2016年3月17日木曜日

昔話の紹介だけ? 捻りゼロの日経1面コラム「春秋」

新聞の1面コラムというのは、練りに練った文章で多くの読者を感心させるものであってほしい。ところが日経のコラム「春秋」は逆だ。「ハワイ王国の第7代カラカウア国王」を取り上げた17日の記事では、「昔、こんなことがあったんですよ」と紹介しているに過ぎない。いくら何でも捻りがなさすぎる。

記事の全文は以下の通り。

筑後川と巨瀬川の合流地点近くの菜の花
           ※写真と本文は無関係です
【日経の記事】

「五代さま」こと五代友厚が北海道の「官有物払い下げ問題」で苦しい立場に立たされた明治14年。ハワイ王国の第7代カラカウア国王は世界一周の旅に出た。船便の関係で、一番近い大都市である米国のサンフランシスコにまず立ち寄り、次に訪れたのが日本だった。

公式の外遊となると儀礼などが面倒なことになるので、いわばお忍び。けれど行く先々で大歓迎を受けた。有史以来はじめて外国の国家元首を迎えたわが国も、下にも置かないおもてなしをしたと伝えられる。ときの外務卿(外相)井上馨は、悲願の不平等条約改正を実現するための突破口にしたい、ともくろんだらしい。

実際、カラカウア王はこのとき条約の改正に応じると表明し、井上らをいたく喜ばせた。国王はさらに随員にも明かさずひそかに明治天皇と会い、驚くべき提案をしたそうだ。一つはハワイと日本を軸とした連邦の結成。もう一つは王室と皇室の縁談。そして日本からハワイへの移民。135年前の3月中旬のことである。

連邦の結成と縁談を天皇は丁重に断ったが、移民には応じた。やがて移住が急増したことはよく知られている。国王の大胆な提案の背景には、米国にのみ込まれるのではないか、との不安があったとされる。それが現実のものとなったのは12年後だ。歴史に「もし」はない、というけれど、世が世なら、の思いに誘われる。

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想像だが、筆者は最近になってカラカウア国王と日本の関係を知り、「春秋」で紹介しようと考えたのだろう。それはそれでいい。だが、最近の国際情勢と絡めてみるといった工夫がないと、新聞の1面コラムとしては苦しい。

記事の導入も感心しない。「『五代さま』こと五代友厚が北海道の『官有物払い下げ問題』で苦しい立場に立たされた明治14年」という書き出しで記事は始まるが、その後の話と五代友厚に関係性は見当たらない。今回のような形で「五代友厚」を持ってくるならば、記事の中で「カラカウア王」と関連付ける構成にしたい。

NHK連続テレビ小説「あさが来た」で五代友厚に注目が集まったので、記事の冒頭に持ってきたのだろう。だが、読者の誰もが朝の連ドラを見ているわけではない。どうしても使いたいのならば、NHKの朝ドラで注目を集めていることを記事中で説明すべきだ。この辺りにも、筆者の工夫のなさが窺える。


※記事の評価はD(問題あり)。

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