2021年4月10日土曜日

本当に「世界で急減」? 日経1面「出生数が世界で急減」の問題点

日本経済新聞朝刊1面トップを飾った「出生数が世界で急減 コロナ禍、日米欧1~2割減~将来不安、成長の重荷に」という記事には問題を感じた。本当に「出生数が世界で急減」しているのか怪しい。「日米欧1~2割減」だけでは何とも言えない。

夕暮れ時の工事現場

記事中で数字を確認できるのはイタリア、スペイン、フランス、スウェーデン、ポーランド、中国(香港)、米国(コネティカット州)、日本のみ。出生率が高いアフリカ、西アジア、南米はごっそり抜けている。

出生数が世界で急減」と打ち出すのならば「世界」全体で見ても「急減」傾向でないと苦しい。データが揃わない国も多いだろうから「世界全体の数字を見せろ」とは言わない。だが欧米と東アジアだけで「世界」を語られても困る。

アフリカや西アジアは人口増加率の高い国が多いので「コロナ禍」で出生率が多少下がっても「出生数」はプラスを維持している可能性が十分にありそうだ。

記事でもう1つ気になるのは「人口減=良くないこと」という単純な図式で捉えている点だ。

コロナ禍の影響が測れる昨年12月から今年1月、多くの国で出生数は10~20%落ち込んだ。世界全体でこの流れが定着すれば、持続的な成長への足かせになる」と筆者ら(辻隆史記者と竹内弘文記者)は解説する。間違いではないが、少子化によって世界の人口増加が抑えられればプラス面も大きい。環境への負荷を少なくできるのは筆者らにも分かるはずだ。なのに、なぜマイナス面にのみ言及するのか。地球は100億人でも200億人でも余裕で受け止める力があるとでも思っているのか。


※今回取り上げた記事「出生数が世界で急減 コロナ禍、日米欧1~2割減~将来不安、成長の重荷に

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210410&ng=DGKKZO70887260Q1A410C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。辻隆史記者への評価は暫定でDとする。竹内弘文記者への評価は暫定Cから暫定Dへ引き下げる。竹内記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日本は「気がつけば格付け先進国」? 日経 竹内弘文記者に問うhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html

0 件のコメント:

コメントを投稿