2016年11月16日水曜日

日比谷は東大・慶應に特化? ダイヤモンド「最強の高校」

週刊ダイヤモンド11月19日号の「中高一貫vs地方名門 最強の高校」という特集に出てくる地域別の「高校マップ」のうち、ここでは「南関東の高校マップ」で気になった点を指摘していく。

浮羽島(福岡県うきは市) ※写真と本文は無関係です

◎なぜ千葉県を冷遇?

まず千葉の冷遇が気になった。地図に出てくるのは神奈川40校に対し千葉はわずかに13校。「北関東の高校マップ」では、埼玉が32校で、やはり千葉を大きく上回る。人口などで考えても、神奈川の3分の1はやりすぎだ。そのため東邦大付属東邦高校といった千葉県内トップクラスの進学校が地図には出ていない。


◎日比谷は「東大、慶應大に特化」?

南関東の高校マップ」には「日比谷」に関する説明がいくつも出てくる。その中の2つがかなり怪しい。まず「都立には進路に特徴がある。日比谷は東大、慶應大に特化、西、戸山は京大など旧帝大に実績」という吹き出しが目に付いた。「東大、慶應大に特化」しているのならば、日比谷から大学に進学する人のほとんどは東大か慶應大でないと苦しい。

日比谷の2016年度の合格実績を見ると、東工大7人、一橋大18人、京大9人、東大以外の国公立医学部35人となっている。こうした生徒が「東大か慶應大」に進んだとは考えにくい(国公立を蹴って慶應医学部を選ぶ可能性はあるだろうが…)。「日比谷は東大、慶應大に特化」は誤りだと思える。甘めに見ても、大げさな表現だ。


◎日比谷は「本当は中高一貫校化したい」?

優秀な教員を集中。本当は中高一貫校化したい!(そうしたら開成に勝てる!)」という日比谷に関する説明もどう理解すべきか悩んだ。地図では「本当は中高一貫校化したい!(そうしたら開成に勝てる!)」と誰が考えているのか明示していない。とりあえず日比谷高校の関係者が主語だと仮定してみる。そうすると、特集の中の「武内 彰(東京都立日比谷高校校長)インタビュー ~日比谷高校はなぜ復活したのか」と話が違ってくる。

インタビューの一部を見てみよう。


【ダイヤモンドの記事】

──例えば日比谷が中高一貫校になるとか?

今のまま3年間でやろうと思っていますし、東京都の政策からもそういう話にはならないでしょう。やったところで私立の中高一貫校みたいになって、高校の多様性が失われるんじゃないかな

高い学費を払って、その上に立派な塾まで通って東大に入る。そういう人たちばかりになっていいんでしょうか。ここに公立の進学校の存在意義があります。

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これを見る限り日比谷の校長は中高一貫校になる意欲を示していない。本音を隠しているのかもしれないし、「中高一貫校化したい」のは校長以外かもしれない。だが、インタビューと食い違うような内容を地図に入れるのであれば、読者が混乱しないような配慮は欲しい。誰が言っているのか分からないような形で「そうしたら開成に勝てる!」などと入れるのも感心しない。特集の担当者らの願望のようにも見える。


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「学閥輩出校」って何? 週刊ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_15.html

根拠なく宮崎公立2強を貶めるダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_74.html

北海道は「1極化」が課題? ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_2.html

間違いだらけ週刊ダイヤモンド「最強の高校」の高校マップ
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_18.html

質・量ともに「訂正」が凄い週刊ダイヤモンド「最強の高校」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_76.html

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