2015年4月22日水曜日

「15年度を中心とする期間」を巡る東洋経済の苦しい弁明

問い合わせに回答しない東洋経済に対し「東洋経済よ、お前もか」と嘆いたが、1週間以上が経った4月20日に返事が来た。問い合わせと回答は以下の通り。

【問い合わせ内容】


グラン・プラス(ブリュッセル)に建つ市庁舎
         ※写真と本文は無関係です
「漂流・黒田日銀 異次元緩和撤退は不可避!?」という記事に関してお尋ねします。筆者の因幡博樹氏は、2%の物価目標の達成時期を日銀が「15年度を中心とする期間」としていることに触れた上で「15年度を中心とする期間」は「16年3月31日まで」と言い切っています。しかし、日銀の黒田東彦総裁は会見で「15年度を中心とする期間と言っているので、その前後に若干はみ出る部分はある」と述べているようです。これに従えば「15年度を中心とする期間」は「16年3月31日まで」ではなくなります。表現としても「15年度を中心とする期間」と言った場合「16年度を含む余地を残している」と解釈するのが妥当でしょう。記事の説明は誤りなのか、正しいとすればその根拠は何かを教えてください。


【東洋経済の回答】

 平素は弊社商品・サービスをご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。
お問い合わせいただきました件につきまして、週刊東洋経済編集部より回答させていただきます。

結論から申し上げますと、記事の説明は誤りではないと考えます。

2013年4月に量的・質的緩和(QQE)を導入した際の黒田総裁の説明は「2年で2%」でした。
素直に解釈すれば、15年4月には2%を達成する、と理解されると思います。
しかし、記事でも触れているように、その後「2年」の解釈は「15年度を中心とする期間」に延び、
さらにはご指摘のように「若干はみ出る部分はある」と、黒田総裁の説明は変転しています。

当初「2年で2%」と説明してきた文脈から考えると、13年4月から起算して「2年」が指す範囲は、15年4月が終期でなく、「15年度を中心とする期間」という表現を使うことによって、16年3月まで伸ばしたという意味だと考えられます。(これでも13年4月から計算すると約3年後であり、日本語の普通の語感からすると、かなり無理のある解釈です)

なお、記事の趣旨は、言葉の厳密な解釈もさることながら、日本語の普通の意味で「2年で2%」を達成できない、ことを指摘することにある点もご理解賜ればと存じます。


どうぞよろしくお願い申し上げます。



苦しい弁明ではある。回答までに1週間以上かかったのも褒められた話ではない。しかし、そこを批判するより、回答したこと自体を評価したい。同様の質問に無視を決め込んでいる日経よりは、はるかに期待できる。メディア格付けでは日経のBBに対し、東洋経済はA-だ。「東洋経済よ、お前もか」とガックリ来た時は「A-の格付けも弱含みかな」と思ったが、格付け通りの対応に落ち着いたと言える。

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