2018年9月1日土曜日

「小林製薬=一発屋」と誤解させる日経ビジネス庄司容子記者

日経ビジネス9月3日号の「企業研究『一発屋』で終わらない~小林製薬(日用品・医薬品)」という記事は「一発屋」の使い方が引っかかった。見出しからは「小林製薬=過去に一度だけ大ヒット商品を出したが、その後は長く低迷を続ける企業」と受け取れる。しかし、記事を読み進めると話が違ってくる。
マリゾン(福岡市早良区)※写真と本文は無関係です

最初の段落は以下のようになっている。

【日経ビジネスの記事】

アイデア商品で日用品・医薬品市場で独特の存在感を放つ小林製薬。2期連続で過去最高の営業利益を見込むが、実のところ、この10年は以前のような息の長いヒット商品が出ていない。社員のアイデア創出力を磨き、これと決めた新商品を徹底的に育てる手法で『脱・一発屋』を目指す。


◎「八発屋」では?

ここまでは最初に抱いた「一発屋」のイメージで良さそうな気がする。ただ、記事に付けた「小林製薬のヒット商品と出来事~創業から今まで」という図を見ると、1886~2017年に出た8つの「ヒット商品」が並んでいる。これでは「八発屋」だ。

しかも「2010~2017」のところに「ヒット商品」として「『コムレケア』足つり治療薬」が出てくる。「この10年は以前のような息の長いヒット商品が出ていない」という話との整合性が気になる。「ヒットはしたが息は長くない」との判断かもしれないが、分かりにくい。

では、筆者の庄司容子記者は「一発屋」をどう理解しているのだろうか。記事には、予想外の説明が出てくる。

【日経ビジネスの記事】

アイデア出しにことさらこだわるのは、13年に6代目として就任した創業家出身の小林章浩社長だ。背景には伸び悩む業績があった。

18年12月期の売上高は前期比4%増の1630億円、営業利益は同3.4%増の237億円と2期連続の営業最高益を見込む。だが、就任当時は毎年30前後の新商品を投入しながらも「広告費を投入する発売直後は売れるけれど、すぐにシュリンクしてしまっていた」と小林社長は振り返る。新商品の中には半年後に廃番になる製品も少なくなく、いわば「一発屋」の製品が多かった。

その間を支えていたのは、洗眼薬「アイボン」や喉に直接、薬を塗りつける「のどぬ~る」、トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」などいずれも00年以前に発売されたロングセラー商品。「命の母A」など他社から手に入れたブランドも収益に貢献した。

「小林製薬は新製品の会社だと世間から思われているし、社員自身も思っている」(小林社長)。そんな自負があるのに、出てくる新商品は短期間で人気に陰りが出る「一発屋」の商品ばかり。全社員によるアイデア出しで「基礎体力」を磨きつつ、「脱・一発屋」を図る戦略が必要だ。小林社長はそんな危機感を募らせていた。


◎大ヒットしなくても「一発屋」?

発売直後は売れるけれど、すぐにシュリンク」する製品を「一発屋」と庄司記者は考えているようだ。「小林製薬=一発屋」と言いたいのかと思ったら「小林製薬の製品=一発屋」だった。だが「それなら成り立つ」とは思えない。
芥屋の大門(福岡県糸島市)※写真と本文は無関係です

例えば芸人を「一発屋」と呼ぶ場合「一世風靡した後が続かない」という条件に当てはまらないと苦しい。しかし小林製薬の新製品は「発売直後は売れるけれど、すぐにシュリンク」するだけだ。爆発的なヒットを記録していないのならば、一般的な「一発屋」のイメージとは乖離している。

ついでに、「脱・一発屋」に関する疑問点も指摘しておきたい。

【日経ビジネスの記事】

そこで小林社長が打った手は、毎年、新製品の中から期待が大きい2~3つを選び、プロモーションや広告費を重点的に配分すること。「メリハリ」をつけることで、売れる商品をしっかり育てることにしたのだ。例えば、「発売後の半年に3回、売り上げの山を作る」という明確な目標を設定。バラバラに動きがちだったマーケティングと営業の担当者が同じ目的を持って戦略を立てるような仕組みにした。



◎残りの商品はどうなる?

就任当時は毎年30前後の新商品を投入しながらも」「『一発屋』の製品が多かった」。そこで「新製品の中から期待が大きい2~3つを選び、プロモーションや広告費を重点的に配分」するやり方に改めたという。

投入する新製品の数を減らすとは書いていない。仮に「毎年30前後の新商品」を出し続けているとすれば、「期待が大きい2~3つ」以外はどうなるのかとの疑問が湧く。

以前も「広告費を投入する発売直後は売れるけれど、すぐにシュリンク」という状態だったのに、「広告費」を削ればヒットの可能性はさらに低くなる。なのに重点対象外の「新商品」を出し続ける意味が理解できない。


※今回取り上げた記事「企業研究『一発屋』で終わらない~小林製薬(日用品・医薬品)
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/257889/082700137/?ST=pc


※記事の評価はD(問題あり)。庄司容子記者への評価もDを維持する。庄司記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

33%出資の三菱製紙は「連結対象外」? 日経ビジネスに問う
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/33.html

「33%出資は連結対象外」に関する日経ビジネスの回答
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/33_21.html

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