2021年10月2日土曜日

男性皇族は「格子なき牢獄」で暮らすべき? 日経 井上亮編集委員に考えてほしいこと

平等を重視する観点から「天皇制はなくていい」と思っている。存続させるならば、少なくとも皇室離脱の自由は認めるべきだ。その立場から言うと、2日の日本経済新聞朝刊社会面に井上亮編集委員が書いた「皇室が負った深手と救い」という記事には矛盾を感じた。中身を見ながら具体的に指摘したい。

三隈川

【日経の記事】

祝福の儀式も結婚式もなく、複雑性PTSDという心の傷を負った末の寂しい結婚だが、眞子さまが意思を貫いたことは、ご自身と皇室にとって救いである。もし、「誹謗(ひぼう)中傷と感じられるできごと」で思いを曲げていたらどうなっていたか。

誤解している人もいるが、婚姻に際して皇室会議の議を経ることが必要な男性皇族と違い、女性皇族には一般国民と同様に憲法で保障されている婚姻の自由がある。眞子さまが結婚をあきらめていたら、皇室が基本的人権も認められない「格子なき牢獄(ろうごく)」だと示すことになっていただろう


◎「男性皇族」の人権は?

眞子さまが結婚をあきらめていたら、皇室が基本的人権も認められない『格子なき牢獄』だと示すことになっていただろう」という説明がおかしい。

婚姻の自由」が「基本的人権」に含まれると井上編集委員は見ているはずだ。そして「婚姻に際して皇室会議の議を経ることが必要な男性皇族と違い、女性皇族には一般国民と同様に憲法で保障されている婚姻の自由がある」と書いている。裏返せば「男性皇族」には「婚姻の自由」がない。

眞子さまが結婚をあきらめ」るかどうかに関係なく「男性皇族」にとって「皇室」は「基本的人権も認められない『格子なき牢獄』」だ。「男性皇族」だけがこの「牢獄」からなぜ抜け出せないのか。性差別とも言える。

眞子さまが意思を貫いたことは、ご自身と皇室にとって救いである」と井上編集委員は言う。だとしたら「好きな女性がいる。皇室を抜けて、その人と海外で暮らしたい」と「男性皇族」が訴えたらどうするのか。

男性皇族」という理由で「基本的人権」を認めず「格子なき牢獄」に縛り付けたままでいいのか。井上編集委員は記事を以下のように結んでいる。

婚姻の自由は民主主義社会の証明である。『皇室は基本的人権の枠外』などと言う前近代の感覚の論者もいるが、そのような非人間的仕組みを民主国家の象徴と呼べるだろうか

そう言いながら「男性皇族」にも「婚姻の自由」を認めるべきだと訴えないのはなぜか。天皇制の存続が危うくなるからなのか。だとしたら「『皇室は基本的人権の枠外』などと言う前近代の感覚の論者」と井上編集委員は大差ない。


※今回取り上げた記事「皇室が負った深手と救い」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211002&ng=DGKKZO76274600R01C21A0CM0000


※記事の評価はD(問題あり)。 井上亮編集委員への評価はDを維持する。井上編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「近代以降の天皇制度で最大級の改革」は日経の「過言」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/07/blog-post_14.html

乏しい根拠で週刊誌の皇室報道を貶める日経 井上亮編集委員https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_61.html

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