2022年12月21日水曜日

日経の河浪武史 金融部長は管理職業務に専念した方が…

日銀による事実上の利上げを受けて日本経済新聞の河浪武史 金融部長が21日の朝刊総合2面に「成長と規律、回復へ一歩」という解説記事を書いている。なぜ編集委員らではなく河浪部長なのだろう。記事の出来もそんなに良くない。このレベルが限界なら管理職業務に専念した方がいい。問題点をいくつか挙げてみる。

錦帯橋
(1)今は「金利がない世界」?

市場だけでなく、企業にも家計にもサプライズとなり『金利がある世界』への備えは十分とはいえない」「『金利のある世界』には万全の備えが必要になる」と書いているので河浪部長にとって今の日本は「金利がない世界」なのだろう。

長期金利で言えばこれまでの許容上限が0.25%で、ほぼここに張り付いてきた。0.25%だと「金利がない世界」だが、それが0.5%になると「金利のある世界」なのか。その認識で記事を書いていると思うと少し怖い。


(2)どちらも「市場のハンドリング」の失敗では?

記事の書き方が下手だと感じた部分もあった。

日銀緩和の出口は繊細な手綱さばきが求められる。経済を冷やしてしまえば、日本は一転してデフレ懸念に見舞われる。一方で市場のハンドリングを誤れば、金利急騰という大打撃を負いかねない」と河浪部長は言う。

経済を冷やしてしまえば、日本は一転してデフレ懸念に見舞われる」というのも「市場のハンドリング」を誤った場合に起きることのはずだ。なのに「一方で市場のハンドリングを誤れば、金利急騰という大打撃を負いかねない」とつないでしまう。

改善例を示しておく。

【改善例】

日銀緩和の出口は繊細な手綱さばきが求められる。経済を冷やしてしまえば、日本は一転してデフレ懸念に見舞われる。一方で、市場のハンドリング次第では金利急騰という大打撃を負うリスクもある

このくだりの続きにも疑問を感じた。


(3)格下げが「日本経済の致命傷」?

いずれもコロナ危機後の過大債務を直撃して『日本国債の格下げリスクに直結する』(3メガ銀行首脳)。それは日本経済の致命傷となる」と河浪部長は言うが1990年代から「日本国債の格下げ」は何度もあった。それでも「日本経済の致命傷となる」ような大きな影響は起きていない。なのになぜ「日本経済の致命傷となる」と言い切ってしまうのか。

今回はこれまでと違うと考えるのなら、その理由は欲しい。あまり考えずに書いているような気がするが…。


※今回取り上げた記事「成長と規律、回復へ一歩」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20221221&ng=DGKKZO67014560R21C22A2EA2000


※記事の評価はD(問題あり)。河浪武史氏への評価はDを据え置く。河浪氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日本では家計が「物価は上がらないと判断」? 日経 河浪武史記者の誤解https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/08/blog-post_28.html

「インフレはドル高招く」と日経 河浪武史記者は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.com/2016/12/blog-post_14.html

「米利上げ 独走強まる」に無理がある日経 河浪武史記者
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_32.html

米ゼロ金利は「2008年の金融危機以来」? 日経 河浪武史記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/2008.html

日経 河浪武史・後藤達也記者の「FRB資産 最高570兆円」に注文
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/frb-570.html

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