2016年3月17日木曜日

MRFは「口座」の一種? 日経「マイナス金利、MRF除外」

MRFとは投資信託の一種だと思って生きてきた。その常識を覆すような記事が、16日の日本経済新聞朝刊総合2面に出ていた。「マイナス金利、MRF除外 個人の運用に配慮」という記事では「MRFは株式などの売却資金が一時的に置かれる口座」と言い切っている。これだと、どう読んでもMRFは「口座」だ。「口座」であれば当然に「投信」ではないはずだ。だが、どうも納得できないので、日経に問い合わせをしてみた。記事の中身と併せて紹介する。
佐田川と菜の花(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事(総合2面)】

日銀は15日、マイナス金利政策を一部修正することを決め、証券会社の決済口座にあたるマネー・リザーブ・ファンド(MRF)に同政策を適用しない例外措置を導入した。元本割れで投資家が混乱する事態を避けるためだ。

MRFは株式などの売却資金が一時的に置かれる口座。一部が日銀当座預金に預けられ、マイナス金利政策で元本割れリスクが高まっていた。MRFの残高は約10兆円で、元本割れ部分を運用業界で穴埋めすると、年100億円規模の負担増になる可能性があった。

【日経への問い合わせ】

16日の「マイナス金利、MRF除外」という記事についてお尋ねします。記事中に「MRFは株式などの売却資金が一時的に置かれる口座」との説明が出てきます。しかし、MRFは短期の債券で運用する公社債投資信託の一種ではありませんか。証券取引の決済に使われるのは確かですが「口座」そのものではないはずです。日銀の黒田東彦総裁も記者会見でMRFについて「個人の株式投資など証券取引において決済機能を担っている」とは述べているものの、「MRF=決済口座」とは説明していないようです。

記事中の「証券会社の決済口座にあたるマネー・リザーブ・ファンド(MRF)」という説明にも同様の問題を感じます。記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠を教えてください。1週間以内に回答がない場合、記事の説明は誤りと判断させていただきます。

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ちなみに、この日の日経朝刊では1面にもMRF関連の記事が載っていた。そこにも同じような説明がある。

【日経の記事(1面)】

証券会社の顧客の決済口座の役割を担うマネー・リザーブ・ファンド(MRF)は「個人の証券取引という面で非常に重要な役割を担っている」として、マイナス金利政策の対象外にすることを決めた。

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総合2面の記事に比べるとやや微妙だが、それでも「決済口座の役割を担うMRF」となっているので、「MRF=口座」との認識が記事の作り手にあるのだろう。

他のメディアがどう書いているのかも調べてみた。NHKとSankeiBizの16日付の記事では、以下のように説明している。

【NHKの記事】

投資家が取り引きに使うお金を一時的に預ける投資信託=MRFの資金について、日銀がマイナス金利を適用しないことを決めたことを受け、日本証券業協会の稲野和利会長は歓迎する考えを示しました。

【SankeiBizの記事】

日銀は15日開いた金融政策決定会合で、金融機関から預かる資金のうち、国債などの公社債などで運用される投資信託「マネー・リザーブ・ファンド(MRF)」に相当する額を、マイナス金利の適用対象から外すことを決めた。MRFは証券取引の決済機能を担っており、証券業界などは、マイナス金利によって元本割れすれば影響が大きいとして適用除外を求めていただけに、日銀の決定を歓迎している。ただ、厳しい運用環境は今後も続きそうだ。

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いずれも「MRFは投信の一種」という従来の常識に沿った説明をしている。日経が「MRFは口座の一種」と判断したのはなぜか。回答が届けば謎が解けるかもしれないが、望み薄ではある。


※日経からの回答が届かないとの前提で、記事の評価はD(問題あり)とする。回答があれば再検討する。

追記)結局、回答はなかった。

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