてしまっている。これほど短い記事でテーマを1つに絞らないのも解せない。

ブルームバーグの記事によると「低金利の下で進化する市場モデルは商業用不動産の分野で金融安定性に対して新たなタイプの潜在的リスクを生みつつある。そうした市場モデルの一つは、多くの主要都市のオフィス市場でのシェアオフィス事業の発展だ」「不動産市場で成長しつつあるこうした事業モデルによって、次の不況時に商業用不動産が被る損失がさらに大きくなることを私は懸念している」と「ローゼングレン総裁」は述べたらしい。

これならば「米ボストン連銀」の「総裁」がなぜ「シェアオフィス・モデル」に言及したか理解できる。ブルームバーグの記事に付いた見出しは「ボストン連銀総裁:シェアオフィス事業モデルが金融リスク生む可能性」。何を伝えたいのか明確だ。

しかし日経の記事は舌足らずが過ぎる。この記事だけで「ローゼングレン総裁」の発言が持つ意味を正しく理解するのは不可能だ。記事にするならば、少なくとも「シェアオフィス・モデル」と「金融安定性」を絡めるべきだ。

長沼記者はなぜそうしなかったのか。まともな書き手を目指すならば、そこは逃げずに考えてほしい。


※今回取り上げた記事「シェアオフィス『不況で脆弱性』 ボストン連銀総裁
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190921&ng=DGKKZO50079550R20C19A9NNE000


※記事の評価はD(問題あり)。長沼亜紀記者への評価も暫定でDとする。

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