2023年2月25日土曜日

日経朝刊1面「ウクライナ侵攻1年」連載に2つの誤り

25日の日本経済新聞朝刊1面の囲み記事を書いた甲原潤之介記者(安全保障エディター)と中村亮記者は「第2次大戦の後」の歴史を誤認しているのではないか。そう思えたので以下の内容で日経に問い合わせを送ってみた。

錦帯橋

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 甲原潤之介様 中村亮様

25日の朝刊1面に載った「ウクライナ侵攻1年:変わる世界秩序(中)核抑止、米ロ危うい均衡 ~やまぬ脅し、拡散リスクも」という記事についてお尋ねします。まず問題としたいのは「第2次大戦の後、他国への軍事侵攻は国際法違反となった。侵攻に踏み切る国は米欧の軍事介入に遭ってきた」とのくだりです。「第2次大戦の後」に「侵攻に踏み切る国は米欧の軍事介入に遭ってきた」とは必ずしも言えないのではありませんか。

例えば1979年に起きた中越戦争は「中国とベトナムとの戦争」(日本百科全書)であり「中国軍は雲南、広西方面から侵攻」したものの「米欧の軍事介入」に遭うことなく「近代戦に慣れたベトナム軍によって多大の損害を強いられ、自主的に撤退」(同)しています。

1969年の六日戦争(第3次中東戦争)も「イスラエルがエジプト、ヨルダン、シリアとの間で行なった戦争」(ブリタニカ国際大百科事典)であり「米欧の軍事介入」に至っていません。ちなみにイスラエルは「6日間に東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、ガザ地区、シナイ半島、ゴラン高原を占領」(同)しています。

付け加えると、今回の記事の「ウクライナ侵攻が過去の例と決定的に異なるのは国連安全保障理事会の常任理事国で、核保有を認められているロシアが国際秩序を侵す暴挙に出たことだ」との説明にも問題を感じました。

1978年にソ連はアフガニスタンに侵攻しています。言うまでもなく「国連安全保障理事会の常任理事国で、核保有を認められている」国でした。この侵攻を「国際秩序を侵す暴挙」と見た日本を含む西側諸国は1980年のモスクワ五輪をボイコットしました。「ウクライナ侵攻」と似た状況と言えます。

第2次大戦の後」に「侵攻に踏み切る国は米欧の軍事介入に遭ってきた

ウクライナ侵攻が過去の例と決定的に異なるのは国連安全保障理事会の常任理事国で、核保有を認められているロシアが国際秩序を侵す暴挙に出たことだ

いずれも説明として誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御紙では読者からの間違い指摘を無視してミスを放置する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


※今回取り上げた記事「ウクライナ侵攻1年:変わる世界秩序(中)核抑止、米ロ危うい均衡 ~やまぬ脅し、拡散リスクも

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230225&ng=DGKKZO68768550V20C23A2MM8000


※記事の評価はE(大いに問題あり)。甲原潤之介記者と中村亮記者への評価もEとする。


※甲原記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

何があってもやっぱり「日米同盟強化」? 日経 甲原潤之介記者「アフガンの蹉跌(下)」https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/08/blog-post_20.html

日経 甲原潤之介記者は「非核化の歴史3勝3敗」と言うが…https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/33.html

どうなったら「世界分裂」? 日経 甲原潤之介記者に問うhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_25.html

日経 甲原潤之介記者の見立て通りなら在日米軍は要らないような…https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/04/blog-post_20.html


※中村亮記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

メキシコは「低税率国」? 日経1面「税収 世界で奪い合い」http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/09/blog-post_3.html

なぜ韓国は対象外? 日経 中村亮記者「米軍がアジアに対中ミサイル網」https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/03/blog-post_5.html

EU批判は「NATO批判」? 日経  中村亮記者に注文https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/eunato.html

2023年2月14日火曜日

「Deep Insight~ソニーでも後がなかった」を読んで日経 梶原誠氏に引退勧告

 日本経済新聞の梶原誠氏(肩書は本社コメンテーター)は書き手として引退の時期を迎えている。14日の朝刊オピニオン面に載った「Deep Insight~ソニーでも後がなかった」という記事を読んで改めてそう感じた。中身を見ながら問題点を指摘していきたい。

宮島連絡船

【日経の記事】

勝ち組企業であるソニーグループを率いた吉田憲一郎氏が、実質ナンバー2の十時裕樹氏に社長の座を譲る。一見順当なトップ人事だが、吉田氏は後がないと追い込まれていたはずだ。「市場に育てられた」とまで重んじてきた株式市場が変化を迫っていた。

グローバル比較のために株価をドル建てで見よう昨年1月までは好調だったが、その後息切れして9月には半分以下に落ち込んだ。世界の主要株で構成するMSCI全世界株価指数、テック株ブームの終わりに苦しむ米アップル、さらに東証株価指数(TOPIX)と比べても値動きが下回る。


◎「昨年1月までは好調」?

ソニーのドル建て株価について「昨年1月までは好調だった」と梶原氏は言う。しかし記事に付けたグラフ(21年末=100として指数化)を見ると21年末に比べ1月は10%ほど下げている。「昨年1月までは好調」と見せたいのならば、「昨年1月」がピークとなるようなグラフにすべきだ。

吉田氏は後がないと追い込まれていたはずだ」との見立てにも無理がある。続きを見た上でこの問題を論じたい。


【日経の記事】

吉田氏が指名委員会に十時氏の社長就任を提案したのは、株価の見劣りが目立ち始めた昨年7月。2月のロシアによるウクライナ侵攻が供給網の制約に拍車をかけ、米英を40年ぶりのインフレが襲っていた。6月には米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の大幅利上げに踏み切り、世界景気の落ち込みは避けられなかった。

歴史的な衝撃を経て、世界経済は以前の常識が通じない姿に変わる。無配に落ちた2014年度から半導体事業を柱に立ち直ったが、変わり続けないと危機は繰り返す。そんな市場のシグナルを受け止めたうえでの決断だったのだろう。「事業ポートフォリオは静的でなく動的」。記者会見での十時氏の一言は、事業を入れ替えてでも会社を変える意思表示だ。


◎色々と問題が…

そもそも「吉田憲一郎氏が、実質ナンバー2の十時裕樹氏に社長の座を譲る」ことに大きな意味を見出すべきなのか。「吉田憲一郎氏」は会長兼CEOとしてトップに留まるので「十時裕樹氏」は「社長」になるとは言え「実質ナンバー2」のままだ。これでソニーが大きく変わると考えるのは無理がある。

吉田氏が指名委員会に十時氏の社長就任を提案したのは、株価の見劣りが目立ち始めた昨年7月」と梶原氏は言う。株式市場に急かされる形で社長交代に踏み切ったとのストーリーを描きたいのだろう。「ドル建て」で株価を見るのも、円建ての株価では辻褄が合わないからだと推測できる。

実際に「吉田氏」が「ドル建て」の株価を気にしていて「自分がトップにいてはダメだ。交代しなければ」と考えたのなら、そのストーリーでいい。しかし「そんな市場のシグナルを受け止めたうえでの決断だったのだろう」とあくまで梶原氏の読みだ。せめてソニー関係者がそう見ているぐらいの裏付けは欲しい。

記者会見での十時氏」のコメントからも、社長交代を機にソニーが大きく変わるとは感じられない。ネタに困ったのだとは思うが苦しすぎる。

ついでに言うと「歴史的な衝撃を経て、世界経済は以前の常識が通じない姿に変わる」という説明も大げさで根拠に欠ける。戦争やインフレは珍しいことではない。それで「世界経済」が「以前の常識が通じない姿に変わる」とは思えない。通じなくなった「以前の常識」が具体的に何なのか記事中に説明もない。

さらに続きを見ていこう。


【日経の記事】

世界経済はどんな姿になるのか。家電量販店で同社の製品を手に取れば、ヒントが浮かぶ。

まずはカメラ売り場。5年前、プロも使うハイエンドのミラーレス一眼で、ソニーは「ライバルを周回遅れにしている」と言われていた。ここ数年は各社も競合機を投入し、優位性は薄れている。

競争を左右するのは人工知能(AI)だ。被写体の属性を認識してピント合わせを助ける。ソニーが2年前に発売したフラッグシップ「α1」は人、動物、鳥を検出するが、ニコンは列車や飛行機を含む9種類を検出する機種をα1より低価格で同年ぶつけた。

次に音響製品。昨年発売した「ウォークマン」の最上位モデルは中国製だ。16年に発売した先代モデルはマレーシア製だった。多数の部品メーカーを擁する中国で作り、天災や地政学的な要因で部品が入ってこないリスクを減らす。部品の輸送距離を縮めて二酸化炭素(CO2)の排出も抑える。

AIが一変する先端技術、常態化する地政学リスク、地球温暖化が招く水害などの天変地異、脱炭素への社会的な圧力……。製品に映るのは、一昔前の発想ではついていけない経営環境ばかりだ。


◎「一昔前の発想ではついていけない」?

製品に映るのは、一昔前の発想ではついていけない経営環境ばかりだ」と梶原氏は言うが、そうでもない。まず「常態化する地政学リスク」。「地政学リスク」がゼロだった時代があるのか。「地球温暖化が招く水害などの天変地異、脱炭素への社会的な圧力」もかなり前からある。トヨタ自動車がプリウスを世に送り出したのが1997年。この段階では「脱炭素への社会的な圧力」は立派にあったと見ていい。

言いたいことを強引に捻り出しているので無理な説明になっている気がする。

続きを見ていこう。


【日経の記事】

経済指標は「ノーマル(通常)への回帰」を告げる。ニューヨーク連銀が供給網の制約を数値化した「グローバル・サプライチェーン圧力指数」は1月、21年末の4分の1以下になった。米利上げのペースが緩むシナリオを読み、ドルに集中していたマネーも円やユーロに戻っている。だが、経営環境は元に戻らない。回帰先はむしろ「アブノーマル」だ

その事実に気付いている米企業がある。医療診断機器大手のダナハーだ。「買収の環境が整いつつある」。1月24日、ライナー・ブレア最高経営責任者(CEO)は投資家向け説明会で言い切った。目をつけていた会社が株安で買いやすくなったという意味だ。

同社は買収で事業の内容を変えてきた「変態企業」だ。QUICK・ファクトセットによると、1990年以来の買収は270件。204件のオランダ・フィリップスを引き離し、ヘルステクノロジー業界で圧倒的な世界一だ。

80年代まで工具や自動車部品を作っていた同社は、計測機器、医療診断機器、バイオ医薬品製造機器、デジタルを駆使した遠隔診断と、技術を応用できる成長分野に買収と融合で進出してきた。昨年末の株式時価総額は世界50位の1930億ドル(約25兆円)と90年末の425倍に膨らみ、営業利益率は9%から27%に拡大した。


◎「回帰先はむしろ『アブノーマル』」?

回帰先はむしろ『アブノーマル』」と梶原氏は言うが、その「アブノーマル」が具体的に何を指すのか判然としない。「その事実に気付いている米企業がある」とも書いている。ただ「買収の環境が整いつつある」というコメントが出てくるだけで「アブノーマル」が具体的に何を指すのかは謎。強引に推測するならば「買収しやすい環境」か。しかし、それが「アブノーマル」とも思えない。そもそも、ここで取り上げた「ダナハー」自体が「買収で事業の内容を変えてきた」企業なのだから「買収」はむしろ「ノーマル」だ。

一気に最後まで見ていく。


【日経の記事】

投資家も、変わる力を見定めて売買の判断を下す。昨年8月、米ゴールドマン・サックスの資産運用部門は世界経済の新潮流「5Ds」を打ち出した。

Digitization(デジタル化)、Deglobalization(グローバル化の後退)、Decarbonization(脱炭素)、Destabilization(地政学的な不安定)、Demographics(人口動態の変化)だ。

「秩序の変化は選別の機会だ」と共同最高投資責任者(CIO)のマリア・バサール氏は語る。デジタル化に懸けたダナハーの株は相場全体の下落に耐え、電子商取引(EC)への対応が遅れて経営危機に陥った米ベッド・バス・アンド・ビヨンドの株はマネーゲームに翻弄されている。

投資家心理が悪化すれば、選別が強まり市場を舞台にした企業の明暗はもっと露呈する。金融政策の効果は1年以上後に本格化する。足元の底堅い景気指標は、中国経済が再開したことや昨年春までの米金融緩和の効果が残っているためともいえ、引き締めが実体経済に及ぼす逆風はこれからだ。

ソニーの株価は人事発表以降、一時8%上昇した。新体制で会社が変わることへの期待だ。変化の裾野がどこまで広がるかは、日本経済の巻き返し力を決める。「時間はあまり残されていない」。日銀の次期首脳候補に取り沙汰された一人は、日本経済再建の処方箋について周囲に漏らしている。吉田氏もそう考えたに違いない


◎結局、何が言いたい?

あれこれ語っているが焦点が定まっていない。特に最後の段落が謎。「『時間はあまり残されていない』。日銀の次期首脳候補に取り沙汰された一人は、日本経済再建の処方箋について周囲に漏らしている」と急に「日銀の次期首脳候補に取り沙汰された一人」が出てくるが、これまた「日本経済再建の処方箋」の具体的な中身は分からない。ただ「時間はあまり残されていない」という漠然とした誰でも言えそうなコメントを紹介して「吉田氏もそう考えたに違いない」と、これまた推測で記事を締めている。

梶原氏については「訴えたいことが枯渇した書き手」と見ている。今回の記事を読んだ後も、その見方は変わらない。「頑張らないと日本は大変なことになるよ」的な話は誰でもできる。梶原氏だからこそ訴えられる結論を説得力のある形で導き出すのが難しいなら、後進に道を譲った方がいい。その方が梶原氏のためにも日経のためにも読者のためにもなる。


※今回取り上げた記事「Deep Insight~ソニーでも後がなかった」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230214&ng=DGKKZO68410700T10C23A2TCR000


※記事の評価はD(問題あり)。梶原誠氏への評価もDを据え置く。梶原氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

異次元緩和は「国民生活を明るくした」と信じる日経 梶原誠氏に問うhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2022/07/blog-post_28.html

「外国人投資家は日本株をほぼ売り尽くした」と日経 梶原誠氏は言うが…https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/09/blog-post_16.html

日経 梶原誠編集委員に感じる限界
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_14.html

読む方も辛い 日経 梶原誠編集委員の「一目均衡」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html

日経 梶原誠編集委員の「一目均衡」に見えるご都合主義
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_17.html

ネタに困って自己複製に走る日経 梶原誠編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_18.html

似た中身で3回?日経 梶原誠編集委員に残る流用疑惑
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/05/blog-post_19.html

勝者なのに「善戦」? 日経 梶原誠編集委員「内向く世界」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_26.html

国防費は「歳入」の一部? 日経 梶原誠編集委員の誤り
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/01/blog-post_23.html

「時価総額のGDP比」巡る日経 梶原誠氏の勘違い
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/04/gdp.html

日経 梶原誠氏「グローバル・ファーストへ」の問題点
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/04/blog-post_64.html

「米国は中国を弱小国と見ていた」と日経 梶原誠氏は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/01/blog-post_67.html

日経 梶原誠氏「ロス米商務長官の今と昔」に感じる無意味
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/04/blog-post.html

ツッコミどころ多い日経 梶原誠氏の「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/deep-insight.html

低い韓国債利回りを日経 梶原誠氏は「謎」と言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_8.html

「地域独占」の銀行がある? 日経 梶原誠氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_18.html

日経 梶原誠氏「日本はジャンク債ゼロ」と訴える意味ある?
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_25.html

「バブル崩壊後の最高値27年ぶり更新」と誤った日経 梶原誠氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/27.html

地銀は「無理な投資」でまだ失敗してない? 日経 梶原誠氏の誤解
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_56.html

「日産・ルノーの少数株主が納得」? 日経 梶原誠氏の奇妙な解説
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_13.html

「霞が関とのしがらみ」は東京限定? 日経 梶原誠氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/deep-insight.html

「儒教資本主義のワナ」が強引すぎる日経 梶原誠氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/deep-insight_19.html

梶原誠氏による最終回も問題あり 日経1面連載「コロナ危機との戦い」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/1.html

色々と気になる日経 梶原誠氏「Deep Insight~起業家・北里柴三郎に学ぶ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/04/deep-insight.html

「投資の常識」が分かってない? 日経 梶原誠氏「Deep Insight」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/04/deep-insight_16.html

「気象予測の力」で「投資家として大暴れできる」と日経 梶原誠氏は言うが…https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/07/blog-post_16.html

「世界がスルーした東京市場のマヒ」に無理がある日経 梶原誠氏「Deep Insight」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/10/deep-insight.html

「世界との差を埋める最後のチャンス」に根拠欠く日経 梶原誠氏「Deep Insight」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/11/deep-insight.html

「日経平均3万円の条件」に具体性欠く日経 梶原誠氏「コメンテーターが読む2021」https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/01/3-2021.html

2023年2月7日火曜日

豊田章男トヨタ社長は「数値目標」を口にしたことがない? 日経 中山淳史氏の誤解

久しぶりに日本経済新聞の誤りを指摘してみた。具体的な内容は以下の通り。

錦帯橋

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 中山淳史様

7日の朝刊オピニオン面に載った「Deep Insight~中計はレカネマブを生むか」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは冒頭の「4月に会長になるトヨタ自動車の豊田章男社長には在任期間中、曲げなかったことがある。『数値目標』を口にしないことだ」という記述です。

2021年12月14日付の日経の記事によると「トヨタ自動車の豊田章男社長は14日、都内で開いた電気自動車(EV)戦略に関する説明会で、EVの販売目標について『2030年に350万台を目指す』と発表した」そうです。この記事には「豊田氏はトヨタが5月に打ち出した戦略では30年にハイブリッド車(HV)を含めた電動車を年800万台売ることを目標とし、うちEVと燃料電池車(FCV)で計200万台としていた」とも述べています。

豊田章男社長」は「在任期間中」に「EVの販売目標」などに関して「数値目標」を口にしたのではありませんか。「豊田章男社長には在任期間中、曲げなかったことがある。『数値目標』を口にしないことだ」との中山様の説明は誤りだと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


問い合わせの内容は以上。効果が乏しそうなエーザイの「レカネマブ」について「不治の病とされたアルツハイマー病治療の画期的な新薬『レカネマブ』」などと書いていることからも中山淳史氏(肩書は本社コメンテーター)には期待できない。同氏への評価はD(問題あり)とする。記事への評価もD。


※今回取り上げた記事

Deep Insight~中計はレカネマブを生むか

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230207&ng=DGKKZO68220240W3A200C2TCR000

2023年2月1日水曜日

朝刊1面には苦しすぎる日経「日本交通、タクシー運転手に女性パート採用」

1日の日本経済新聞 朝刊1面に載った「日本交通、タクシー運転手に女性パート採用 人手不足で」という記事は、ビジネス面で大きく扱うのさえ難しいと思える中身だった。見出しからは「女性パートに限った採用に踏み切ったのがニュースなのだろう」と感じたが、実はそうでもない。最初の段落を見てみよう。

宮島

【日経の記事】

タクシー大手の日本交通グループは子育て中の女性などを対象にパート勤務の運転手を採用する。運転手は大半が正社員雇用だが高齢化と新型コロナウイルス禍による需要減で大幅に減っている。時給制で勤務時間を柔軟にして従来雇うのが難しかった層を受け入れる。深刻化する人手不足が雇用形態の多様化を促している。


◎「女性パート採用」と言うものの…

女性パート採用」と見出しでは打ち出しているが、記事には「子育て中の女性などを対象」としか書いていない。男性も「対象」に入っているのだろう。騙しの要素が強い見出しではあるが担当者を責めるのは酷だ。記事の内容が弱すぎて見出しを付けるのに困ったのではないか。しかも1面。騙し要素ゼロでは成立しにくい。

記事の続きを見ていこう。


【日経の記事】

日本交通グループのハロートーキョー(東京・江東)がパート運転手の募集を始めた。週3日、1日5時間からのシフト制で、午前6時から午後10時の間で希望の時間帯を選べる。時給は1500円からになる。

普通自動車免許を取得して3年が経過していることが採用の要件だ。会社負担でタクシー運転に必要な二種免許を取得できる。まず15人の採用を目指しており3月の乗務開始を見込む。


◎何が新しい?

ニュース記事では「何が新しい」のかを読者に知らせる必要がある。しかし、この記事ではそこが明確になっていない。見出しから判断すると「女性パート採用」だろう。だが「タクシー運転手に女性パート採用」は初めてといった説明は見当たらない。「日本交通グループ」として初めてなのかも不明。ついでに言うと「ハロートーキョー」以外の「日本交通グループ」の会社がどう対応するのかも記事では触れていない。

記事を読み進めるとタクシー運転手の「パート採用」自体は珍しくないと分かる。最後まで見ていこう。


【日経の記事】

日本交通グループは全国で約7000台のタクシーを運行している。今回のパート勤務は配車アプリからの予約客に特化し車を走らせながら乗客を探す「流し営業」はしない。

日本のタクシー運転手は大半が正社員雇用だ。パートは2割程度で定年後に再雇用された65歳以上がこのうち8割以上を占める。運転手全体の平均年齢は60歳、女性の割合は4%にとどまる。

コロナによる需要減で人材も流出した。東京ハイヤー・タクシー協会などによると、2021年度末の都内の法人タクシーの運転手数は5万5391人と19年度末と比べて9000人以上減少し、記録が残る1970年度以降で最少となった。

営業収入はコロナ禍前の水準に戻り、今後は訪日客の需要回復も見込める。タクシー大手の幹部は「需要はあるのに人手が足りない。車両の稼働率はコロナ前より10%超下がっている」と語る。


◎悪い意味で度胸が凄い

日本のタクシー運転手」全体で見ると「パートは2割程度」いるらしい。「タクシー運転手」に占める「女性の割合は4%」とすると「タクシー運転手」の1%程度は「女性パート」だと推定できる。ならば「日本交通グループ」がその採用を始めたからと言ってニュース性は乏しい。1面に持っていくなら、まとめ物にしたいところだが、今回は1社モノ。これで1面に出そうとするのは悪い意味で度胸がある。

ついでに記事の書き方で注文を1つ。「配車アプリからの予約客に特化し車を走らせながら乗客を探す『流し営業』」と書くと「流し営業」=「配車アプリからの予約客に特化した上で車を走らせながら乗客を探す営業」と取れる。ここは読点を打つだけでいい。「配車アプリからの予約客に特化し、車を走らせながら乗客を探す『流し営業』は~」とすれば誤解されにくくなる。


※今回取り上げた記事「日本交通、タクシー運転手に女性パート採用 人手不足で」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230201&ng=DGKKZO68075100R00C23A2MM8000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

2023年1月20日金曜日

岩田屋の宣伝係のつもり? 「高級ラウンジ活況」が苦しい日経 関口桜至朗記者の記事

日本経済新聞の関口桜至朗記者は岩田屋の宣伝係でもやっているつもりなのか。20日の朝刊 九州経済面に載った「高級ラウンジ活況 岩田屋三越、1000万円購入客も~モノ・サービス提案 若年層取り込む」という記事は目を覆いたくなる出来の悪さだった。冒頭で「百貨店の岩田屋三越(福岡市)が岩田屋本店(同市)に設けた高級ラウンジに、20~30代の富裕層が集まっている」と打ち出しているが、この話自体が苦しい。記事の一部を見ていこう。

宮島

【日経の記事】

岩田屋本店にある富裕層向けの「ラウンジS」は、2021年3月にオープンした。(中略)ラウンジの利用には事前予約が必要で、受け入れるのは1日1組のみだ。毎月10組程度が利用し、これまでに延べ約180組が訪れた。

岩田屋三越によると、客層は20~30代の若年層が1割程度を占める。ラウンジ担当者は「百貨店を利用する富裕層は高齢の方が多いイメージだが、岩田屋本店新館は若者に人気のブランドも多く入っていることから、客層は比較的若い」と話す。


◎わずか20組程度?

電子版では違う見出しが付いているが、紙の新聞では「高級ラウンジ活況」となっている。しかし「受け入れるのは1日1組のみ」で「毎月10組程度が利用し」ている程度らしい。「1日1組」しか「受け入れ」ないのに稼働率は3割ぐらいで高くない。「高級ラウンジ」での売り上げがどの程度あるのかは不明。全体として「活況」を呈していると判断できる材料はない。

では「高級ラウンジに、20~30代の富裕層が集まっている」とは言えるだろうか。「約180組が訪れ」て「若年層が1割程度」だとすれば開設から2年近くが経過して利用は20組前後。これで「高級ラウンジに、20~30代の富裕層が集まっている」と見なすのは無理がある。

なのに「具体的な購入品目は秘密だが、若年富裕層の客が1000万円を超える商品をまとめて購入したこともあったという。投資などで成功した若年層が、豊富な資金力で高額消費を楽しむ構図が浮かび上がる」などと書いてしまう。嘘ではないとしても強引に盛り上げている印象は否めない。

取材してみて「岩田屋の高級ラウンジにどんどん20~30代の富裕層が集まってきているのか。これは面白い話だ」と関口記者が本気で思えたのならば経済記者には向いていない。ネタに困って強引に九州経済面のトップ記事を書き上げたのかもしれないが、だとしても「こんな岩田屋の宣伝係を買って出たような苦しい記事を世に送り出して恥ずかしい」という気持ちは持ってほしい。


※今回取り上げた記事「高級ラウンジ活況 岩田屋三越、1000万円購入客も~モノ・サービス提案 若年層取り込む」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC065HV0W2A201C2000000/


※記事の評価はD(問題あり)。関口桜至朗記者への評価もDとする。

2023年1月19日木曜日

「証券、手数料より資産残高」が怪しい日経 五艘志織記者の記事

19日の日本経済新聞朝刊 金融経済面に五艘志織記者が書いた「証券、手数料より資産残高 個人向け営業の評価転換~相場低迷、問われる持続性」という記事には色々と問題を感じた。中身を見ながら具体的に指摘したい。

錦帯橋

【日経の記事】

証券会社が個人向け営業員の評価体系を変えている。SMBC日興証券は売買手数料などの収益の総額から、投資信託など預かり資産の伸びを重視する体系に改めた。大和証券グループ本社や三菱UFJモルガン・スタンレー証券なども短期利益より顧客の資産形成を優先する営業にかじを切っている。株安で収益環境が厳しさを増すなか、営業改革の持続性が問われている。

SMBC日興では22年度から総収益の仕組みをなくし、投資信託やファンドラップの手数料収入や残高の純増、運用以外の事業承継などにわけて支店を評価している。「残高重視の営業に移行する中で、高い手数料の金融商品を売る動機が働きにくくなるようにした」。SMBC日興の担当者は狙いをこう語る。


◎話が古い

囲み記事だとしても話が古い。「証券会社が個人向け営業員の評価体系を変えている」と打ち出してはみたものの最初の事例となる「SMBC日興証券」が「評価体系を変え」たのは「22年度から」。「22年度」も終わろうとしているこのタイミングでなぜ記事にしたのか。この後に出てくる「野村証券」もやはり「22年4月」に仕組みを変えている。例えば「評価体系を変え」たことが、ようやく利益につながり始めたといった話なら分かる。その辺りの工夫が欲しい。

さらに言えば「SMBC日興証券」の場合「手数料より資産残高」なのか微妙。「総収益の仕組みをなくし、投資信託やファンドラップの手数料収入や残高の純増、運用以外の事業承継などにわけて支店を評価している」らしいが「個人向け営業員の評価体系を変えている」かどうかは触れていない。「支店を評価」する方法に関しても「投資信託やファンドラップの手数料収入」が評価項目に入っている。「預かり資産の伸びを重視する体系」がどの程度の「重視」なのか具体的な数値も見当たらない。

残高重視の営業に移行する中で、高い手数料の金融商品を売る動機が働きにくくなるようにした」という「担当者」のコメントも「まだ残高重視の営業に移行する途上」と読み取れなくもない。結局「手数料より資産残高」の中身がぼんやりとしか見えてこない。これが辛い。

続きを見ていこう。

【日経の記事】

従来は特定の大口顧客からのまとまった注文で成績を上げられた。新しい体系では商品販売額を評価するポイント制を導入し、顧客1人あたりのポイントに上限を設けた。営業員は多くの顧客と取引し、それぞれのニーズに合った提案をすることが求められるようになった。


◎で「残高重視」は?

やはり「手数料より資産残高」という話になっていない。「顧客1人あたりのポイントに上限を設けた」というだけだ。「営業員」の評価に関しては、今も「資産残高より手数料」重視なのではと思える。

さらに見ていく。


【日経の記事】

野村証券は顧客の預かり資産残高に応じ、手数料を受け取る「レベルフィー」を22年4月に全店で始めた。株式と債券、投資信託が対象。運用商品を売り買いするたびに手数料を徴収するのではなく、時価の評価額に手数料が連動するしくみだ。顧客の預かり資産が増えれば証券会社の実入りも伸び、両者の利害が重なりやすくなる。一定の資産を持つ投資家は従来型とレベルフィーの双方から選ぶことができ、22年9月末時点の対象資産は2500億円に達した


◎これも苦しいような…

野村証券」の事例も「手数料より資産残高」で「営業員」を評価している話にはなっていない。「時価の評価額に手数料が連動するしくみ」を導入して「一定の資産を持つ投資家は従来型とレベルフィーの双方から選ぶことができ」るようにしただけだ。「営業員」の評価が「手数料」で決まっている可能性は残る。仮に「資産残高」で評価が決まる仕組みになっているのなら、そこは明示すべきだ。

付け加えると「22年9月末時点の対象資産は2500億円に達した」とだけ書くのは感心しない。この場合は「従来型」との比較が欲しい。

紙面を埋めるために強引に企画を捻り出したのか。記者・デスクの力量不足なのか。いずれにしても、この記事に高い評価は与えられない。


※今回取り上げた記事「証券、手数料より資産残高 個人向け営業の評価転換~相場低迷、問われる持続性

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230119&ng=DGKKZO67695090Y3A110C2EE9000


記事の評価はD(問題あり)。五艘志織記者への評価もDとする。

2023年1月12日木曜日

「西欧諸国」では「生涯無子」の増勢収まった? 日経 福山絵里子記者に問う

12日の日本経済新聞朝刊1面に福山絵里子記者が書いた「生涯子供なし、日本突出~50歳女性の27% 『結婚困難』が増加」という記事は、目の付け所こそ悪くないが高い評価はできない。データの解釈が恣意的だからだ。「生涯無子」について福山記者は以下のように書いている。

宮島

【日経の記事】

人口学では、女性で50歳時点で子どもがいない場合を「生涯無子」(チャイルドレス)と見る。OECDによると、70年生まれの女性の場合、日本は27%。比較可能なデータがある17カ国のうちで最も高い。次いで高いのはフィンランド(20.7%)で、オーストリア、スペインと続く。ドイツはOECDのデータにないが、ドイツ政府の統計によると21%(69年生まれ)だった。

24カ国で比較できる65年生まれでも日本(22.1%)が最も高く、英国、米国など主要国を上回る。両立支援などの政策が進んだ西欧諸国では子を持たない人の増加の勢いが収まっており、日本は後れをとっている


◎「西欧諸国」とはどの国のこと?

両立支援などの政策が進んだ西欧諸国では子を持たない人の増加の勢いが収まっており、日本は後れをとっている」と福山記者は言うが、それを裏付ける具体的なデータは見当たらない。記事に付けたグラフでは増加組が日本、フィンランド、英国、ドイツ、スペインで「増加の勢いが収まって」いるのが米国とスウェーデン。この両国は「西欧諸国」ではない(スウェーデンを北欧ではなく「西欧」と見なしても1カ国では「諸国」にならない)。そして「西欧」に当たるドイツ、スペインでは増加傾向。話が違う。

そして「生涯無子」を減らす策に関しても福山記者はおかしな主張を展開する。


【日経の記事】

近年大きく増えたのは(1)の結婚困難型だ。25歳から49歳までのどの年代(5歳刻み)を見ても最多だった。十分な経済力がある適切な相手を見つけることができないことも一因とみられる。次に多かったのは(2)の無子志向で、若い世代で増えた。女性全体の中で5%程度が無子志向と推察した。

未婚女性では低収入や交際相手がいないと子を望まない確率が高かった。守泉氏は「積極的選択というより、諦めている女性が多いと示唆される」と話す。

岸田政権は子育て世帯への経済的支援を充実する見通しだ。非正規社員への社会保障の拡充や男女ともに育児との両立が可能な働き方へ向けた改革も必要となる。子育てのハードルを下げるため教育費の軽減も急務だ。

日本では86年に男女雇用機会均等法が施行された。無子率が高い65年~70年生まれは均等法第一世代だ。働く女性が増えたものの両立支援は進まず、退職して出産か子どもを持たずに働くかの選択を迫られる傾向が続き、少子化が進んだ


◎「両立支援」に効果ある?

働く女性が増えたものの両立支援は進まず、退職して出産か子どもを持たずに働くかの選択を迫られる傾向が続き、少子化が進んだ」と福山記者は言う。「両立支援」が十分ならば「少子化が進んだ」りしないと思い込んでいるようだ。となるとフィンランドで「生涯無子」の比率が高く、しかも増加傾向にあるのをどう説明するのか。日経は2021年の記事で「教育や福祉が充実、育児休業を取得する男性が8割以上いるなど、共働き子育ての先進国」と同国を紹介している。なのに出生率は日本とほぼ同水準。「共働き子育ての先進国」になっても少子化克服は難しいことをフィンランドは教えてくれる。むしろ「共働き子育ての先進国」だからこそ少子化を克服できないと見る方が自然だ。

個人的には少子化は放置で良いと思うが、どうしても克服したいならば学ぶべきは「西欧諸国」でも北欧でもない。人口置換水準を大きく上回る国々だ。世界には、そうした国がたくさんある。そこから目を背けたままでは、この問題で説得力のある答えは出せない。



※今回取り上げた記事「生涯子供なし、日本突出~50歳女性の27% 『結婚困難』が増加

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230112&ng=DGKKZO67498650R10C23A1MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。福山絵里子記者への評価もDとする。福山記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。


読者に誤解与える日経 福山絵里子記者「子育て世代『時間貧困』」https://kagehidehiko.blogspot.com/2022/08/blog-post_21.html