2016年6月6日月曜日

週刊ダイヤモンドの記事 誤り認めた櫻井よしこ氏を評価

ジャーナリストの櫻井よしこ氏が週刊ダイヤモンド6月11日号の「新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽~オバマ大統領の広島訪問で考えた 指導者の『言葉』と『行動』のギャップ」という記事で、「冷戦後」と書くべきところを「戦後」としてしまっている。櫻井よしこ氏のホームページに以下の問い合わせを送ったところ、回答が届いた。それぞれの内容は以下の通り。

靖国神社(東京都千代田区)※写真と本文は無関係です
【櫻井よしこ氏への問い合わせ】

週刊ダイヤモンド6月11日号の「オピニオン縦横無尽」についてお尋ねします。このコラムの中で筆者の櫻井様は次のように書いていおられます。「五月二八日付の米『ニューヨーク・タイムズ』紙は大統領の核なき世界に向けての理念と、理念実現に向けての実績に、『驚くべきギャップ』があると指摘した。『国防総省の最新の統計に基づけば、戦後歴代のどの大統領に比べても、オバマ氏の核弾頭削減数は少なかった』のだ」。

注釈なしに「戦後」と書いた場合、一般的には「第二次大戦後」と理解すべきでしょう。しかしニューヨーク・タイムズの「Reduction of Nuclear Arsenal Has Slowed Under Obama, Report Finds」という記事(ただし、同紙サイトでの日付は5月26日です)の説明とは食い違います。

この記事では「The new figures, released by the Pentagon, also highlight a trend that the current administration has reduced the nuclear stockpile less than any other post-Cold War presidency.」と記述しています。つまり「戦後(第二次世界大戦後)」ではなく「冷戦後」の大統領を比べているのです。

そもそも1945年8月の段階では米国の核弾頭保有数はわずかだったはずです。それがピーク時には3万を超えたと言われています。櫻井様が書くようにオバマ氏を含め戦後全ての大統領が核弾頭削減を実現させているならば、核弾頭の保有数が「戦後」に劇的に増えたことと整合しません。「冷戦後」の意味で「戦後」という言葉を使ったとの可能性も考慮しましたが、この弁明には無理があります。

「戦後歴代のどの大統領に比べても、オバマ氏の核弾頭削減数は少なかった」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

【櫻井氏の回答】

メールありがとうございました。まず、NYTの記事の日付ですが、私の購読するInternational NYTには、5月28日(正確には28-29日の合併号)付で掲載されておりましたので、その日付を報じました。ご指摘の5月26日はこの調査報告書が発表された日で、鹿毛さんは即日、それをサイトで御覧になったのですね。次に、Cold-Warの件は、ご指摘のとおりで、次号にて訂正いたします。貴重なご指摘をありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

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櫻井氏には以前に同じコラムに関して「訂正の訂正」を求めて黙殺された経験がある。なので今回、回答が届いたのは意外だった。逃げずに誤りを認めた点は前向きに評価したい。上記の問い合わせとほぼ同じ内容をダイヤモンドの編集部にも送ってある。筆者が間違いを認めているのに、ダイヤモンドは読者の問い合わせに回答しない姿勢を貫くのだろうか。注目したい。

今回のコラムには誤りと思える記述が他にもある。これは「週刊ダイヤモンド『縦横無尽』で櫻井よしこ氏にまた誤り?」で触れる。

※櫻井氏の過去の誤りについては「櫻井よしこ氏への引退勧告」「櫻井よしこ氏のコラム 『訂正の訂正』は載るか?」「櫻井よしこ氏へ 『訂正の訂正』から逃げないで」を参照してほしい。

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